意外な組み立て
双方の残り時間が少なくなってきました。藤井王座は残り10分を切っています。控室では▲6八金(103手目)に△6四銀▲6八金△同桂成で駒を蓄え、じっくり先手玉の寄せを目指す順を予想していましたが、藤井王座の指し手は逆サイドの△1三香でした。以下▲2四香△同角成▲同飛△2三香▲5三歩と進みます。
攻め駒と思われた角で香を食いちぎり、飛車を捕獲しました。攻防織り交ぜた曲線的な指し回しに、検討陣から驚きの声が上がります。残り時間が少なくなれば、直線的な順で決着をつける流れを考えたいもの。本譜は長引いても構わないという姿勢で、意外に映る組み立てです。形勢は依然、後手リードと見られていますが、森内九段は「ゴールに近づいている気がしませんね。秒読みになったら嫌ですよ」と話しています。永瀬九段に巻き返しのチャンスは訪れるでしょうか。
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