2023年8月23日 (水)

対局場から場所を移して、記者会見が行われました。
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──佐々木大地七段の印象について

 6月から9局対戦して、序盤のうまさというのはもちろん、それ以上に中盤の強さを感じたと思っています。手厚く指されてこちらが苦しくなる将棋が多かったので、見習うところが多いのかなと思いました。

──今シリーズの将棋の内容を振り返って

 第1局は序盤からまったく経験のない形になりました。駒組みの仕方がまずく、形勢を損ねました。駒組みの感覚というのをつけていけないと感じました。本局も横歩取りからの力戦調になって、どういう方針を立てるかがわかりませんでした。そのあたりに自分の課題を感じましたし、今後改善していかないといけないなと思っています。佐々木七段は相掛かりを得意とされていて、第4局は非常にうまく指されてしまったと感じています。

──七番勝負を振り返って

 地元の愛知県から始まり、全国各地を回りました。それぞれ素晴らしい対局場で、気持ちよく対局できたと思っています。第4局の嬉野市とこの徳島市は、現地で車を使うことが多かったですが、今回はどちらも鉄道で現地入りできて楽しかったですし、いい思い出になりました。

──次の対局に向けての意気込みについて

 最近の対局は、内容としてどれも課題が多いと思っています。これから集中して準備して、できる限りよい状態で臨めたらと思っています。

──ファンに向けてのメッセージ

 長年開催していただいて、ファンの方の熱気を感じています。今年は前夜祭も開催していただいて、あいさつでも温かい反応をいただいて、励みになりました。

──王位を防衛した率直な気持ち

 佐々木七段の力を感じる場面が多く、大変なシリーズだったと感じています。そのなかで何とか防衛することができたのは素直に嬉しいですし、とても勉強になるシリーズだったと思うので、今後の対局に生かせるように取り組んでいきたいと思っています。

──永世王位がかかる来期をどのように迎えるか

 永世称号は、これまで意識することはありませんでした。あと1期ということで、貴重な機会なのかなと思いますし、来年の防衛戦までに少しでも実力を高めて臨めるように取り組んでいきたいと思います。

Img_1654(祝いの花束を受け取った)
Img_1664(記念撮影に臨む王位)

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Img_1577(防衛を果たした藤井聡太王位)

□勝った藤井聡太王位の談話

── △4四金(44手目)に対して▲4六歩と突きました。1日目を振り返って。
藤井 序盤は比較的穏やかな変化になったのですけど、類型の少ない形で、どう判断すればよいか難しかったです。▲4六歩は、ほかの手では進展性がないかなと思ったのですが、踏み込んでしまうことになるので。序盤の構想でどう指していいか分からなかったです。

── 封じ手の△1四角(46手目)については。
藤井 △1四角は一番指されたら嫌な手かなと思っていました。

── ▲5六角(53手目)と打った辺りは。
藤井 △1四角に対してどういう風に進めるか考えたのですが、本譜は少し誤算があって、苦しくしてしまったかなと思っていました。

── △8三同金(61手目)に対して▲7三歩成が35分の長考でした。
藤井 と金ができたことを主張にできるかなと思っていたのですが、こちらの玉形がキズを多く抱えていたので、どこかで攻め合いになってしまう展開かなと思っていました。

── その後、△2七歩成(70手目)から2筋、3筋を受ける展開になりました。
藤井 △2七飛成(76手目)の局面で、こちらの手が広いと思ったのですが、結局、何がよいのか分からず本譜は手を渡すような感じになってしまい、何か厳しい手が飛んできてもおかしくないと思っていました。

