2025年1月12日 (日)

Dsc_9260(両対局者)

Dsc_9266(関係者の記念撮影)

Dsc_9309(各団体が両対局者に記念品を贈呈した)

Dsc_9510(対局者のあいさつ)

Dsc_9555(藤井聡太王将)

「永瀬九段との2日制は楽しみ。一手一手深く読みを入れて内容の充実した将棋を指せるように全力を尽くしたい」

Dsc_9624001(永瀬九段)

「藤井王将と七番勝負という長丁場でも対局したいと思っていた。一生記憶に残る番勝負にできればと思っている」

Dsc_9717(乾杯の発声で登壇する風間直記・ゼロの会会長)

「良きライバルでもあるし、明日の将棋が令和の将棋史の名勝負になれば」

2025年1月11日 (土)

18時30分から前夜祭が行われました。

Dsc_8945(主催者あいさつの松木健・毎日新聞社代表取締役社長)

「掛川での開催は2年ぶり。名勝負を期待したい」

Dsc_9041(主催者あいさつの小菅洋人・スポーツニッポン新聞社代表取締役社長)

「市長がされる振り駒が楽しみ。末永く記憶に残る対局を」

Dsc_9101(主催者あいさつの羽生善治・日本将棋連盟会長)

「2人は手の内を知る仲だが、ひのき舞台での戦いはまた一味違ったものになるのでは」

Dsc_9181(開催地あいさつの久保田崇・掛川市長)

「掛川は『永世開催地』を目指していきたい。今年は全国将棋サミットの開催地にも選んでいただいた」

Dsc_9189(開催地あいさつの松浦功・島田掛川信用金庫常務理事)

「掛川の魅力がいっそう高まり、将棋を通じたまちづくりが進展することを願う」

Dsc_9216(特別協賛社あいさつの栢木伊久二・綜合警備保障代表取締役グループCOO社長執行役員)

「記念の揮毫に藤井王将は『信』、永瀬九段は『聡』と書いた」

16時45分からSK駅前ホールで共同記者会見が行われました。

Dsc_8561(掛川茶PRアンバサダーと掛川市のご当地キャラ・茶のみやきんじろうと記念撮影)

Dsc_8614(続いて両雄のツーショット)

Dsc_8654(会見に臨む藤井王将)

【藤井王将への一問一答】

――明日から第1局が始まる。今の気持ちは。
藤井 永瀬九段と2日制のタイトル戦を戦うのはこの王将戦が初めてになるので、楽しみな気持ちがあります。2日制ですと一手一手深く考えて精度の高い将棋を指すことが求められると思うので、それができるように明日から2日間集中して戦っていきたいと思っています。

――永瀬九段との2日制は初めて。どのように臨むか。
藤井 永瀬九段は長時間の対局を得意にされている印象もあります。こちらも持ち時間を有効に使ってしっかり読みを深めていく必要があると思っています。

――昨年末から今年にかけて新しい何かを模索するという話をしている。今回の七番勝負で新しいことが出るのか。
藤井 今の段階で七番勝負を通してどう戦うかはっきり描いているわけではないですが、戦っていく中で少しずつ新しい工夫を考えていければと思っています。

――今年のタイトル戦が始まり、藤井王将には八冠奪還の期待もある。抱負について。
藤井 1月から王将戦が開幕して2月に棋王戦が始まり、叡王戦の本戦トーナメントも並行して進む形になります。去年の同じ時期と比べて対局も少し増えると思いますが、よいコンディションを維持して対局に臨めるようにしていければと思います。一年を通して具体的な目標を立てていることはないんですけれど、去年もタイトル戦をはじめいろいろな対局を通して感じた課題も多くあるので、それを改善していける一年にできるように取り組んでいきたいと思います。

――掛川では地元の方も今回の対局を楽しみにしている。ファンの方に何かあれば。
藤井 掛川で王将戦の対局をさせていただくのは私にとって今年で3回目になります。対局室の二の丸茶室は素晴らしい雰囲気ですし、前夜祭では地元の方に歓迎していただけるという印象を持っています。期待に応えられるように頑張りたいと思います。

