村山八段の見解
(新聞解説の村山八段に、58手目△6四金までの展開について振り返っていただいた)
「藤井さんがストレートに右玉に組んだのは初めてだと思います。33手目▲5六銀が早いから、というような多少の駆け引きはあったかもしれません。39手目▲4七銀で先手が2手損になり、より右玉にしやすくなりましたね。46手目△6四歩は仕掛けたというより、局面をほぐしたという感じでしょうか。そこから50手目△6四歩▲6七歩と、陣形の隙をなくす渋い展開になりました。52手目△7三金には驚きました。相当珍しく、場合によっては攻めに使おうというもので、決断の一着でした。膠着状態になっています。現局面の△6四金は玉頭が薄くなりそうなのが気になりますが、代えて△6四銀は▲3二角を嫌ったのでしょう。しかしこの形は見たことがなく、果たして堅いのか。どちら持ちかといわれると……(しばし考えたあと)いや、難しいですね。間違いなく長い将棋ではあります」(村山八段)