第67期王将戦七番勝負第1局
大日本報徳社
早くも終盤戦 後手優勢に
図は16時30分頃の局面。
形勢を問われた郷田九段は「激しい攻め合いになっていますが、専門的に見ると後手の1手勝ちがかなりはっきりしているように思います。先手が粘る順も、いまのところちょっとわかりません」と語り、明確に後手優勢と判断しています。
控室で将棋プレミアムの生中継の取材を受ける郷田九段(右)。神谷八段(中)、中尾五段(左)も後手優勢と見ている。
また、Twitter解説の井出四段も「後手やや優勢」から「後手優勢」に形勢判断を進めています。
■Twitter解説■
井出隼平四段>(△2八歩に)これが筋ですか。▲2八同玉は△2六歩が詰めろで攻めが速くなってしまいそうです。後手玉に迫るには▲5二銀ですが銀を渡すと△2九歩成が詰めろになっているかもしれません。(後手優勢)
【16時40分追記】
久保王将は△2八歩に▲2四成銀としました。以下△2九歩成なら▲2五成銀と根元の桂を取る狙いです。「なるほど、桂を取れば上部脱出の望みが出てきますか。さすがに簡単には終わらないですね」と郷田九段。
掛川城公園
緊迫する局面
1日目午後のおやつ
後手の好手
現地大盤解説会始まる
13時から現地大盤解説会が始まっています。
初日から多くの人が来訪している。掛川の将棋熱の高さがうかがえる。
解説は静岡出身の神谷八段が担当。立会人の郷田九段もゲスト出演を予定している。
大盤の後ろには報徳の教えの書画がかけられている。
報徳の教え(現代文)は以下の通り。
父母の根元は天地の令命にあり
身体の根元は父母の生育にあり
子孫の相続は夫婦の丹精にあり
父母の富貴は祖先の勤功にあり
吾身の富貴は父母の積善にあり
子孫の富貴は自己の勤労にあり
身命の長養は衣食住の三にあり
衣食住の三は田畑山林にあり
田畑山林は人民の勤耕にあり
今年の衣食は昨年の産業にあり
来年の衣食は今年の艱難にあり
年々歳々報徳を忘るべからず
掛川市
掛川市は静岡県西部に位置する都市で、人口はおよそ12万人(2017年11月現在)。東海道の主要な宿場町として古くから栄えました。街のシンボルともいえる掛川城は、室町時代に今川氏が家臣の朝比奈氏に銘じて築城され、さらに戦国時代に豊臣秀吉の直臣、山内一豊が城主となったあと、天守閣や大手門が建立されました。それにより、城下町としても大きく発展を遂げて現在に至ります。
掛川駅は東海道新幹線が停車する大きな駅だが、掛川城側の北口は城の景観に合わせてレトロな木造になっている。
駅前にある二宮金次郎の像。
二宮金次郎(金次郎は通称・幼名は金治郎)はのちの二宮尊徳で、掛川に根付く報徳の教え(いろいろなものの恩徳に感謝しながら生活する思想)を広めた。掛川には報徳思想を受け継ぐ大日本報徳社があり、二宮尊徳の残した報徳の教えは、掛川市民に広く根付いているという。
掛川駅から掛川城に向かう途中に、本局の協賛をする掛川信用金庫がある。こちらも、城の景観に合わせたレトロな作りだ。
掛川城の前を流れる逆川。川岸の崖が欠けるように崩れる様から、欠け川(懸け川とも)と呼ばれ、そこから掛川の地名がつけられたと考えられている。掛川城の天然の堀の役割も担っていた。