――地元の食べ物で楽しみにしているものは。
藤井 まだメニューを見ていないのでどういったものをご用意していただいているか知らない状況なんですが、毎年いろいろな工夫をされていると感じるので今年も楽しみにしています。

――永瀬九段の印象はどうか。
藤井 永瀬九段は序中盤の研究の深さ、正確さはもちろんなんですけれど、中終盤においても一見気がつきづらい手をうまく拾って、例外的な好手を見つける力もすごく優れているのかなと思っています。2日制で長い対局になるので、こちらも気がつきづらい手も含めていろいろな手を探って、読みを深めていければと思っています。

――永瀬九段と体力勝負になることについては。
藤井 どういった展開になるかはまだわからないですが、長い勝負になったとしても最後まで集中力を切らさずに戦っていきたいと思います。

――永瀬九段は藤井王将にとってどのような存在か。
藤井 永瀬九段には私が四段の頃からVSで教えていただいていて、トップの棋士の将棋を直に知ることができ、将棋に対する取り組み方も含めて勉強になって、私を引き上げていただいたところがすごくあると感じています。今でも技術的な面、取り組み方の面、両面においてすごく刺激を受けている方です。

Dsc_8738(質問に答える永瀬九段)

 

【永瀬九段の一問一答】

――現在のご自身の状態、明日から第1局を迎える心境を。
永瀬 11月に挑戦権を得ることができて1ヵ月少しですが、その間対局が少なかったことが気がかりです。藤井王将はどんな状態でもよい将棋を指されるので、こちらがよい将棋を指すしかないと思いながら準備をしてきました。自分のコンディションとしては対局がないとわからないところがあるので、明日からの対局は手探りになると思っています。

――2日制で藤井王将に挑むことについて。
永瀬 私が2日制は2回目で本当に経験できていないので、その点も手探りです。藤井王将は近年、2日制の経験値がすさまじく高くなっているのでそこも大きいと思っています。やはり藤井王将と2日制を指したいと思いました。昨年行われた竜王戦などタイトル戦を拝見していますが、見るのと指すのでは違うと思いますので、違いを分析しながら対局をしていきたいと思います。

――藤井王将と4度目のタイトル戦になる。前と今で気持ちの違いはあるか。
永瀬 藤井王将がどういうふうに向かわれているか前回の王座戦で理解できましたので、咀嚼して自分のものにしながら、精神的なものも見習ってよい形にしていきたいと思いました。王座戦は結果としては振るいませんでしたが、大きな収穫があったと思いますので、それを生かしたいと思います。藤井王将は見て学ぶところが多い印象です。

――対局室を検分された印象は。
永瀬 前回の2日制のタイトル戦(第70期王将戦七番勝負)の第1局が掛川でしたので、その地に戻ってくることができたという実感が沸きました。対局室は再び来てみても素晴らしいと感じました。明日は冷え込むことが予想されるかもしれませんので、しっかり対策をして万全で臨みたいと思います。

――掛川の印象と、こども大会の参加者からは「2人とも応援したい」とあった。地元の将棋ファンへの思いも聞ければ。
永瀬 掛川はお茶がおいしい印象と、前回こちらに来たときはフレッシュジュースをたくさんいただきました。メニューで紅ほっぺとキウイのフレッシュジュースを見ましたので、大量にいただくのが楽しみです。こちらのフレッシュジュースは一段と格別なので、飽きるほど堪能しつくしたいと思います。こども大会はコロナ禍が明けまして、対面で行われる大会に顔を出すことができたのが久しぶりでした。たくさん熱気を感じられましたし、性別関係なく楽しんでいただけていることをうれしく感じました。

