
【佐藤康光王将】
「本日は、このような盛大な前夜祭を開催していただき、また大勢の方にお集まりいただきありがとうございます。
私はこちら佐賀に何度か来ていますけれども、古湯温泉は初めてです。とても静かな環境で将棋に打ち込めそうですし、いい内容に出来そうな気がしています。
佐賀は陶磁器、あるいは果物が名産というイメージが強いところです。挑戦者の渡辺さんは調子が良さそうですが、私としましては1局目で負けてしまいましたけれども、この対局で巻き返せるように。まあ、あの……佐賀対局ですので、差がつかないように、ええまあ、はい。自分の願望として、そういうふうに思っております」

【渡辺明竜王】
「本日はお忙しいなか、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
私は佐賀県には、おそらく2回目だと思います。前回に佐賀県に来たときに佐賀牛を食べまして、非常においしかったんです。こうして壇上に上がってみますと、あちらにお肉が見えましたので、あれは佐賀牛かなぁと(笑)
今回の滞在中に、機会があれば佐賀牛を食べて……佐藤王将はフルーツを召し上がっていることが多いので、私は佐賀牛のおいしさを伝えられればと思っています。
古湯温泉はさまざまな文化人に愛されたとのことです。とても静かなところで、これ以上ない環境を整えていただいたと思いますので、対局者としましてはそれに応えて、よい将棋を指せるようにと気を引き締めております」




























図は92手目△2八馬の局面。残り8分の佐藤王将は貴重な5分を使って▲4五桂と打ちましたが敗着に。感想戦ではこの局面の検討に長い時間費やされました。その結果▲3四桂(参考1図)が有力と判明しました。佐藤王将は(1)△3三歩を気にされていましたが、▲2一飛△3一金▲同飛成△同銀▲3三角成(参考2図)が飛車を渡すので気付きにくい攻め。
参考2図以下△2四飛▲3五玉△3二歩(△2四飛と打たないと、▲4二金から清算して▲5四桂で詰み筋)▲2四馬△同歩▲3七桂打△4八飛▲4七銀打△5七角▲同銀△4七飛成と先手玉を4六に逃がさないようにしながら迫りますが、そこで▲2二角(参考3図)が攻防手。▲2二角に△4四銀▲2四玉△2二銀と角を取っても▲4二金から後手玉が長手数で詰んでいます。
角を成らないことで、参考4図から△3四歩▲4五玉△5三桂▲5四玉△4二桂▲4三玉△5二金▲4四玉(参考5図)と王手をかけ続けた局面が打ち歩詰めです。3三の角が馬なら△4三歩▲同馬△同金▲同玉△5二角▲4四玉△3五歩までで先手玉が詰んでしまうところです。