(1勝目を挙げた西山朋佳女流三冠。思うように攻められなかった第2局とは違い、踏み込んだ手も多かった)
―――対局は三間飛車を選択されました。序盤作戦や駒組みはどうでしたか。
西山 ▲4六歩(65手目)と受けたあたりで、こちらに手がつきやすい状況で難しかったですが、なんとか反撃に転じて、なんとか手になっていたと思います。
―――昼食休憩前後、△7二玉(54手目)に▲2五歩としたあたりの手ごたえをお聞かせください。
西山 ▲2八銀(57手目)と引くのでは少し自信がないかなと思っていました。
―――自玉周りの戦いが続きました。▲5四歩(73手目)から▲4八金上としたあたりの形勢判断や感覚をお聞かせください。
西山 陣形差で少しだけ自信があるような気がしていたのですが、大駒と玉が近くて、直接的な手があるとこちらの玉に早く攻めがきてしまうので難解だと思っていました。
―――強く受けていましたが、実際に指しやすくなったと感じたのはどのあたりでしたか。
西山 ▲3五歩(115手目)△同香▲4六竜の組み合わせが見えて、詰む形や▲5五角の王手竜取りの狙いができて、自玉が安泰になったので良くなっていると思いました。
―――一局を振り返って、どのような将棋と思いますか。
西山 水面下で飛車交換など激しい変化もあったと思います。6筋の歩が切れていたり、5筋を突く筋がこちらにあったりして難しい将棋だったと思います。
―――1勝返しました。福間女流名人への連敗も止まりました。
西山 第4局も指せるので悔いなく挑めるように準備して臨みたいと思います。
―――西山女流三冠の三間飛車に相振り飛車となりました。序盤の駒組みはいかがでしたか。
福間 指してみないと分からないと思っていました。
―――昼食休憩後に西山女流三冠の玉に攻め込みました。そのあたりの手応えはいかがでしたか。
福間 少し指しやすいと思いました。
―――▲5三歩成(83手目)から攻め込まれたところでの感覚をお聞かせください。
福間 少し勝っていそうと思っていたのですが、本譜は選んではいけない順に踏み込んでしまったと思います。
―――▲4六歩(95手目)に△5四飛と寄ったあたりはどうでしょうか。
福間 ▲4六歩に対してどうしたらいいのかなと思っていたのですが、本譜は少し錯覚していたところがあって違う順を選ぶべきだったと思います。
―――進めていって難しさを感じた局面はどのあたりでしょうか。
福間 ▲4六歩(95手目)であまりいい順がないなら、▲4五歩(91手目)に対して指し方でほかの手順を選ぶべきだったと思います。
―――一局を振り返っていただけますか。
福間 形勢はややいいと思っていたので、そこから崩れたのが残念な一局だったと思います。
―――2勝1敗になりました。第4局に向けての思いをお聞かせください。
福間 引き続き、体調に気をつけて臨めたらと思います。
▲西山-△福間戦は133手で西山女流三冠が勝ちました。終局時刻は16時50分。消費時間は▲西山2時間18分、△福間2時間59分。西山女流三冠がシリーズ初勝利を挙げて1勝2敗としました。第4局は4月4日(金)に東京・将棋会館で行われます。
(琵琶)
今日は3月30日。本局は2024年度最後のタイトル戦対局です。今期五番勝負は第4局が4月4日、第5局は4月11日に予定されています。
2024年度の女流タイトル戦を振り返ってみます。
第4期白玲戦 西山白玲4-2福間女流五冠
第6期清麗戦 福間清麗3-1加藤桃子女流四段
第17期マイナビ女子オープン 西山女王3-0大島綾華女流二段
第14期女流王座戦 福間女流王座3-0西山女流三冠
第35期女流王位戦 福間女流王位3-0加藤女流四段
第46期女流王将戦 西山女流王将2-1福間女流五冠
第32期倉敷藤花戦 福間倉敷藤花2-0伊藤沙恵女流四段
2024年度に終了した7つの女流タイトル戦はすべてタイトル保持者が防衛しています。全棋戦でタイトル防衛となるかどうか。
プロ棋戦のほうも、第9期叡王戦で伊藤匠七段(当時)が藤井聡太叡王(当時)を3勝2敗で破った以外は、すべてタイトルホルダーの藤井聡竜王・名人がタイトル防衛して七冠を堅守しました。全体を見ると、タイトルホルダー強しの1年といえそうです。
(銀杏)