2014年2月
感想戦
終局直後
(3勝目を挙げた渡辺明王将。防衛まであと1勝とした)
【渡辺王将インタビュー】
――角換わりは予定でしょうか
(2手目が)△8四歩ならと思っていました。
――前例のある進行でしたが
▲3五歩(59手目)でどうなるかとやってみたかった。
――直後の△4五銀直は予想していましたか
ばらして銀(64手目△6九銀)は一番普通かと思いました。
――封じ手の局面はどうでしょうか
手が広い局面なので、見通しは立っていませんでした。
――79手目▲1一銀の局面はどうでしょうか
角損の攻めなので、ちょっとわかりませんでしたが、ほかに手もないと思ったので。
――よくなったと思ったところは
▲6九金(95手目)のあたりですかね。
――この一局を振り返って
いろんな手があったので△8六歩(68手目)のあたりは正しく指せたかどうか。
――これで3勝になりました
もう終盤戦なので悔いの残らないようにしたいです。
(敗れた羽生善治三冠。先手番となる第6局で追いつけるか)
【羽生三冠インタビュー】
――前例のある進行でしたが▲3五歩は予想していましたか
▲3五歩の応接はちょっとわからなかったですね。
――戦いが始まったあたりの成算は
攻め合いもどうかと思いましたが、代わる手もなかったのでやってみましたが、▲1一銀の反動も厳しかったですね。もう悪いのかもしれない。何かあったかもしれませんが、今すぐにはわかりません。
――終盤戦はいかがでしたか
難しいところもあったかもしれませんが、足りない感じはありました。
渡辺3勝目
詰めろが途切れる
90手目△7八銀打以降、先手玉には常に詰めろがかかっていましたが、▲1八飛(詰めろ逃れの王手)でそれも途切れそうです。実戦は△1七歩で飛車の横利きを変えにいきましたが、歩の裏から▲1六香が厳しそう。後手は指し手が難しくなってきました。
先手が残している
90手目△7八銀打まで。この2枚銀の連携が後手の工夫で、△7八銀打に代えて△6九角は▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛が王手角取りになります。
先手は図から▲1二歩成△同飛▲同と△同玉(参考1図)まで進めた局面が問題です。
参考1図から(1)▲1八飛は攻防手ですが、△1三歩(△1七歩は▲1六香)▲5二竜△2二歩▲2三銀△同玉▲2九香△2四銀(後手は歩切れ)▲同香△同玉▲1五銀△3五玉(△2三玉は▲2八飛)▲2六金△4五玉(参考2図)と逃げられてしまいます。この変化は6三桂や4六金が受けに利きます。
よって参考1図では(2)▲7九香(参考3図)が冷静な手で、△6九角は▲1二歩成から清算して▲1九飛の王手角取り。また▲7九香に△同銀成は▲同玉で詰めろがかかりにくい形になります。
控室の総意は「▲7九香で先手よし」。両者とも全力で走り続けた結果、依然として先手がリードを保っているようです。