2016年2月

2016年2月 5日 (金)

20160205_hikaesitu (終局近しの雰囲気に、関係者はモニターを見守る。モニターには苦しみながら勝負手を繰り出す郷田王将と勝ちを読みきろうとする羽生名人が映し出されている)

20160205_hikaesitu2 (佐藤康九段と松本六段が先手の手段を探す。木村八段がそれを見つめる)

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控室が検討した手順に進んでいます。図は郷田王将が▲7九銀と頑張ったところ。ここでTwitter解説の長沼七段や検討陣は△8八角を示しています。ただのようですが、▲同銀と取らせれば守りが7八に利かなくなるため、△7八飛の痛打が生じます。
羽生名人は慎重に時間を使って考えています。そして、11分使った末に△8八角が打たれました。非常に厳しい一手と見られています。郷田王将は肩を落として、うつむきました。

20160205_habu8 (朝の羽生名人。厳しい表情を浮かべながら1日目の指し手を再現していた)

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局面は72手目△8五桂まで進みました。50手目△3五歩から流れは激しくなり、終盤戦です。佐藤康九段は「後手のパンチが入っているかもしれません。▲7四歩と桂を取れば△7七桂成▲同金△8八銀▲7六金△8九銀不成と進みます。先手はここで持ちこたえられればいいのですが。手順中の△8八銀(参考図)が好手です」と解説します。参考図の△8八銀に▲同飛は△7九角▲同玉△7七飛成が厳しいです。

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木村八段は66手目△7四桂(2図)からの手作りに感心しています。羽生名人が細い攻めを巧みにつなげています。

20160205_kimura5 (木村八段が解説していた。木村八段は羽生名人の△7四桂からの攻めに感心していた)

20160205_kimura6 (休憩に入ろうとしていたところで71手目▲7五歩が指されたため、72手目を次の一手クイズにした。候補手は△8五桂、△8七歩成、その他)

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16時45分現在、59手目▲6六銀まで進みました。ここまでの流れを木村八段に聞きました。
木村八段「ひと言でいえば、ゆっくりした流れです。その中で▲4六角(43手目)から▲3七桂という郷田王将の構想はさすがだと思いました。すべての駒を使って押せ押せでいければ理想的です。

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▲5五銀(49手目)に対する羽生名人の△3五歩(2図)は機敏で、先手の構想を崩す一手になったと思います。流れが急になりましたから。後手が有利というわけではありませんが、指していて楽しそうな攻める展開に持ち込めました。△3五歩が後手が細い攻めをつなげられるかどうか。受ける先手も楽しみがありますよ」

20160205_kimura4 (解説する木村八段)

20160205_ooban4 (佐藤康九段と松本六段が飛び入りで大盤解説会に)

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「先手は3八に右金がいるので、▲6六銀(47手目=図)で先手は玉を囲っていく将棋ではありません。後手に攻められたときに玉を4八のほうに逃げるようにしたいです。次の▲5五銀(49手目)では、▲2九飛や▲7五銀が予想されていました。
羽生名人は▲5五銀に△3五歩から動きました。△8六同飛(2図)に▲8七銀として歩得を主張しようとするのは、△8五飛で銀取りと△8六歩を見られてしびれます。

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5五銀を浮き駒にさせるために△3五歩(50手目)と突き捨てたのだと思います」と佐藤康九段は解説します。

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図は49手目▲5五銀の局面。郷田王将の残り時間は1時間13分、羽生名人は1時間33分。本格的な戦いが始まらないまま、2日目の15時45分を回りました。
郷田王将は▲4六角と据えたあと左銀を繰り出して攻めを狙います。戦機が熟してきました。控室では△3五歩が調べられています。以下▲同角△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛とさばく狙いです。▲5五銀で▲7五銀なら△3五歩からの攻めはありませんでした。



20090211_habu(ホテル花月での対局は本局で6回目となる羽生名人。写真は第58期王将戦七番勝負第3局から)