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終局直後に両者にインタビューが行われた。
【木村九段の談話】
――本局を振り返ってください。
木村 難しくてよく分かりませんでした。
――形勢の流れはどのようなものでしたか。
木村 後手番としてはまあまあかと思ってたんですけど、結局、攻められることになったので、どうかなあと。
――勝ちになったと思ったのはどこでしょうか。
木村 (自玉が)詰まないかなあ、と思って。
――準決勝のあとには、「ラストチャンスだと思う」と話していました。王座挑戦を決めたいまの感想を教えてください。
木村 うれしいです。
――永瀬王座の印象と、五番勝負の意気込みを教えてください。
木村 充実している方なので、精一杯、体調も整えて頑張りたいです。
【佐藤九段の談話】
――本局を振り返ってください。
佐藤 苦しめの将棋で、ちょっと持ち直したかと思ったんですが、攻め急いでしまったかもしれません。
――持ち直したと思ったのはどの辺りでしょうか。
佐藤 桂を打って金銀を取れる形になったので(83手目▲6五桂打)、難しいかなと。
――1986年の大山康晴十五世名人以来となる現役の将棋連盟会長のタイトル戦登場が懸かっていましたが、届きませんでした。
佐藤 大山先生の記録は畏れ多いので全然意識してなかったんですけど、残念ですね。最後、もうちょっと最善を尽くしたかったです。
――AIでの研究が全盛の時代に、会長職に就きながらここまで勝ち上がったことは素晴らしいことだと思います。ご自身としてはいかがですか。
佐藤 自信はあるんですけど、いつも結果につながらなくて。久々にチャンスがきたと思ったんですけど。年はかなりいってますけど、まだまだ強くなれると思っています。ミスをなくすことが課題ですかね。
(八雲)(談話=睡蓮)
132手で、木村九段が佐藤九段をくだしました。終局時刻は20時32分。消費時間は▲佐藤5時間0分、△木村4時間58分(チェスクロック使用)。勝った木村九段は、13期ぶり2回目となる王座挑戦を決めました。永瀬拓矢王座と木村九段による第69期王座戦五番勝負は、9月1日(水)に宮城県仙台市「ホテルメトロポリタン仙台」で開幕します。
(睡蓮)
図は19時50分頃の局面。切り合いから後手が抜け出してリードを広げたと見られています。図から木村九段は△6五同銀左と桂を食いちぎりました。これが決め手になりそうです。
(八雲)
時刻は19時を回りました。
先手の▲9七角に対して、木村九段は△8六歩▲同角と取らせて、角を飛車の射程に入れました。先手に歩を渡したことで▲6五歩が生じているため、もう受けきって勝つ将棋ではなくなっています。△3七角などを利かして、切り合いで勝負にいくと見られています。終盤の勝負どころを迎えたようです。
(八雲)
時刻は17時を回りました。
攻め合いを読んでいた検討陣に対して、木村九段は丁寧に受けに回りました。先手の攻めを切らしてしまう方針で、”千駄ヶ谷の受け師”の異名を持つ木村九段ならではの指し回しといえそうです。
(八雲)