第39期五番勝負第3局 Feed

2013年2月 4日 (月)

湯原小学校訪問

対局翌日、両対局者は湯原小学校を訪問して講演を行った。村田女流二段が司会役を務め、事前に集められた質問に棋士が答える形で進行していった。

003

006

025

021

019

040

■質問コーナー
将棋を覚えたのはいつごろですか、その後プロを目指したのはいつですか
里見 5~6歳の頃、兄が指しているのを見て覚えました。小学校の5~6年生の頃には、プロになりたいと思うようになりました。
上田 父が将棋好きで、最初に兄が始めて5歳の頃に自分も覚えました。プロを考えたのはかなり早くて、将棋道場に通うようになって、小学校の2年生の頃にはプロになりたいと思っていました。
淡路 私が子供の頃は縁台将棋というのが盛んで、それをのぞいているうちに自然に覚えました。13歳ぐらいに教室に通うようになって、同年代の人が奨励会を受験するときに、私も一緒に受験してみたらと言われてプロになるということを考えました。
室谷 礼儀作法などを学ぶ目的で姉と一緒に将棋教室に通って覚えました。プロになることを考えたのは高校生になってからです。
香川 小学校2~3年生の頃に男子が指しているのを見て覚えました。負けて悔しくて、絶対勝ってやると思って勉強しました。相当負けず嫌いだったんです(笑)。その後道場に通っているうちに、徐々にプロを意識するようになりました。

子どもの頃の成績は、好きな教科は
里見 勉強は得意じゃないですけど、算数は好きでした。
上田 体を動かすことが一番好きでしたけど、算数も好きでした。
淡路 計算するのは好きでしたね。成績は算数が中の上ぐらい。他はまあよくないです(笑)。
室谷 算数好きでしたけど、体育が一番好きですね(笑)。
香川 私はいま大学に在学中で、文系ですね。子供の頃は算数も好きでした。運動は苦手でしたね(笑)。

将棋の楽しいところはどこですか
里見 盤を挟めば、年齢や男女の区別なく、誰とでも同じ立場で戦えることです。
上田 私もいろんな人と指せることが嬉しいです。それから、考えること自体が楽しいですね。
淡路 私も若いころは40歳年上の大先輩と戦いました。いまは40歳下の人と戦っている。「棋は対話」と言うように、将棋を通していろんな世代の人と対話ができるんですね。

好きな食べ物はなんですか。強くなるには何を食べればいいですか
里見 食べること自体がとても好きです(笑)。あえて言うなら「たこ焼き」が好きですね。何を食べれば強くなるかは、私も知りたいです。
上田 和食が好きですね。お蕎麦とか、薄味のものが好みです。強くなるには健康が大事ですから、バランスよくなんでも食べるといいですね。

棋士になろうと思う前は何をしたかったですか
里見 料理人とかパティシエとかになりたかったです。自分で美味しいものを作って食べられるので(笑)。
上田 私は小学校2年で棋士を目指していたので、その前だと「はいしゃさんになりたい」と書いたことがありますね(笑)。人の虫歯を治療できるってすごいな、と思っていました。

将棋の勉強方法、強くなる方法
里見 ひとりで勉強することもありますが、人とたくさん指すほうがいいと思います。とにかく経験を積むこと。私は出雲に住んでいて対戦相手がなかなかいなかったので、インターネットの対局も利用しました。勉強時間は学生の頃は3時間ぐらいでしたね。強くなる方法は私も知りたいですが、とにかく自分で体験して何かを感じること大切だと思っています。
上田 基本的に小さいころと変わっていないですね。同じ努力をずっと積み重ねることが大事だと思います。子供のころは、学校が終わるとすぐ道場に行って、道場が終わる時間までずっといました。「もう終わりだよ」と言われて、「嫌だ、帰らない」と泣いたこともありましたね(笑)。強くなるには、好きな勉強方法を見つけて毎日続けること、積み重ねることが大事だと思っています。

スランプのときはどうしますか
里見 すぐに結果が出ないこともあるので、根気よく続けることだと思います。
上田 つらいときに、そこで頑張ると成長できると思います。スランプのときこそチャンスだと思いたい。
淡路 スランプというのは、努力し続けている人じゃないと経験できないことなんです。なまけている人がうまくいかないのは、スランプじゃなくて実力なんです。だから皆さん、しっかり努力してくださいね。

最後に皆さんへのメッセージをお願いします
里見 なんでもやってみることが大事だと思います。自分でどんどん体験して実感して欲しい。そうして好きなことを見つけてください。
上田 好きなことがあって、それをできるというのはとても幸せなことです。好きなことに向かって努力して頑張ってください。

048

小学校へ棋書が贈呈され、両対局者には花束が贈られた。代表の生徒が感謝の辞を述べる。

「今日はいろいろなお話を聞くことができて、とても楽しかったです。その中でも、好きなことを見つけて努力を積み重ねること、というお話が印象に残りました。ありがとうございました」

