第51期王位戦七番勝負第2局 Feed

2010年7月28日 (水)

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上の局面は広瀬六段が△5二角と打った局面。3四の飛車に狙いをつけて、先手の攻めを牽制している。深浦王位が▲3三銀から激しく攻め込み、広瀬六段は二枚の角でやわらかく受け止める展開だ。検討ではここから▲3六飛△3五歩▲5六飛△3三桂まで進め、「これは駒損が大きいんじゃないですか」と島九段。△5二角の感触がよく、やや後手持ちの形勢のようだ。島九段はこの角を見て、「バランス感覚が素晴らしいですね。この二枚の角は才能を感じます」と感心することしきり。棋譜解説チャットの阿部四段も、「挑戦者はギリギリのところでバランスを保ちます」とコメントしている。
棋士も脱帽する、広瀬六段の類稀なバランス感覚。深浦王位は駒損しているので、ゆっくりした展開になると苦しくなる。ここからどのように攻勢を続けるのだろうか。

(文)

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再開後の一手は△5三角。▲4四飛を消しつつ、次に△3三香を狙っている。緊迫した忙しい局面で、手を渡す。やわらかい手だが、場面が場面だけに大胆な手とも言える。ここで先手の指し手が悩ましいが、阿部四段は▲3三銀!を指摘。桂の利きに放り込む強手だ。この手を豊川七段に伝えると、その局面を前にしばらく黙考。沈黙の後「困ってますね」とポツリ。▲3三銀以下、△1二飛▲4四銀不成△3一香(参考図)を示した。
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ここで(1)▲5三銀不成△3四香▲6四銀不成と決戦する順と、(2)▲3三歩とじっと受けておく手が考えられる。豊川七段は後手側を持って自信のない表情。「▲3三銀はいい手ですね」と唸るように言った。ちょうどそのとき、モニタに深浦王位の手が映る。▲3三銀を着手したのだ。それを見て、豊川七段が「この筋のいい手(△5三角)に俗攻め(▲3三銀)かあ」とボソリとつぶやいた。

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(検討する豊川七段)

(文)