── ▲2四歩(77手目)と挟撃した辺りは。

藤井 代えて▲5三銀とか直接迫っていくような手も考えたのですが、成算が持てなかったので。ただ、▲2四歩はその瞬間が怖いので自信が持てる局面ではないのかなと。

── △3六銀(76手目)から挑戦者の攻めを受ける展開になりました。

藤井 △3六銀▲同金△同金▲6八玉の辺りまでは仕方がないかなと。ただ、条件次第では△7八竜~△7七金という筋で詰んでしまう可能性があるので、どうなっているのか分からなかったです。本譜は▲6八銀(87手目)と弾いてから▲7三桂成として、自玉を安定にできたので、少し指しやすくなったかなと思いました。

── 最後▲8三飛成(95手目)が「詰めろ逃れの詰めろ」でした。

藤井 そうですね。▲7三桂成のあと、どこかでタイミングよく金を取れればと思っていました。

── 一局を振り返って。

藤井 かなり難しい将棋で、序盤から中盤にかけて失敗してしまった気がするので、その辺りをしっかり振り返ることができればと思います。

── 改めて七番勝負を振り返って。

藤井 序盤からじっくり考える将棋が多く、自分に足りない部分が明確になったところもあったので、そういう将棋を経験できたことは勉強になったと思います。


Img_1583(敗れた佐々木大地七段)

■敗れた佐々木大地七段の談話

── 1日目を振り返って。

佐々木 横歩取りの後手番で、歩の損得は解消したのですが、こちらが愚形で手も後れているので。普通に組み合うと自信がないかなと思って動いたのですが、具体的な手順が見えていなくて、苦しい時間が長かったと思います。

── △1四角は124分の大長考でした。

佐々木 もう少し自陣を整備する変化もありましたが、やっぱり手損が響くと思ったので。本譜は△1四角と打ったのですが、そんなに成算があったわけではなく、先手に▲4七銀~▲3七桂の好形を作られたら相当勝ちづらくなることを懸念しました。

── ▲5六角の受けに対しては。

佐々木 常に8筋を突破される筋が残って、どうやって受けるか難しかったですし、こちらの角が効いているか分からなかったので、的確に対応されているように感じました。

── その後の8筋、7筋の攻防は。

佐々木 △7四歩(54手目)は仕方がないと思いましたが、本譜はこちらの玉がと金から近くて、どうやってアヤを求めるかという感じだったと思います。

── △2七歩成から猛攻をかけます。

佐々木 こちらの飛車が成り込んで、少し先手玉にプレッシャーをかけられるかなと思ったのですが、▲2四歩と垂らされた局面はどの変化も自信がなくて、やはり困っているのかなと感じました。

── △3六銀に96分の長考でした。

佐々木 本譜は相手に駒を渡していますし、安全地帯に逃げられて勝負形に持ち込めなくなってしまったかと思います。ただ、代わる手も見つけられなかったです。自信がない局面がずっと続いていた感じですね。

── 一局を振り返って。

佐々木 横歩取りの△3三金(24手目)と上がる形を目指したのですが、本譜は2筋、8筋に飛車を回ったあとのビジョンが明確ではなくて、手が後れているぶん、こちらが何かやらないといけないところが難しかったです。封じ手辺りから動いたものの、そんなに手応えがなくて、終始先手にペースを握られた気がします。

── 改めて七番勝負を振り返って。

佐々木 2日制で8時間という普段指したことのない時間で、序盤から濃密な長考もできましたし、非常に勉強になる将棋が多かったです。ただ、その中で自分の力不足を感じる部分も多かったので、さらに精進して、いい内容の将棋を指していけるようにしたいと思います。



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(書き起こし=夏芽)

投了図

伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第5局は、95手で藤井王位が勝ちました。終局時刻は18時39分。消費時間は▲藤井王位7時間52分、△佐々木七段7時間55分。

この結果、七番勝負は藤井王位が4勝1敗でタイトルを防衛。4連覇を達成しました。

2023082295▲8三飛成が、△6九竜▲8八玉△8九金以下の詰めろを解除しながら、後手玉に▲5二と△同玉▲6三角以下の詰めろをかける「詰めろ逃れの詰めろ」です。関係者は終局に向けて、準備を始めました。
Img_1473(4連覇が目前に迫る)