第47期五番勝負第3局 Feed

2021年2月 7日 (日)

感想戦

Dsc_0259

Dsc_0265 (3連勝のストレート防衛。12連覇まで伸ばした里見女流名人)

Dsc_0269

Dsc_0262

Dsc_0278

今期五番勝負の中継ブログの更新は以上で終了します。ご観戦ありがとうございました。第48期女流名人戦もお楽しみに。

(吟)

終局直後

Dsc_0219

Dsc_0249

―― 今日の将棋を振り返られて。

里見 第1局とほぼ同じ形になって、はっきり分かっている訳ではなかったのですが、自分の棋風にあった指し方を選べたのではないかなと思います。

―― 第1局から変化して、加藤さんが長考していたあたりは。

里見 実戦的には難しいのかなと思っていました。

―― ペースを握ったのはどのあたりの局面でしょう。
里見 桂を取り合ったところは、こちらの玉が固くて攻める展開になったので、そこは指しやすいのかなと。

―― 中・終盤も方針に淀みがないのかなという印象でしたが。

里見 途中は、玉が露出してしまって、指しているときは神経を使っていました。きっちり読み切れたかなと思います。

―― 本局の勝利でタイトルを防衛されました。どんなお気持ちですか。

里見 ほっとしています。

―― 今期は最強の挑戦者である加藤さんとのシリーズを制しました。

里見 対抗形で、課題局面になる将棋ばかりだったので。準備段階で考えるのは、こちらが課題を突きつけられるような感じだったので、少し苦労はしましたが、それはそれで楽しめたのかなと思います。

―― 3局を通しての印象は。

里見 いい部分も悪い部分も出たのかなと思うので、今後に活かせればと思います。

―― タイトル防衛は難しいことですが、12連覇になりました。

里見 いろんなシリーズがあったとは思うのですが、精神的に強くしていただいた棋戦かなと思います。

―― 今回の防衛で、清水市代女流七段と並ぶ、通算タイトル獲得数が43期になりました。いまのお気持ちは。

里見 当時と較べると女流棋戦がかなり増えて、いい環境で指させていただいているので、清水さんとはそういったこともあって、比較することはできません。清水さんのような人間性に成長できるように、これからも技術面も磨いて頑張れたらなと思います。

―― この43期の前にはひとつのシリーズで足踏みがありましたが。

里見 年間通して、棋戦が増えたこともあり、対局数が増えました。1局に一喜一憂する訳にはいかないので、純粋に将棋が好きという気持ちでやっていました。

―― 並んだ記録を更新するという期待を持たれる方がいると思います。女流王位戦が最短での防衛になりますが。

里見 技術的にまだまだ不足しているのを感じるので、日々、それを埋められるようにしていきたいです。

―― 最後にこれからの目標、夢のようなものは。

里見 特にはないのですが、好きなことをさせていただいているので、勝負とは別に楽しむ気持ちを持って、将棋に向き合っていけたらと思います。

Dsc_0226

―― 一局を振り返っていただきたいのですが。

加藤 第1局と似たような将棋になりました。第1局よりは、駒を前に出せたかなと思いましたが、ただ桂を取り合ったあとが自信がなくなってしまいました。そのあたりの組み立てに問題があったのかなと思います。

―― 第1局の類型になって、▲5五歩を選ばず、▲9六歩から▲3五歩でした。実際、指されてみて。

加藤 ▲3五歩ではいろんな方針があって、時間を使ってしまったのですが、そんなに悪い手という気はしていなかったので、そのあとなのかなと。

―― ▲4二角と打ち込んだあたりの局面は。

加藤 自信があるわけではなかったですね。歩切れなのと△3六歩の催促が待っているので、ちょっといくしかないかなと思って、攻めてしまったところはあります。

―― 終盤はいかがでしたか。

加藤 △4七歩からのと金攻めが、振り飛車側からすれば、分かりやすく攻められるので、美濃囲いをどう攻略すればいいのか分からなかったです。▲8三桂成からいきましたが、ちょっと足りないと思っていました。もうちょっと稼ぐ手があったのか、自分の力では見つけられなかったです。