063

(書き起こし=八雲、写真=文)

2013年2月 3日 (日)

感想戦

272001

281

293

289

336

306

331

304

358

349

(文)

解説会場にて

252

267

268

(文)

終局直後

インタビューが行われたのち、二人は解説会場へ移動した。

205

213

■里見香奈女流名人
―― 一局を通して感想をお願いします。
里見 序中盤は指しやすかったかなと思います。昼休のところから、少しずつよくなってきたかなと思いました。
―― 第1局、第2局はかなりミスが多いと反省をされていましたが、今回は完勝譜のように見えますが、その辺りは。
里見 自分なりにはうまく指せたかなと思っています。
―― いろいろな課題を持って五番勝負に臨まれていると思いますが、先手番で石田流を投入して、勝ちにこだわったかなというイメージがあるのですが。
里見 いや、自分がやりたいものだったので。勝敗も大事ですけど、自分のやりたいこともしっかりやらなきゃいけないと思ったので。
―― 昼休の辺りというのは、具体的にはどのような手順ですか。
里見 本譜の△4四歩(64手目)打ったところではよくできそうな気がしたんですけど、結構難しいかなと思っていました。
―― よくなった、と思ったところは。
里見 ▲6一歩成(73手目)△同銀となって銀が離れたので、指しやすくなったかなと思いました。
―― 寄せを一気にいきましたが、どの辺りから考えていましたか。
里見 確信はなかったんですが、だいたいどの変化もいけるような気がしたので、▲3三角成(93手目)といけるんじゃないかなと思いました。
―― これで2勝1敗とリードされました。第4局に向けて抱負をお願いします。
里見 しっかり準備をして、一生懸命がんばりつつ、楽しんでいけたらいいかなと思います。

233

■上田初美女王
―― 一局を振り返っていかがでしたか。
上田 序中盤は知っていた形だったんですけれども、中盤はよくわからなかったですね。▲6二歩(71手目)と垂らされてから銀が働かなくなってしまったので、悪くしてしまったと思いました。
―― 形勢としておかしくしたかな、と思ったのはどの辺りですか。
上田 昼休明けやその前後はよくわからなかったですけど、玉頭戦になってから一気に押し切られてしまった気がします。
―― 逆にチャンスというか、よくなりそうなところは。
上田 調べてみないとまだわからないんですが……完敗だったと思います。
―― 第4局に向けて抱負をお願いします。
上田 今回は一方的な勝負になってしまって残念なので、しっかり準備して、力いっぱい戦えたらいいかなと思います。

237

249

(文)

里見女流名人が勝って防衛に王手

Joryumeijin201302030101111
五番勝負第3局は、111手まで里見香奈女流名人が勝ちました。
終局時刻は15時21分、消費時間は▲里見1時間45分、△上田2時間40分。
勝った里見女流名人は対戦成績を2勝1敗とし、防衛にあと1勝と迫りました。

強烈な端歩

Kifu_1053筋を壁にさせて▲1五歩(図)。強烈な端歩だ。次に▲1三銀と打ち込む手があり、詰めろになっている。控室では「受け方がわからない」と、継ぎ盤の動きが止まっている。

200001

(文)

後手ピンチか

Kifu_92上田女王が△2三歩(図)と受けた局面。まだまだ先が長そうに見えるが、ここで里見女流名人は▲3三角成!と勢いよく踏み込んでいった。以下△同金寄▲2五桂打△7五角▲3三桂成△同金▲2五桂△3二銀で下図。
Kifu_100ガリガリと後手陣を薄くして迫る。先手は▲5三桂成が切り札だ。継ぎ盤ではここで▲4三歩が示され、攻めの継続を図る好手という評判。控室では「寄せが速い」と感嘆の声が上がった。後手がピンチを迎えている。
大盤解説会では長谷川女流二段、香川女流初段が解説中。おやつの話題になると、「この局面では余裕がないかもしれないですね」という話も出ていた。

199

(文)

おやつ

14時30分、対局室におやつが運ばれた。メニューは里見女流名人が苺のショートケーキとシューケーキ、上田女王がモンブランとマカロン。これにそれぞれフルーツの盛り合わせが付く。飲み物は二人ともピーチティー。備前市で作られたもので、ポットからは甘くさわやかな香りがふわっと立ちのぼっていた。

186001
(里見女流名人の注文した苺のショートケーキとシューケーキ)

187
(フルーツの盛り合わせ)

185
(こちらは上田女王の注文したモンブランとマカロン。このように2段で運ばれる)

190

(文)

大盤解説会、始まる

ホテル3階では大盤解説会が始まっている。△5三金(78手目)の局面で次の一手が出題され、「このときだけは中継は見ないでくださいね」と村田女流二段が呼びかけていた。控室では菅井五段と香川女流初段が検討中。

178

181

184

(文)

プチ撮影会

161

160

162

167

168

(文)

カテゴリ