お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負第2局 Feed

2024年7月17日 (水)

詩人の石川啄木は函館の自然を短歌に残しました。大森浜にある啄木小公園の看板によれば、函館に滞在した約4ヵ月間は、啄木の短い生涯の中でも楽しい期間だったとあります。


 頬につたふ
 なみだのごはず
 一握の砂を示しし人を忘れず


歌集『一握の砂』の名が取られたこの一首をはじめ、「砂」は啄木が好んで散歩した大森浜がモチーフになっているといわれます。函館山を望む大森浜には、啄木像が建てられています。今回、啄木亭で対局に使われている部屋にある書も、啄木が詠んだ短歌です。


 たはむれに母を背負ひて
 そのあまり軽きに泣きて
 三歩あゆまず

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昼食休憩明けから▲3五歩(57分)△同歩(65分)▲5八金(5分)△7五歩(38分)▲5六角(17分)と進みました。考慮時間から中盤の勝負どころであることがうかがえます。飛車の横利きを通す△7五歩が大きな手になるので、黙っているわけにはいきません。渡辺九段は3筋を突き捨てて動く準備をすると、▲5六角(48手目)と急所のラインに角を据えました。

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攻め駒を3筋方面に集中させて対応を尋ねています。控室で検討する森内九段は「戦いになるような気がしますね」と話します。17時を過ぎ、どちらが封じるか気になる時間帯になってきました。1日目のうちは本格的な戦いに入らないと見られていますが、2日目は早くから決戦に入る可能性も出てきました。

15時、午後のおやつの時間になりました。藤井王位は「テリーヌ・ド・ショコラ」とアイスティー、渡辺九段は「バタークリームケーキ(メロン抜き)」とオレンジジュースを注文しています。テリーヌ・ド・ショコラはノワールとフロマージュの2種類。渡辺九段はケーキに添えられているフルーツのうち、メロン抜きで希望しました。

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12時30分、渡辺九段が44分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡辺九段1時間43分、△藤井王位1時間19分。昼食は藤井王位が「道南大地の恵み2段重箱」とアイスティー、渡辺九段が「寿司極御膳(サビ抜き)」とアップルジュースを注文しました。重箱は津軽海峡産のマイカと北海道産米を使ったいかめし、サクラマスの西京漬け、ひこま豚のしょうが焼きなど盛りだくさん。デザートにフルーツタルトがついています。寿司のネタはマスノスケ、マイカ、芽ネギ、キンキ、ムラサキウニ、マゾイ、ゴジラエビ、トロ、イクラ、ニシン、エゾアワビです。対局は13時30分に再開されます。

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五稜郭は1855年(安政2年)の函館開港に伴い、北方警備の目的で建造されました。防衛に際して死角をなくすため、名前の由来にもなった五角星形の稜堡を有しています。明治時代には戊辰戦争における最後の戦闘、箱館戦争の舞台になりました。現在は国の特別史跡に指定され、五稜郭公園として一般開放されています。函館市出身の二上達也九段は、父に連れられてよく五稜郭跡まで散歩に出かけたと自著で回顧し、「故郷を思うとき、真先に心に浮かぶのは五稜郭である」と記しています。

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