カテゴリ

« 感想戦 | メイン | 永瀬王座の自戦解説について|NIKKEI LIVE »

2022年10月 4日 (火)

囲み取材

感想戦後に各メディアによる永瀬王座の囲み取材がありました。

Dsc_0699

――いまの気持ちは。

豊島九段とはタイトル戦を1回やってタイトルを獲られています(第5期叡王戦七番勝負)。藤井(聡太竜王)、渡辺(明名人)、豊島に番勝負で1回も勝てていなかったので、勝つことができてよかったと思います。

――7月8月は不調に見えました。(8月末に開幕した)シリーズの序盤はいかがでしたか。

去年も同じことをやったので気をつけていたんですけど、同じ状況になって驚きました(永瀬は去年の7~8月も敗戦が多かった)。気をつけても防げない要素もあるかもしれませんが、(今年7月から8月1日までの)5連敗はワーストだと思うので、かなり厳しい状態だったのかなと思います。

――そこから立て直せた要因は。

もし2局目で敗れて2連敗してしまうとかなり厳しいので、本当に勝負どころだったと思います。将棋としてもかなり厳しい内容でした。そこを何とか千日手に持ち込むことができて、流れが変わって、徐々に(よくなっていった)という感じかもしれません。

――自身の調子も上向いてきていますか。

悪い時期といまの自分を比べて、どこが自分に合っていて、どこが合っていないのかという考え方をしています。それがうまくかみ合ったというか、自分がいい状態を目指すにはどうすればいいのか、それが少しずつ実現できているのかなと思います。

――来期は3人目の名誉王座の資格(5連覇もしくは通算10期)が懸かってきます。

いつもどおり頑張るしかないと思いますが、めったにない機会ですので、ものにしたいなと思っています。

――世間では藤井聡太竜王の全冠制覇を期待する声もあります。どのように立ち向かいますか。

それをどうにかするには、自分がタイトル戦に出て、ちょっとひや汗をかいてもらうしかない。タイトル挑戦をしない限りは、なかなか(全冠阻止の)役目を果たせないのかなと思います。

――番勝負中に30歳になりました。30代はどのような戦いをしたいですか。

現状は何も変わっていません。30代になって、より勉強するようになったかなくらいです。20代とは違う点もあると思いますので、ちゃんと考えながら仕上げていきたいと思います。

――今日の棋聖就位式で藤井聡棋聖が(棋聖戦第1局で2回の千日手から永瀬に敗れたこと踏まえて「体力面を鍛えないといけないと感じた」と話していました。永瀬王座はご自身の体力についてどう思いますか。

もともと将棋体力は高いと思いますが、技術がともなってくれば、もっと焦ってもらえると思います。藤井棋聖・竜王には、ながらく教えていただいていますけど、語弊がありますが名古屋の方は(体力が)あるなと思っています。別に(棋聖戦の)1局目のときも相手の体力が減っているという印象はありませんでした。でもそういうふうに考えていただける、こちらの長所であるというのであれば、それを生かしていきたいと思います。

――本年度後半はどう戦っていきますか。

王将リーグが始まりましたし、(順位戦)A級が3回戦まで終わりました。1勝でも多く勝つことを目標にします。また、豊島九段との戦いでは得るものが多く、何が足りないのかもよくわかったので、そこを今後は生かしていきたいと思います。

――具体的に何が足りなかったでしょうか。

1局目は準備が足りませんでした。本局においては神経を使わされる展開で、実戦的に指しきるのはかなり難しいと思いました。そういう指し方も学んでいかなければいけないと思いました。

――ファンに向けて一言。

防衛という、いちばんよい結果になって、ほっとしています。今回の番勝負ではかなり収穫がありました。これを糧に頑張っていきたいと思います。あと7月8月が例年かなり厳しいので、そこを気をつけてまた頑張りたいと思います。

(牛蒡)

このサイトに掲載されている記事・イラスト・写真・商標等の無断転載を禁じます。