2025年5月 7日 (水)

Oui20250507030151

白組の▲羽生-△杉本和戦は中央で小競り合いが起きています。羽生九段の指した▲6四歩(51手目)は「歩のない筋の歩を伸ばせ」の格言に沿った一着。あらかじめ▲2四歩の突き捨てを入れることで、△6四同角には▲2四飛と走って先手成功になります。気になる手は△4五歩で、▲2四角は△2二飛▲2五歩△6四角のときに▲5一角成とできず、後手陣の手が進んでいないことが生きてしまいます。よって△4五歩にはじっと▲3七角と引いておき、以下△2二飛なら▲5五歩と手を戻しておいてどうか。東京・将棋会館の対局立会人を務める川上猛七段は「それなら全然腹は立たないです」と話します。本格的な戦いが始まる前で形勢に差がつく段階とはいえませんが、杉本六段にとって苦労の多い中盤戦になりそうです。

20250507dsc07452

▲1七角

▲大橋-△佐々木勇戦は、図の57手目▲1七角の局面で、佐々木八段が時間を使っています。▲1七角は次に▲3五角で歩切れを解消する狙い。後手は△3六歩と突く受けが考えられますが、▲2九飛△3四馬▲3九飛△2五馬▲2九飛……と進むと「千日手」の可能性が出てきます。

千日手になれば先後を入れ替えて指し直しです。佐々木八段が千日手にするのか、それとも別の手で打開するのか。次の一手に注目です。

佐々木勇八段

杉本六段は再開の直前、羽生九段は定刻の12時40分を少し過ぎて対局室に戻りました。「時間になっております」という記録係の声に、羽生九段は「はい」と答えて鋭い視線を盤上に注ぎます。互いに休憩中に想定していたのか、数手ずつ手が進みました。

20250507dsc07354

20250507dsc07374

20250507dsc07405

20250507dsc07420