終局が近づいています。
 △7八歩成の着手には力がこもっていました。
 
 (若葉)
第54期王位戦七番勝負第2局 
    後手よし

 
 図の△6六歩まで進んで、控室の声は「後手よし」で一致しています。
 △6六歩に▲7三馬は△6七歩成で先手が支えきれません。
 ▲6八金引と引くことになりますが、6筋に大きなクサビが入ります。
「ちょっと……これははっきりしましたな」(小阪七段)
 「わかりやすくなりましたね」(酒井七段)
中盤は先手が攻める展開でしたが、ここにきて攻守交代しています。
 
 控室では68手目△6一飛が冷静な好手だったと言われています。
 ▲5二角成で飛車が追われてしまいそうなので見えにくい手ですが、△6四飛と逃げながら銀取りに切り返す用意があります。
△6一飛の一手で先手の攻めが止まってしまいました。
 控室では早い終局もあるかもしれないと言われています。
 
 
 (継ぎ盤では後手の寄せが検討されている)
 
 (若葉)
先手の攻めやいかに

 
 図は16時30分頃の局面。
 行方八段は10分の考慮で▲5五歩(上図)と突き出しました。
 この手は▲4五歩と角を追ったときに△8八角成を消したもので、本譜のように△6四金▲4五歩△5五角▲同角△同金(下図)で角の取る位置を中央にずらすことができます。単に▲4四角は△同金で、後手の金が働いてしまいます。
 
 
 
 本線ではありませんが、控室でも▲5五歩の変化は検討されていたようです。図の△同金以下、(1)▲4四歩を入れる変化と単に(2)▲4一角と打つ変化が検討されていましたが、いずれも先手の攻めが細くつながらなそうだとみられていました。小林健九段は後手がよさそうだ、という感想を残しています。
 その順に踏み込んだ行方八段がどのような攻めの構図を描いているのか、今後の指し手が注目されます。
 
 
 (継ぎ盤の1つを現在挟んでいるのは小林健九段と香川女流初段)
 
 
 (取材も兼ねている森信七段はメモを取りながら)
 
 (若葉)
対局カメラより
「動きませんね」

 
 図は16時頃の局面です。
 ▲2二歩に今度は羽生王位の手が止まりました。長考の気配です。
 
 井上九段と船江五段の継ぎ盤では▲2二歩△同玉▲4五歩△8八角成▲同玉△3一玉の変化が調べられています。△3一玉が落ち着いた一手で、▲5五角が王手にならないようにしています。そこで先手の継続手が難しいようで、継ぎ盤はそこで止まっています。
 「動きませんね」(小林健九段)
 「動きませんねー」(井上九段)
 「何やったらいいか全然わからないです」(船江五段)
 
 具体的にどのように指せばいいか難しい局面ですが、攻め将棋の船江五段は先手を持って指してみたいとのことでした。後手陣はキズが多いためまとめるのに苦労しそう、ということです。
 
 
 (頭をひねる検討陣)
 
 
 (井上九段と小林健九段)
 
 (若葉)





