第72期王将戦七番勝負第1局 Feed

2023年1月 9日 (月)

おはようございます。対局日2日目の朝もよく晴れています。
今日のスケジュールは以下の通りです。

09:00 封じ手開封・対局再開
10:30 午前のおやつ
12:30 昼食休憩
13:30 対局再開
15:00 午後のおやつ

Dsc_3811 (大日本報徳社にある二宮金次郎像)

本局はいくつかのサービスで動画中継されます。

◇毎日新聞は以下のリンクに情報がまとまっています。
https://mainichi.jp/oshosen2023
第1局は
8日午前8時半から 振り駒と初手
8日18時ごろから 封じ手
9日午前8時半から 封じ手の開封
9日終局     インタビューと感想戦
のライブ配信が予定されています。

◇囲碁・将棋チャンネルは下のリンクに放送日程がまとまっています。
https://www.igoshogi.net/shogi/oushou/72th/72oushou_seven_battle.html
第1局は
8日は8:40~12:30と13:30~18:30
9日は8:45~12:30と13:30~19:00
で生中継(延長の場合あり)。

◇囲碁将棋プレミアムでは、8日、9日とも8時から開場。
8日 https://www.shogipremium.jp/live/118
9日 https://www.shogipremium.jp/live/119

◇囲碁将棋チャンネルのYouTubeやニコニコ生放送のチャンネル「囲碁将棋プラス」でも中継あり(YouTubeは第1局無料、ニコニコ生放送は第1局は会員無料)。詳しくは下のリンクをご覧ください。
https://www.youtube.com/@igoshogiplus
https://ch.nicovideo.jp/igoshogiplus

◇ABEMAでは、ペイパービューで中継があります。
8日 https://abema.tv/channels/payperview-1/slots/EWhZPKs446X9rf
9日 https://abema.tv/channels/payperview-1/slots/9dRVPEDFVu5911

2023年1月 8日 (日)

封じ手の予想は△5八成銀が最有力。そのうえで久保九段に1日目の印象、神谷八段には2日目の展望を聞きました。

Dsc_3958 (検討する神谷八段(左)と久保九段)

久保九段「一手損角換わりは予想されていなかった戦型でした。後手は▲2五飛(39手目)に△2四銀からゆっくり指すこともできました。△3六銀から△4七銀成は積極的な印象です」

Dsc_3597 (午前中に封じ手用の封筒を作っていた)

神谷八段「羽生九段が藤井王将の受けを突破できるかどうかです。もう囲うような将棋ではありませんから、後手が動いていく将棋になって、先手はそれに応対する展開になりそうです」

Dsc_3951 (大盤解説会で解説する神谷八段)

Dsc_3997 (対局室に戻った羽生九段は封筒を藤井王将に渡す)

Dsc_4000 (封筒に署名をする藤井王将)

Dsc_4019_2 (藤井王将が羽生九段に封筒を戻す)

Dsc_4022 (最後に羽生九段が封じ手の入った封筒を立会人である久保九段に手渡す)

Dsc_4032 (藤井王将が駒を片づけている間の表情)

Dsc_4038001 (最後に一礼して1日目終了。翌9日9時に封じ手を開封し、対局再開)

18時に封じ手の意思表示をした羽生九段。封じ手の道具一式を受け取ったあと、一度対局室に手ぶらできて「すみません、ノリを(ください)」と頼みました。対局室に緊張が走りましたが、中沢三段が確認したうえで「お渡ししています」と答えると、「えっ? あっ、すみません」と自身の控室に戻る場面も。ノリも受け取っていたのを失念していたのかもしれません。数分後、羽生九段は封筒を作り終えて対局室に戻りました。

Dsc_3973 (羽生九段が封じ手を書き終えるのを待つ藤井王将)

Dsc_3987 (棋譜を確認)

Dsc_3995 (封じ手を記入し終えた羽生九段が戻る)

Dsc_4007(羽生九段。跳ねているうさぎをあしらった羽織紐をつけている。羽生九段はうさぎを飼っていることで知られる)

藤井王将と羽生九段は、ともに中学生で四段昇段した共通点があります。
羽生九段は谷川浩司十七世名人、渡辺明名人に続いて3人目の中学生棋士とのタイトル戦です。

20230108_chugakutitle_2
上の表は中学生棋士同士のタイトル戦の成績です。中学生棋士5人はそれぞれ棋界を代表する棋士ですが、それでも世代が離れすぎているとタイトル戦の対戦が難しいことがうかがえます。31歳9ヵ月の年齢差のタイトル戦は異例なのです。

Dsc_3732 (羽生九段)

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37手目▲2六飛以降、両者の長考が目立つようになりました。上図の△3五銀は昼食休憩を挟む1時間10分の長考です。以下、▲2五飛(1時間16分の長考)△3六銀▲2六飛(1時間10分の長考)△4七銀成で下図です。羽生九段は先手の飛車を責めながら銀を敵陣に侵入。そして、藤井王将は飛車の往復により手損したうえで下図で▲5八銀と受けました。
副立会人の神谷広志八段は「羽生九段は勝負にいっていますが、藤井王将が冷静に受けてこれで十分とみています。私には後手は薄く感じてあまり自信がありません。バランスを取る将棋は羽生九段も得意でしょうけど、苦労が多そうな気がします。▲5八銀からは△同成銀▲同金△3五銀▲2五飛△2四銀▲2八飛が予想されます。1日目はあと数手で封じ手になりそうです」と話します。

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Dsc_3617 (控室で検討する副立会人の神谷八段。神谷八段は静岡県浜松市出身)

Dsc_3844 (控室にお天気キャスターの森田正光さんが訪れている。久保九段とは指導対局を受けていた。森田さんはアマ三段の棋力で、スポーツニッポンで本局の記事を執筆するとのこと。田丸昇九段と親交が深い。昨年の将棋ペンクラブ大賞では最終選考委員も務めた)

今回の七番勝負は、両対局者に31歳9ヵ月もの年齢差があります。これは歴代2位の記録。1位は大山康晴十五世名人と南芳一九段による第15期棋王戦で、40歳2ヵ月差のタイトル戦でした。
なお、記者が調べたところでは、年齢差のあるタイトル戦の3位は藤井王将と木村一基九段による第61期王位戦で29歳差、4位は羽生九段と米長邦雄永世棋聖による第52期名人戦で27歳3ヵ月差、5位は大山康晴十五世名人と桐山清澄九段による第28期棋聖戦で24歳6ヵ月差でした。
羽生九段は2002年7月生まれの藤井王将と1943年6月生まれの米長永世棋聖とタイトル戦での対戦があるわけで、こうしたデータからも長く上位で活躍し続けているかがわかります。なお、藤井王将は、米長永世棋聖が59歳1ヵ月のころに生まれました。

Dsc_3725_2 (羽生九段)

藤井王将は今回が通算12回目のタイトル戦。これまでのタイトル戦で敗退したことがないのは驚異的です。羽生九段が最初に五冠王になったのは1993年度の第34期王位戦で、タイトル戦登場は9回目でしたが、2回目の第3期竜王戦で谷川浩司王位(現十七世名人)に敗れています。
11回のタイトル戦の先後別の勝敗は以下のようになります。

20230108_fujiititle
先手番は通算で22勝3敗(0.880)と、非常に高い勝率です。後手番は17勝5敗(0.773)。こちらも高勝率ですが、番勝負を通してみると後手番で負け越したシリーズが第6期叡王戦と第35期竜王戦の2回あります。相手側からすると、自身の先手番をものにしつつ、藤井王将の先手番をどう切り崩すかが課題といえそうです。

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