前例は1局に
10時10分頃に羽生王座の指した△3七角は前例が1局のみとなる手。銀取りを放置する一手に、控室の関係者からは「おおーっ」とどよめきがあがりました。
しかし、新聞解説の西尾六段は「いや、これはあるんです」と冷静に受け止めています。銀取りを放置するのは通常は無理筋ですが、1八香と上がっている先手は△3七角に対して▲1八飛と安定した形で飛車をかわすことができず、さらに△2六角成~△3六馬が香取りに当たってくるため、成立する可能性があるということです。
前例の1局は今年6月に行われた▲糸谷哲郎六段-△大平武洋五段戦(順位戦C級1組)で、結果は先手が勝っています。羽生王座はどんな工夫を用意しているのでしょうか。
図から▲3三桂成△同金直と進んだところで、消費時間は▲中村12分、△羽生35分。その局面で中村六段が1時間を超える大長考をしています。
(八雲)