――藤井王将との2日制に向けて具体的にどのような準備をしたか。アドバイスをもらったことは。
永瀬 実際にやってみないとわからないところがありますが、封じ手の書き方は調べてイメージしてきました。その点は対策なのかなと思います。最近ですと藤井王将と2日制を対局をされた棋士は周りに伊藤叡王や(佐々木)勇気八段がいるんですけれども、特別アドバイスをもらったことはないですね。藤井王将に2日制でタイトルを奪った棋士はいませんので、有益であれば教えていただきたいんですけれども、本人も有益かどうかわからないのでそうした話をしていないのかなと思います。誰かが突破口を開かないといけないのと、現実として藤井王将がいちばん2日制を経験されているのでハードルが高くなることがあると思います。

検分終了後、主催者の取材と揮毫が行われました。

Dsc_8456(藤井王将への取材)

Dsc_8425(穏やかな表情で抱負を語る)

Dsc_8355(永瀬九段への取材)

Dsc_8397(笑みがこぼれる場面もあった)

Dsc_8378(大志と揮毫する藤井王将)

Dsc_8370(後ろには羽生九段との揮毫が飾られている)

Dsc_8463(永瀬九段の揮毫)

Dsc_8489(聡と揮毫する永瀬九段)

15時30分から対局場検分が行われました。

Dsc_8131(駒を並べる両対局者)

Dsc_8150(藤井聡太王将)

Dsc_8200(挑戦者の永瀬拓矢九段)

Dsc_8289(掛川は好天で部屋が少し暖かかったため、室温以外は問題なく終了した)

藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑むALSOK杯第74期王将戦七番勝負が開幕します。第1局は1月12・13(日・月祝)の両日に静岡県掛川市「掛川城 二の丸茶室」で行われます。持ち時間は2日制の各8時間。対局開始は9時。1日目の18時以降に手番の棋士は封じ手を行い、翌日9時に対局を再開します。昼食休憩は両日とも12時30分から13時30分。第1局の先後は振り駒で決定します。
第1局の立会人は森内俊之九段、副立会人は神谷広志八段、記録係を伊藤明日香女流初段が務めます。スポーツニッポンの観戦記は関口武史指導棋士五段が執筆します。

◇主催
【毎日新聞】
https://mainichi.jp/oshosen2025

【スポーツニッポン】
https://www.sponichi.co.jp/society/tokusyu/osho2018/

◇特別協賛
【ALSOK】
https://www.alsok.co.jp/info/alsokhai-oushousen/

◇協賛
【囲碁将棋チャンネル】
https://www.igoshogi.net/shogi/oushou/74th/74oushou_seven_battle.html
【立飛ホールディングス】
https://www.tachihi.co.jp/social/art-culture/
【inゼリー】
https://www.morinaga.co.jp/in/jelly/
【MEITETU】
https://top.meitetsu.co.jp/

◇対局場
【掛川城】
https://kakegawajo.com

中継は棋譜コメントを文、ブログを琵琶が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

2024年2月 8日 (木)

20240208a7300482(記者会見に先立ち、花束が贈呈された)

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――シリーズ4連勝という形で、防衛を果たされました。4局を振り返って、感想をお願いします。

藤井「すべて対抗形の将棋で、判断が難しいところが多かったかなと感じています。これまでは2日制で対抗形の将棋はなかったので、今回の王将戦で考えてみるとこれまでと違った感覚を得られるところもあったかなと思っています」


――今回の防衛でタイトルを20期連続獲得となり、大山十五世名人の19期連続を抜いて、史上最多記録となりました。

藤井「記録というのは意識はしていなかったんですけど、意識してもなかなか目指せるというものでもないので、光栄なことだと思っています。これまでのタイトル戦を振り返ると、苦しいシリーズも少なからずあったので、こういう結果はやっぱり幸運もあったかなと感じています」


――藤井さんが初めてタイトルを取られたのが、2020年です。その当時に感じられていた課題で、克服できたものがあれば教えてください。そして、課題として残っていること、どう克服するかの考えも聞かせてください。

藤井「当時のことは覚えてはいないんですけど、まず序盤において当時よりもいろいろな形に対応する力が少しずつ付いたところはあるのかな思っています。それでも、やっぱり考えても判断がつかない局面というのは少なからずあるので、その点は引き続き、 課題でもあるのかなと思います」


