正念場での選択
森内九段がABEMAに出演して現地の様子をレポートしました。陣屋の館内を紹介するとともに局面についてスタジオの解説陣と意見を交わし、森内九段は「藤井王座が正念場を迎えている」と話していました。その正念場で藤井王座が一つの決断を下します。
端に手をつける△9五歩(64手目)が思い切った選択です。出演を終えて控室で検討していた森内九段は「さすがですね」とうなりました。永瀬九段が指した▲2九飛は角のラインから逃げて形を整えた手ですが、先手玉が中央方面に逃げ出す展開になると、飛車は二段目にいたほうが受けに利いている面があります。「そこに目をつけて端を攻めたのが藤井さんらしい『相手の手に対応した手』で、非常に反射神経がいいなと思いました。△2二玉もあったとは思いますが、▲2九飛の顔を立ててしまうので」と森内九段。ここから▲9五同歩△9六歩▲5五歩と進んでいます。
森内九段は次のように話します。「どちらがいいかはわからないんですが、後手は数手で混沌とした形に持ち込みましたので、不利感をいっぺんに解消しました。藤井さんが攻めて、永瀬さんがクリンチする展開になると思います。次の手がすごい難しいですね。△9五香か、△5五同歩か。方針が変わってきますので」
ここに至るまでのポイントとして、「永瀬さんとしてはどこかで▲7四銀と打ちたかったと思うんですけど、見送って打てなくなったのが気になります」と森内九段。例えば、銀交換になった直後の△7五同歩(60手目)の局面で▲7四銀は考えてみたい手でした。森内九段は「けっこう嫌な銀だったと思うんですけど。現状は先手としては『追いつかれたな』と感じます」と話しています。
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