2018年1月

2018年1月 7日 (日)

34△4五銀の仕掛け以降、後手にとって難しい局面が続くと検討されていましたが、図の△4四銀が好手と評判です。一見すると相手からの▲4四銀を防いだだけで、後手を引いて面白くないようですが……。

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その後、△2五歩▲3七銀△3五歩と進んでみると打った銀が働いています。
郷田九段は「こうなってみると、先手があまりうまくいってない感じがしますね」との見解を示して、大盤解説会場に向かいました。

Img_1747 △4四銀の好手を見せた豊島八段。ここからペースをつかめるか。

13時から現地大盤解説会が始まっています。

Img_1781 解説会は報徳思想の総本山、大日本報徳社で行われている。

Img_1784二宮金次郎像。

Img_1778 初日から多くの人が来訪している。掛川の将棋熱の高さがうかがえる。

Img_1776 解説は静岡出身の神谷八段が担当。立会人の郷田九段もゲスト出演を予定している。

Img_1779_2 大盤の後ろには報徳の教えの書画がかけられている。
報徳の教え(現代文)は以下の通り。

父母の根元は天地の令命にあり
身体の根元は父母の生育にあり
子孫の相続は夫婦の丹精にあり
父母の富貴は祖先の勤功にあり
吾身の富貴は父母の積善にあり
子孫の富貴は自己の勤労にあり
身命の長養は衣食住の三にあり
衣食住の三は田畑山林にあり
田畑山林は人民の勤耕にあり
今年の衣食は昨年の産業にあり
来年の衣食は今年の艱難にあり
年々歳々報徳を忘るべからず

掛川市は静岡県西部に位置する都市で、人口はおよそ12万人(2017年11月現在)。東海道の主要な宿場町として古くから栄えました。街のシンボルともいえる掛川城は、室町時代に今川氏が家臣の朝比奈氏に銘じて築城され、さらに戦国時代に豊臣秀吉の直臣、山内一豊が城主となったあと、天守閣や大手門が建立されました。それにより、城下町としても大きく発展を遂げて現在に至ります。

Img_1687 掛川駅は東海道新幹線が停車する大きな駅だが、掛川城側の北口は城の景観に合わせてレトロな木造になっている。

Img_1684 駅前にある二宮金次郎の像。
二宮金次郎(金次郎は通称・幼名は金治郎)はのちの二宮尊徳で、掛川に根付く報徳の教え(いろいろなものの恩徳に感謝しながら生活する思想)を広めた。掛川には報徳思想を受け継ぐ大日本報徳社があり、二宮尊徳の残した報徳の教えは、掛川市民に広く根付いているという。

Img_1677 掛川駅から掛川城に向かう途中に、本局の協賛をする掛川信用金庫がある。こちらも、城の景観に合わせたレトロな作りだ。

Img_1675 掛川信用金庫を過ぎると、すぐに掛川城の大手門が見えてくる。

Img_1651_2 掛川城の前を流れる逆川。川岸の崖が欠けるように崩れる様から、欠け川(懸け川とも)と呼ばれ、そこから掛川の地名がつけられたと考えられている。掛川城の天然の堀の役割も担っていた。

Img_1657 今日は天気がよく、鴨の一家が気持ちよさそうに泳いでいた。

Img_1720 先に対局室に戻った久保王将は棋譜を手に取った。

Img_1737 少しして豊島八段も対局室へ。

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Img_1750 郷田九段が再開を告げる。

Img_1754 再開してすぐに久保王将が▲4五同銀を着手。

Img_1760 豊島八段はすぐに△同歩と取った。

33再開から▲4五同銀△同歩▲3三角成△同桂まではすぐに進み、そこから久保王将は3分で▲6六角と打ちました。

28_212時30分を回り、豊島八段が△4五銀とぶつけた局面で昼食休憩に入りました。消費時間は▲久保1時間55分、△豊島32分。昼食の注文は両者ともに「浜名湖産うな重」。豊島八段はアイスティーも注文しています。対局は13時30分に再開します。

Img_1696 浜名湖産うな重。

Img_1699 豊島八段はアイスティーとセットで。

28ゆったりとしたペースで駒組みが続かに見えましたが、11時48分に豊島八段が△4五銀と早くも銀をぶつけました。郷田九段、神谷八段からも驚きの声が上がりました。
本局は昨年12月に行われた順位戦A級の久保王将-豊島八段の類型でしたが、この△4五銀でまったく別の将棋に入りそうです。

Img_1691 駒がぶつかって、控室では本格的な検討が始まった。盤面は、実際の盤面と左右反転し、相居飛車の将棋として作られている。居飛車党の棋士はこのほうが考えやすいという。
後手側を持つ神谷八段は、「ちょっと動かすとすぐ作戦負けになる。かなり指しづらい将棋」と語る。△4五銀は普通なら指しづらくて選びにくい手だが、豊島は針の穴を通すような深い研究の末に、この手を選んだのだろう。

10時28分頃、対局者におやつが運ばれました。久保王将は「フレッシュジュース(苺)」(掛川産紅ほっぺ100%)、豊島八段は「フルーツ盛り合わせ」です。

Img_1630 静岡県の名産、イチゴのフレッシュジュース。

Img_1633 フルーツ盛り合わせにも掛川産の紅ほっぺ(イチゴ)と掛川産のキウイが入っている。

Img_1614 定刻の9時に対局が開始された。

Img_1617 久保王将の初手は▲7六歩。

Img_1620 豊島八段は△3四歩と応じた。

Img_1626 長い戦いが幕を開けた。

7図は9時30分頃の局面。
両者ゆったりと指し進めて、局面は相振り飛車模様に進んでいます。