(伊藤女流二段は1勝を返し、第4局につなげた)
――角交換の形を選ばれましたが、指してみていかがでしたか。
伊藤 里見さんとは初めての形になりましたので、一手一手、考えて指していました。
――△4九飛成(42手目)のあたりはどう考えていましたか。
伊藤 桂得なので少しいいと思っていました。でもこちらの飛車が成っていく形にはならないので、まだまだ難しいのかなと。
――よくなったと思ったのはどこですか。
伊藤 拾った香で金を取ったあたりです(83手目▲5二香成)。
――控室では、▲5四歩から▲4四角(57手目)は伊藤さんらしい順と言われていました。
伊藤 当初から予定していた順に気になる変化があったので、本譜は予定変更でした。それがいい順だったかはわかりません。
――中盤はじっくりというか慎重というか、伊藤さんの思いを感じる指し方でした。
伊藤 よくなってからも気を引き締めて指そうと思っていました。勝ちきることができてよかったです。
――本局全体の感想を教えてください。
伊藤 繰り返しになりますが、里見さんとは初めて指す形だったので、新鮮な気持ちで指せました。
――大きな1勝ですね。
伊藤 タイトル戦ではストレート負けが続いていたので、この結果と第4局を指せるのがうれしいです。第4局はいつもどおり集中して、一生懸命に指そうと思います。
――序盤はいかがでしたか。
里見 力戦になりそうだったので、一手一手、考えて指そうと思っていました。
――仕掛けの成算はいかがでしたか。
里見 ちょっと強引な仕掛けだったんですけど、実戦的には大変かなと思って攻めました。
――この一局を通してはいかがですか。
里見 ▲3六角(49手目)に対して、ぱっとした手がありませんでした。本譜はだいぶ悪くしてしまったと思います。
――防衛は次局に持ち越しとなりました。
里見 気持ちを新たにして頑張りたいと思います。
図の局面で、里見女流名人が投了しました。終局時刻は16時48分。消費時間は、▲伊藤2時間52分、△里見2時間58分。
勝った伊藤女流二段は、シリーズ成績を1勝2敗としました。第4局は18日(月)に東京都渋谷区「将棋会館」で行われます。
(紋蛇)
分岐点といわれた局面から▲5四歩△6二銀▲4四角△2九竜▲4三歩で図。▲4四角は寄せの段階になれば▲6二角成も視野に入りますが、現状は△3五歩を消した意味の手のようです。控室では「▲4四角に伊藤女流二段の慎重さを感じる」という声がありました。0勝2敗と追い込まれた伊藤女流二段は負けられない戦いです。