佐藤八段の和服
佐藤八段の和服を担当した白瀧呉服店の方に、第4局の和服を解説していただきました。なお、将棋世界10月号に掲載されている佐藤天彦八段インタビューのノーカット版がマイナビ将棋情報局でご覧になれます。そちらもご覧ください。
【ノーカット版】第63期王座戦挑戦者 佐藤天彦八段インタビュー「自信と期待の五番勝負」
着物は第1、2局と同じです。裏地は唐草で、ちょっとした所作でご覧になれるかもしれません。
今回は羽織がポイントですね。作られた着物の中で、一番のこだわりといってもいいでしょう。この羽織に合わせて袴も選ばれましたから。羽織はビロード織でして、柄はキクやサクラなど縁起がいいものを使っています。ビロード織は模様が立体的になるのが特徴です。女性のコート地で使われる織り方で、現在はあまり出回っていません。私の知る限りでは、これを対局に用いたのは佐藤八段が初めてです。裏地は鮮やかな赤。何百種類もある色から佐藤八段が自分で選ばれました。
第1、2局は和装のスタイルに自分を合わせた、スタンダードなものでした。第2局は洋装で行くかもしれないという話もありましたが、第1局で「和服は楽ですね」と気にいられたようです。
五番勝負開幕前から、第4局は自分が着こなすことを意識されていました。印象的だったのは、「ファンが抱く自分のイメージに合わせたい」とおっしゃっていたことです。例えば、色は黒がいいとか。私どもは棋士以外のお客さまもいらっしゃいますが、ファンの抱くイメージで和服を作るのはあまり聞いたことがありません。佐藤八段が普段着ている洋服を見て見本を準備していたんですけど、佐藤八段は「こういうものがいいんじゃないか」とおっしゃいまして。一緒にいろいろ考えて、今回の羽織が出来上がりました。
若い方のこだわりや着こなしはこちらも勉強になりますね。王者に挑む、フレッシュな感じができたと思います。
(紋蛇)