2015年3月

2015年3月26日 (木)

現地では13時から大盤解説会が始まりました。1300席以上を擁する大ホールのステージに登場した先崎九段は、「すごい大きいですね」と場内を見回します。「1日目からありがとうございます。まだまだ戦いは先ですから、ゆっくりしていってください」とあいさつしました。聞き手を務めるのは青森高校卒、同志社大学3年の工藤佳織さん。将棋の学生大会で活躍する実力者です。

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控室では先手から攻め込み、馬を作る順が調べられています。「(後手は)落とし穴を作ってるんだよ」と先崎九段。郷田九段が長考を重ねていることで展開はスローペース。控室もまだのどかな雰囲気です。

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(控室には一口ケーキが出されている)

弘前公園は桜の名所。満開の桜と弘前城が素晴らしい景観をつくります。弘前公園の桜は正徳5年(1715年)、津軽藩士が京都から取り寄せた25本の桜が始まりと言われています。その後時代を経るにつれ多くの桜が植えられていき、現在はソメイヨシノを中心に、シダレザクラ、ヤエザクラなど約50種類、2600本の桜が花を咲かせます。見頃は例年4月下旬で、今はまだつぼみの段階。今年の開花は4月21日と予想されています。

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(弘前さくらまつりの案内。今年は4月23日から5月6日まで開催)

対局場の弘前市民会館は弘前公園の東側に位置する施設で、昭和39年に竣工。日本の近代建築の巨匠、前川國男氏が設計した代表的な作品です。2014年1月にリニューアル、内装や設備が全面更新されました。ロビーの窓には佐野ぬい氏の原画を基にしたステンドグラス「青の時間」が飾られています。今回の対局は昨年11月に開館50周年を迎えた記念事業としての側面もあります。

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弘前市(ひろさきし)は青森県西部に位置する市で、人口は青森市、八戸市に続いて県内3位。市の木はりんご、市の花は桜で、どちらも弘前を象徴するもの。りんごは日本一の生産量を誇り、桜は弘前公園で行われる弘前さくらまつりが有名です。将棋界では、弘前市出身の棋士が2人。行方尚史八段と阿部光瑠五段で、行方八段は今期名人戦の挑戦者になったことで、市役所に応援の垂れ幕がかかっていました。
弘前市での王将戦開催は前期に続き2度目。前期は第4局で弘前が舞台になり、挑戦者の羽生善治三冠(当時)が渡辺王将に勝ちました。


【第63期王将戦七番勝負第4局 ▲羽生善治三冠-△渡辺明王将】
http://mainichi.jp/feature/shougi/ohsho/etc/63/140218.html

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1503267郷田九段の先手で相掛かりになりました。今期七番勝負では初めて指される戦型ですが、両者は過去の挑戦者決定リーグ戦で指しています。当時の棋譜を紹介します。

第62期王将戦挑戦者決定リーグ戦
平成24年11月23日 於・東京・千駄ヶ谷・東京将棋会館

持ち時間 ▲棋王 郷田 真隆
各4時間 △竜王 渡辺 明

▲2六歩  △8四歩  ▲2五歩  △8五歩  ▲7八金  △3二金
▲2四歩  △同  歩  ▲同  飛  △2三歩  ▲2八飛  △9四歩
▲9六歩  △3四歩  ▲3八銀  △8六歩  ▲同  歩  △同  飛
▲8七歩  △8四飛  ▲7六歩  △7二銀  ▲1六歩  △1四歩
▲4六歩  △6四歩  ▲2四歩  △同  歩  ▲同  飛  △8五飛
▲2八飛  △7四歩  ▲4七銀  △7三桂  ▲6八玉  △6三銀
▲3六銀  △6二玉  ▲4五銀  △8六歩  ▲同  歩  △同  飛
▲8七歩  △7六飛  ▲5六銀  △2六歩  ▲同  飛  △7五飛
▲2二角成△同  銀  ▲7七桂  △3三桂  ▲8二角  △4四角
▲2八飛  △8五桂  ▲6六歩  △7七桂成▲同  金  △6五桂
▲同  銀  △同  歩  ▲7六歩  △8五飛  ▲9一角成△6六歩
▲6四歩  △7二銀  ▲6三香  △同  銀  ▲同  歩成△同  玉
▲6四銀  △5二玉  ▲7三馬  △4二玉  ▲7四馬  △8二飛
▲3六桂  △3五角  ▲7三馬  △2七歩  ▲4八飛  △8一飛
▲4七桂  △6五香  ▲8八銀  △2六角  ▲6三馬  △7一飛
▲5五桂  △5二金  ▲8五馬  △8四歩  ▲同  馬  △6七歩成
▲同  金  △同  香成▲同  玉  △6五金  ▲6六香  △7六金
▲5六玉  △6五歩  ▲同  香  △3五歩  ▲6三桂成△3六歩
▲5二成桂△3一玉  ▲5三銀成△3七歩成▲同  桂  △同  角成
▲7二歩  △8一飛  ▲9四馬  △7五金  ▲9三馬  △6六銀
▲7五馬  △同  銀  ▲2四歩  △2一玉  ▲4二成桂△3一歩
▲3二成桂△同  歩  ▲4二金  △3一桂  ▲3四歩  △5五歩
▲同  玉  △4八馬  ▲3二金  △同  玉  ▲4二金  △2一玉
▲4八金  △3五飛  ▲5四玉  △3四飛
まで、142手で渡辺    明竜王の勝ち。
(消費時間=▲3時間59分、△3時間59分)

定刻の9時、先崎九段が「時間になりましたので、郷田九段の先手で始めてください」と告げて対局が始まりました。郷田九段がすぐ初手を指すと、渡辺王将はしばらくの間じっと盤面を見つめてから、盤上に手を伸ばしました。

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8時54分、葛西市長による振り駒が行われました。記録係の古田初段が白布を広げ、渡辺王将の歩を5枚取ります。歩を渡された葛西市長はよく振ってから布の上に散らしました。結果はと金が4枚。第7局は郷田九段の先手に決まりました。

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