図は16時30分頃の局面。
行方八段は10分の考慮で▲5五歩(上図)と突き出しました。
この手は▲4五歩と角を追ったときに△8八角成を消したもので、本譜のように△6四金▲4五歩△5五角▲同角△同金(下図)で角の取る位置を中央にずらすことができます。単に▲4四角は△同金で、後手の金が働いてしまいます。
本線ではありませんが、控室でも▲5五歩の変化は検討されていたようです。図の△同金以下、(1)▲4四歩を入れる変化と単に(2)▲4一角と打つ変化が検討されていましたが、いずれも先手の攻めが細くつながらなそうだとみられていました。小林健九段は後手がよさそうだ、という感想を残しています。
その順に踏み込んだ行方八段がどのような攻めの構図を描いているのか、今後の指し手が注目されます。
(継ぎ盤の1つを現在挟んでいるのは小林健九段と香川女流初段)
(取材も兼ねている森信七段はメモを取りながら)
(若葉)
2013年7月
対局カメラより
「動きませんね」
図は16時頃の局面です。
▲2二歩に今度は羽生王位の手が止まりました。長考の気配です。
井上九段と船江五段の継ぎ盤では▲2二歩△同玉▲4五歩△8八角成▲同玉△3一玉の変化が調べられています。△3一玉が落ち着いた一手で、▲5五角が王手にならないようにしています。そこで先手の継続手が難しいようで、継ぎ盤はそこで止まっています。
「動きませんね」(小林健九段)
「動きませんねー」(井上九段)
「何やったらいいか全然わからないです」(船江五段)
具体的にどのように指せばいいか難しい局面ですが、攻め将棋の船江五段は先手を持って指してみたいとのことでした。後手陣はキズが多いためまとめるのに苦労しそう、ということです。
(頭をひねる検討陣)
(井上九段と小林健九段)
(若葉)
午後のおやつ ― 2日目 ―
行方八段、長考
図は14時45分頃の局面。
△6二飛に行方八段の手がぴたりと止まりました。
前手▲6四歩を「筋の手で、△5三金にはこう指してみたい手なんですよね」と解説するのは船江五段。取られそうだった歩を攻めの拠点にする味のよい一手です。また、▲6三歩成△同金とすれば、△5三金と上がった手を無駄な一手にすることもできます。
ところがそれに対する図の△6二飛も先手の動きを利用した味のよい一手。次に△6四飛と払う形になれば飛車が3四銀をにらむ形になり、後手の駒がさばけてきます。
控室の継ぎ盤では先手にいい順がないか調べられていますが、攻めるのが難しいのか指し手はあまり進んでいません。香川女流初段と藤原三段の継ぎ盤では▲2二歩△同玉▲4四角△同金▲6三歩成△同飛▲4一角の変化が並びましたが、この順は「△6四飛で後手よし」という結論になりました。▲4一角は▲2四飛△同歩▲2三銀打の狙いですが、△6四飛と浮けば▲2四飛に△3四金(A図)で受かります。(棋譜コメントより)
井上九段は「一気によくするような手順は難しいので、悪くならないような、ぼんやりした手を指すかもしれません」と今後の展開を予想しています。
(香川女流初段と藤原三段。師匠の森信七段も横から検討に加わる)
(若葉)
控室(7)
船江五段に続いて小林健二九段、酒井順吉七段も控室を来訪しました。
小林健九段は徳島県徳島市「渭水苑」で行われる第5局の立会人を務めます。
酒井七段は2年前にここ有馬で行われた第52期王位戦七番勝負第2局で副立会人を務めていました。
控室にはベテラン、若手棋士、女流棋士、奨励会員と多様な検討陣がそろいました。
(小林健九段)
(継ぎ盤の側に座って早速検討に加わる酒井七段。
「あ、先生すいません」(席を譲る井上九段)
「わしは横で見てるだけや」(酒井七段))
(酒井七段の差し入れ「大栄堂」の生菓子。酒井七段の地元・明石の銘菓である)
(継ぎ盤では師弟戦が実現。
「師弟戦やってくださいよ」(小林健九段)
「よし、来い!」(井上九段))
(若葉)