2020年3月

2020年3月 6日 (金)

Ousho202003050101162図の局面で渡辺明王将が投了した。終局時刻は19時36分。消費時間は、▲渡辺明7時間59分、△広瀬7時間59分。勝った広瀬八段は3勝2敗でタイトル奪取まであと1勝となった。第6局は3月13、14日(金、土)、佐賀県三養基郡「大幸園」で行われる。

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Img_2305_waki_s「この手は調べられていませんでしたね。手順の組み合わせが難しいところでしたが、香打ちの受け自体が挙がっていなかったと思います」(脇八段)

Img_2307_oisi_s「香は7七地点に打ち込んで攻めに使いたい、といわれていました」(大石七段)

どうやら検討陣にとって盲点の受けだったようです。読み直しが始まりますが、なかなかハッキリとした手は示されません。広瀬八段が難解な局面に持ち込んだか、それとも渡辺明王将の読みの内か。対局室では記録係による秒読みの声が響くようになっています。

_110代えて△3五歩など、3八飛の脅威を和らげる手が継ぎ盤では調べられていましたが、広瀬八段は△7五桂と我関せずの攻めに出ました。少し前まで「終局が見えません」という声が上がり始めていましたが、またもや寄せ合いになりやすい局面になりました。時刻は18時頃、残り時間は両者ともに30分を切っています。

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Img_2304_osakajo (ほどなくして大阪城のライトアップが始まった)

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ここで△3三玉には▲2七香を村山七段が指摘します。以下(1)△1五歩には▲2三歩成△同金▲同香成の即詰みがあるため(2)△2五歩ですが、▲1四銀(変化図)が詰めろになるため先手が好調に攻めていけます。それではいけないという判断か、広瀬八段は逆側に玉を逃げ、控室では「それでしのげるのですか」と驚きの声が上がりました。

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大阪城公園では桜、梅、桃などの名所としても知られています。2020年の桜の見ごろは3月末ということでまだ先ですが、園内のほかの花をいくつかご紹介致します。

Img_1350_00_f01 (梅)

Img_1305_00_f02 (しだれ梅。こちらはほのかにピンク色)

Img_1336_00_f03 (ユリオプスデージー)

Img_1354_00_f04 (椿)

_97控室ではここで(1)△2五香から後手玉の上部開拓をする変化が調べられていましたが、実戦は(2)△7六歩と攻め合いました。継ぎ盤周りからは着手と同時に「堂々と!」の声が上がっています。このあとすぐに両者の持ち時間は1時間を切りました。

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Img_2287_sweets01 (里見姉妹)

KKRホテル大阪の差し入れで、控室に大量のスイーツが運ばれました。熱の入った検討にひと時の休息の時間が流れます。里見香女流四冠は「抹茶ムース」、里見咲女流初段は「オレンジゼリー」をそれぞれ選択。「先に選んでいいよ」といった姉妹らしいやりとりが見られました。

Img_2255_sweets02 (ほかにも「チョコレートムース」や「わらびもち」に各棋士、関係者が手を伸ばした)

_91局面は終盤戦に入りつつあります。
ここで副立会の大石七段に、本局の進行について振り返っていただきました。

Img_2280_ooisi_s「途中までは後手ペースだと思っていましたが、70手目△7三銀のところで△5三銀と引きにくかったということで、また79手目▲4六桂などの追撃もあり、少しずつ先手が盛り返していったという印象です。現局面で後手がどう指すのかが難しく、私は少し先手持ちですね。ただ形勢自体はまだまだ難しいと思います」(大石七段)

Img_2275_h1510a (検討風景。ひとつの継ぎ盤を全員で囲み、思い思いに意見を出し合っている)