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2020年10月14日 (水)

囲み取材

感想戦終了後に囲み取材がありました。
本日はご観戦いただきまして、ありがとうございました。

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――あらためて、いまの気持ちは。
永瀬 フルセットが課題でしたので、フルセットで初めて勝つことができてよかったなと思います。

――やはり先月の叡王戦をフルセットで敗れたのはダメージが……。
永瀬 いえ、過去のタイトル戦も全部フルセットで負けているので、そういう意味で。

――開幕前は「挑戦も防衛戦も変わらない」と話されていました。実際に戦ってみていかがでしたか。
永瀬 防衛戦という考えでは、挑戦者とタイトルホルダーであまり変わらないと個人的に思っているのですけど、過密日程の中で結果を出すことが求められているのかなと思いました。

――すさまじい日程でした。次の対局は20日ですか。
永瀬 そうですね。王将リーグ戦です。(これまでと)比較すると空くのかなと思います。

――少し休みたいという気持ちはありますか。
永瀬 休みたいとかはないです。勉強法は間違ってなかったというのは、(今回の)結果である程度は出たと思うので、続けていきたいなと思います。

――今年度の対局数は永瀬王座が断トツです。体調を心配するファンの声もあります。
永瀬 (体調は)いまがいちばんいいですね。過密日程に慣れてきたのが大きいと思います。貴重な経験ができているなと思います。

――体調管理で気をつけていたことはありますか。
永瀬 寝なさいという教えがありましたので、寝ています。ふふふ。

――ああ、その教えは藤井さん(藤井聡太二冠)から。(※そういう報道があった)
永瀬 (笑顔でうなずく)

――寝ようと思えば寝られるのですか。
永瀬 寝ようと思えば寝られますね。ただ、物理的に時間が減るので、睡眠に(時間を)回すという発想がありませんでした。

――いままでは時間があれば勉強に回していたということですか。
永瀬 勉強とか、頭を使ったりとか。ただ、蓄積が……。(藤井聡二冠から)端的に「寝なさい」と言われたわけではないですが、自分としてはそう解釈しました。

――過密日程で将棋が嫌になったりしませんでしたか。
永瀬 嫌にはなりませんでしたけど、頭はおかしくなるので。これは何という現象なんですかね。たぶん、おかしくなりましたね。寝ることによって改善された気がするので、ただの寝不足だったのかもしれないですけど、将棋を嫌いになったりはしませんでした。ただ、プロ棋士同士は、そういうギリギリの中で戦っているんだなと。過密日程だと私は内容が悪くなってしまうことが多かったのですが、今回は第4局も含めて、内容はそこまで悪くなりませんでした。第4局は大逆転負けでしたけど、そこを除けば実力は出せたかなと思います。それは最近のプラス要素かなと思います。

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――叡王戦と王座戦のダブルタイトル戦で、結果的には二冠から一冠にタイトルを減らしました。
永瀬 防衛戦はやってみないとわからない部分もありましたし、やってみて得るものもたくさんありました。タイトル数は減ってしまいましたけれども、今後には必ず生きる経験かなとも思いますし、今後につなげていくのが求められていることかなと思います。

――現在は4強時代(渡辺明名人=三冠、豊島将之竜王=二冠、藤井聡太二冠、永瀬王座)といわれます。その中で今後、上を目指すためにどのようなことをお考えでしょうか。
永瀬 谷川先生(浩司九段)が「防衛するだけでは大変」だと本で述べられていました。その気持ちは(今回で自分も)わかりましたので、何か(のタイトル)に挑戦したいと思います。渡辺先生のように勝率の高い先生もいらっしゃるので、そういう先生を見習っていきたいと思っています。

――今日の対局は、どのような気持ちで臨まれましたか。
永瀬 考えると頭がおかしくなりそうだったので考えないように。考えないというか、一生懸命に指すことだけを考えました。第4局が大逆転負けだったので、それを払拭できればとは思っていました。今日は手を読むことだけに集中できたかなと思います。

――第4局から気持ちの切り替えは苦労せずできたのでしょうか。
永瀬 いや、切り替える時間がなかったので忘れました。準備をして、準備をして、今日を迎えたという印象です。

――第5局の準備をしなければいけないので、切り替えを考える間もなかったと。
永瀬 いや、考えますね。よみがえってきます。(第4局の)勝勢は一瞬だったと思いますが、逃してはいけない勝勢だったと思うので、今日はそうならないように心がけてはいました。慎重に指していたつもりです。

――そういうプレッシャーを跳ね除けての勝利。充実感はありましたか。
永瀬 一生懸命にやった結果だと思うので。充実感、高揚感はないですね。一生懸命、という感じです。

――いままでフルセットまでいったタイトル戦は結果が出ていませんでした。そこを乗り越えた思いを聞かせてください。
永瀬 フルセットで勝てるのが強い棋士だと思います。いままでフルセットで負けてきましたので、今日は何とか結果を出したいと思いました。それには一生懸命に指し、集中する必要があります。それが大事なのかなと思いました。

――今回のフルセットの一局には特別な思いがありましたか。
永瀬 ありましたね。ただ、それをどうにかできるかは、よくわからなかったので。いままでも一生懸命にやってきて、それで結果が出ていなかったのですけど、結果は結果でしょうがないと思って、今日はある程度、思い切りよく、積極的には指せたつもりです。

――今回のシリーズで久保九段の強さは感じましたか。
永瀬 久保先生が強いことは、もちろん存じ上げていることですが、対抗形のことを番勝負でじっくり考えるのは初めての経験でしたので、振り飛車の奥深さであったり……、そうですね、久保先生は飛車をどこにでも振れるので、そういう戦い方も有力なんだなと思いました。粘り強く指されることが多かった印象ですし、第2局は序盤で自信のない展開になってしまいました。対抗形はやっぱり難しいですし、発見も多かったかなと思います。

――第4局は久保九段に粘り倒された感じでしょうか。
永瀬 でも内容はよかったと思います。△3一銀(第4局の176手目)とした手を除けば、自分としては少しは棋力が上がったんじゃないかと思います。

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――今日はおやつのシャインマスカットが勝利に向けて背中を押したでしょうか。(※永瀬王座は食べたいと話していた)
永瀬 昨日の夕食でいただいて元気が出たかなと思います。今日は(おやつで出たが)食べていないんです。今日は実はバナナが効いたので、最終的にはバナナなんだなという気がしています。夕食にバナナ3本とカレーと少しいただきました。やはりバナナなんだなと、しみじみ思いました。やっぱり安心感があるんですね。

――いま、いちばんしたいことは何ですか。
永瀬 常磐ホテルさんのお土産コーナーをちらちら見ていまして、実家にお土産をたくさん送りたいと思っています。

――動画配信の視聴者にメッセージをお願いします。
永瀬 長い防衛戦が一区切りとなりました。ふたつ防衛できればよかったのですが、ひとつ防衛できて、まずは結果が出てよかったなと思います。自分なりに改善点や修正点がいろいろ見つかって、今後につながる番勝負になったと思います。今後も頑張りますので応援よろしくお願いします。

(牛蒡)

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