―― このシリーズ3局を振り返られて、どうでしょうか。

加藤 あっという間だったなと。女流名人戦のタイトル戦は初めてだったので、いろいろ収穫があったなと思います。勝負をするからには、勝ちたかったのですが、タイトル戦に向けて準備というか、自分自身と向き合うことができて、結果は残念でしたが、少しだけ成長できたかなという気はしています。

―― 女流名人戦という古いタイトル戦に臨んでみて。
加藤 非常に重みのあるタイトルだと思います。こんなに長く棋戦を続けていただいているので。リーグも厳しかったですが、そこを抜けても里見女流名人の壁は厚いなという気がしました。

―― 里見さんとは、何度もタイトル戦の大舞台で戦っていますが。

加藤 一番、最初に出てくるのは『うれしい』ですね。強い方と指せるのがうれしい。過去を振り返るとかなり負け越しているので、もうちょっと頑張りたいというのはあるのですが、そういった意味で、私自身の能力を高めてくれるというか、引き上げてくださる方だと思っています。

―― 最後に気は早いですが、すぐに次にリーグ戦が始まります。来期、再挑戦に向けての思いを。

加藤 今期が初出場だったこともあって、長期のリーグ戦を戦い終えて、ほっとしたというか、しんどいところもありましたし。また一からスタートということで、気持ちを切り替えて、ひとつひとつ、積み重ねて、この場に戻ってくることができればいいなと思います。

Dsc_0248

(吟)

里見女流名人が12連覇達成

Joryumeijin202102070101106 この局面で加藤女流三段が投了し、里見女流名人の勝ちとなりました。
この結果、女流名人戦五番勝負は3連勝で里見女流名人の勝利となり、里見女流名人は12連覇を達成しました。また、清水市代女流七段の持つ通算タイトル獲得数43期の最多記録に並びました。

里見女流名人勝勢

20210207c

図は△7四桂と△6八金までの詰めろをかけた局面です。里見女流名人がリードを広げて勝勢になっています。

(吟)

後手優勢

20210207b

図は△4七歩と里見女流名人が垂らした局面。立会人の高見七段は、「先手は攻防手を指したいところですが、なかなかないです。△4八歩成を速度で逆転するのが難しく、後手の歩の攻めを振りほどくのがキツイです。里見さんが、うまく手を繋いだように思います。自分なら▲8六歩と指して、△4八歩成▲6八金寄で、8七に逃げ道を作りつつ、▲8五香を狙います」と解説しました。

Dsc_0188 (防衛を達成すれば通算タイトル獲得数が43期になり、清水市代女流七段が持つ最多記録に並びます。局面は優勢で、このまま勝ちきり、防衛を決めるのでしょうか)

(吟)

まめバス

野田市内を走る「まめバス」。デザインがかわいらしい。

Dsc_0209

Dsc_0211

Dsc_0212

Dsc_0214

(吟)

昨日の両対局者

Dsc_0062 (館内の色紙に足を止めて見入っている里見女流名人)

Dsc_0061_2 (関根金次郎記念館を見学する加藤女流三段)

Dsc_0072

(今朝の高見七段。本局がタイトル戦で初の立会人。野田を訪れるのは2度目とのこと。1度目は第41期五番勝負第2局(2015年1月25日)で大盤解説(下記は当時の記事のリンク)を担当しました)

【現地大盤解説会始まる】

https://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2015/01/post-0024.html

(吟)

本局の使用駒

本局に使用されている盤駒は、関根金次郎支部が所蔵しているものです。

Dsc_0056

Dsc_0059

(本局の使用駒は鷹山作関根名人書の盛上げ駒)

(吟)

対局再開

Dsc_0196 (対局が再開され、△3五歩を着手する里見女流名人)

Dsc_0204 (△3五歩に対して、▲4六銀と引いた加藤女流三段)

Dsc_0207

(吟)

休憩中の対局室

Dsc_0176 (▲5五同銀の局面で昼食休憩)

Dsc_0177

Dsc_0179 (休憩中に窓(右奥)が開けられ換気しています)

(吟)

カテゴリ