【藤井王座の談話】
――前例のない戦いだったが、午前中の進行については。
藤井 △4四角(10手目)の形が非常に難しくて、それをどのように判断するのか難しいと感じていました。昼食休憩のところ(45手目)は▲1五歩と仕掛ける感じなのかと思いましたが、飛車を引かれてから△1七歩と打たれると、角の利きが強くて、それ以上、攻めがない気がしました。本譜は後手に主張を通されてしまったと感じていました。
――夕食休憩の辺りの中盤戦については。
藤井 動いていったんですけど、無理気味で。歩を交換されているので、何か動いていかざるを得ないと感じていました。こちらの玉が薄いので、自信が持てない展開だったのかなと。
――一進一退の攻防が続いたが、形勢がよくなったと思われたところは。
藤井 ▲7三角成(89手目)から▲7七同玉で、自玉が寄らなければ駒得で楽しみが多い展開になったかなと感じていました。
――最後、勝ちになったと思われたのは。
藤井 ▲4四桂(95手目)と打って、何か駒を抜かれる筋がなければ、と思っていました。
――シリーズは2勝2敗のタイになった。第5局に向けての抱負は。
藤井 少し期間が空く形になるので、少しでも実力を高めて、第5局を迎えられるようにしたいと思います。
【伊藤叡王の談話】
――序盤で新工夫(10手目△4四角)が見られた。
伊藤 やってみようかなと思っていたんですけど、本譜のように角道を止められたあと、4五の位を取られる展開になりやすいのかなと思っていました。
――ジリジリとした中盤戦になった。
伊藤 途中は危険そうな局面もあるかなと思っていましたが、7筋と8筋で歩を2枚、切れた辺り(52手目△8六同飛)は、後手番としては存分に戦える気もしていました。中盤以降は非常に難しい将棋でした。
――苦戦を意識したところは。
伊藤 ▲2八角(71手目)と引かれる手を軽視していて、そこからの数手で急に差が開いてしまったかなという感じがしたので、その辺りで何かなかったかなと。
――第5局に向けて。
伊藤 本局はもう少し難しい戦いを続けたかったので、(第5局では)夕食休憩以降も、しっかりと読みを入れて指す必要があると感じました。
(玉響)
第4局は99手で藤井王座が勝ちました。終局時刻は20時3分。消費時間は▲藤井4時間37分、△伊藤5時間0分。藤井王座が勝って2勝2敗とし、決着は最終局に持ち越されました。第5局は10月28日(火)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われます。
(琵琶)
16時となり、図の局面を迎えています。藤井王座が▲1五歩と突いたところです。△1五同歩は▲1二歩△同香▲1三歩△同香に▲2五桂と跳ねて香を取りにいき、△2二銀には▲1三桂成△同桂に▲8七香(参考図)と打って飛車を取る狙いがあります。しかし、先手としても飛車先が素通しのため、怖い筋があります。△8七歩が手筋ですが、▲8九飛と回って迎撃する方針かもしれません。取材で現地を訪れている勝又清和七段は「形勢は難しいところだと思います」と話しています。
(琵琶)