――今回は大山康晴十五世名人の記録を更新されました。藤井さんにとって、大山十五世名人はどういう存在として意識されてきたんでしょうか。

藤井「私自身は大山先生ともだいぶ離れていて、もちろん直接お会いしたりといった機会もないです。 伝説上の方というイメージですが、奨励会時代に大山先生の棋譜を並べていたことがありました。主に相居飛車の将棋で、手厚さは当時から結構、先進的な将棋を指されていたのかなという印象です。その棋譜を並べたことは、自分にとってすごく勉強になることだったと思っています」


――王将戦の開幕まで、対局間隔が空いていました。12月はほとんど対局がなかったはずです。そのことは今回のシリーズで実戦の勘に影響したり、逆に研究の時間を十分取れてよかったこともあるかと思います。その辺りはいかがでしょうか。

藤井「王将戦開幕前は対局が少ない時期だったので、その間に対振り飛車の練習をしたりなど、時間はしっかり取れたのかなと思っています。対局の間隔が空いたこともあって、中盤で時間を使いすぎてしまったんですけど、全体としては1局を集中して指すことができたのかなと感じています」


――4勝0敗というのは、これ以上ない成績です。このシリーズを満足度を教えてください。

藤井「シリーズ全体を通して見ても、2日制で対抗形の将棋はこれまで経験がなかったので、序盤から長い時間を生かして、いままでより一手一手考えて指せました。自分にとっては充実したシリーズだったといえるかなと思っています」


――立川での王将戦は4年目を迎えました。 達人戦も始まって、もっと将棋の街みたいになったらいいなと思いますが、指す人や観る人が増えるようなアイデアはありますか。

藤井「立川市ではここ数年、毎年この王将戦の対局を開催していただいていて、私自身は今回で3回目になり、盛り上がりを実感しています。今年から達人戦の決勝戦をはじめとする対局が、立川市で開催されています。公開対局と合わせて、いろいろなイベントも開いていただき、すごくファンの方や立川市の方に将棋を身近に感じていただける機会になったかなと思います。それが今後も続けばいいなと思っています」


――今回の対局地「オーベルジュ ときと」は、地元の人にもすごく憧れの場所です。居心地はいかがでしたか。

藤井「『オーベルジュ ときと』さまは、昨年に新しく開業され、 本当にすごくいいところだと聞いていましたので、私自身も楽しみにしていました。実際に伺ってみると、期待以上で本当に洗練された雰囲気があり、お食事も美味しくて、素晴らしい環境の中でも対局をさせていただきました」


――去年のタイトル戦を振り返るときに、菅井八段との叡王戦を課題として挙げていらっしゃいました。今回、菅井八段とタイトル戦に臨むに当たって、何か意識したことはありますか。

藤井「叡王戦では序盤でペースを握られてしまったり、中盤の難しい局面で急所を掴めずに時間を多く使ってしまったことがありました。今回の王将戦はこの点を意識して、対抗形の経験を積んだり、叡王戦のときよりも序盤を深く考えて臨みました。実際、それが生きたところもあったのかなと思います」


――今年は最初の防衛戦で防衛されました。いいスタートを切れた手応えはありますか。

藤井「対局の間隔が空いたときに、少し内容のよくない将棋を指してしまうことが多かったです。今回も対局が少ない状態で開幕を迎えたんですけど、コンディションを崩さずに戦っていけたというのは、手応えのある結果だったかなと思っています」


――昨年に八冠を達成されたあたりから「少しずつ戦法の幅を広げたい、球を増やしたい」という発言をされていました。今回、第4局は自分から角交換して力戦に持ち込んでいます。いままで、あまり指していなかった展開だと思うんですが、発言されたような意識があったんでしょうか。

藤井「自分自身も、本局は経験のない形でした。序盤でこちらが1歩得するような形になるので、それを生かすことができたら面白いのかなという気持ちもありました。持ち時間の長い将棋だったので、力戦というのも合っているかなと考えたというところもあります」


(書き起こし=紋蛇、写真=玉響)