2021年5月

2021年5月24日 (月)

2021052499上図は17時40分の局面です。この局面での残り時間は▲羽生57分、△豊島58分。後手が先手の飛車を捕獲し、▲桂香△飛車の2枚換えとなりました。先手は金銀を玉に近づけ、堅さを維持しつつ、桂を打って反撃します。対して後手は飛車成りが約束されており、上部脱出も視野に入ります。先手が攻め続けられるかどうかが、明暗を分けるポイントとなりそうです。

Img_1355(ABEMAでの解説では、入玉との声も聞かれる)

両対局者の扇子や書籍など、多くのグッズが販売されています。関西将棋会館1階の販売課東京・将棋会館日本将棋連盟オンラインショップなどでお求めいただけます。

Img_1372(豊島竜王の扇子とバブルヘッド人形)

Img_1374(羽生九段の扇子。左は永世七冠王の記念扇子)
Img_1383(羽生九段は今年の5月に、久々の定跡書を執筆した)

現代調の将棋の研究』(浅川書房)

2021052477桂の交換後、端から1歩を入手して▲3四歩と打った局面です。代えて単に▲2六同飛と銀を取るのは、△3四桂の飛車銀両取りが嫌みでした。また、△3四同金左(直)と取らせて、▲2六飛と取ったあとの▲3五銀の当たりを強くする効果もあります。先手が細い攻めをつないで、局面をリードできるでしょうか。

Img_1338(本局の使用駒は、児玉龍兒師作、源兵衛清安書)

2021052467△4四歩と桂取りに打たれ、▲3三歩から交換を迫りました。変化の一例として、上図から△3三同桂▲同桂成△同金右▲3五銀△同銀▲同角が考えられます。先手の駒がさばけますが、歩の価値の高い相矢倉戦で後手の3歩得に収まり、囲いも金銀3枚の堅陣を維持されます。
先手は桂を渡すと△8四桂からの端攻めを気にする必要もでてくるため、先手だけに利がある交換とはならないようです。

Img_1346(羽生九段は軽く桂を跳ねて攻めていく)

両者が王位戦で相まみえたのは1局のみで、第59期の挑戦者決定戦以来となります。その一戦は角換わりに進みました。豊島八段の仕掛けに対して、羽生竜王も手抜いて戦いを起こします。

20180604114上図は最終盤の局面です。ここで羽生竜王が▲5四飛寄と歩を取ったのが敗着。代えて▲6六角がまさりました。以下、△3三桂▲7一飛上成△6一歩▲6二竜△同歩▲3四桂という順があり、以下△1三玉なら▲1一飛成△1二金▲同竜△同玉▲1一金(変化図)で、後手玉に即詰みの変化があり、先手が指しやすかったようです。
20180604127▲5四飛寄以降は形勢が後手に振れ、そのまま豊島八段が勝ちを収め、菅井竜也王位への挑戦権を獲得しました(文章中の肩書・段位は当時のもの)。

当時の中継ブログ

Img_6576(この結果、豊島八段は挑戦権を獲得し、そのままタイトルを奪った。撮影=八雲記者)

2021052460羽生九段が3手連続で歩を突き出したのに対して、豊島竜王も反撃を見せます。上図は▲3五歩を手抜いて△8五歩と銀取りに突いて、銀の対応を問いました。
▲7七銀は△9五歩▲同歩△9七歩▲同香△同角成▲同玉△9五香(変化図)が攻撃の一例。いつでも端から攻め込める態勢になります。
2021052468端攻めに備えて先手は▲9七銀と引きました。銀の働きに制限をかけた後手は、逆サイドからの攻めを考えたい局面です。

Img_1359(堅陣を頼りに攻めの手段を探る豊島竜王)