2012年8月
羽田空港から徳島へ
王位戦第5局は徳島市「渭水苑」にて
91手目、▲5五角の変化
※感想戦コメントより
藤井「いやーひどかったねー」
▲1五桂が敗着となった。▲1五桂は▲5五角とセットの手で、角のラインとのコンビで穴熊を攻略する狙い。▲5五角と▲1五桂、どちらを先に打つか迷った末に「より穴熊を攻めている感じのする」(藤井)桂打ちを選んでしまった。この違いが大きな違いだった。
▲5五角(変化図)が違う点は、受けに利いている点。▲5五角△3八成香▲同角成△同銀成▲同金△5七金▲4八香△同飛成▲同金△同金▲3九銀△同金▲4一飛(途中図)と詰めろをかけた局面で、▲5五角が自玉の詰めろを消しているのだ。先手玉は狭い上に後手の駒台には角金金銀香歩とあるのだが、この玉はなんと耐えている。
▲4一飛以下、△2八金▲同玉に(1)△2九金は▲同玉△5六角▲3八桂△同角成▲同玉(A図)。角がいて△4六桂と打てない。△4六桂が打てれば▲4八玉△4七香▲同玉△5六銀以下の詰み。
また、(2)△3八金の捨て駒の筋も▲同玉△5六角に▲4七桂(B図)の合駒が利いて詰みなし。桂がないと合駒が悪く、例えば▲4七金は△同角成▲同玉△4五香以下詰む。桂を手持ちにしているのも大きいのだ。他の変化も5五角の利きと桂合いの用意で全てぴったり受かっている。
藤井「△4八香成(90手目)でちょっとパニックになっちゃってね(記者注: 藤井は89手目▲1八玉から1分将棋)。次に△3八成香が詰めろにならないと思ったんだ。どうせ打つんだから先に▲1五桂でも変わらないかと思ったんだけどひどい差だったね」
(若葉)
対局後コメント
【羽生王位コメント】
<序盤>
こっちから動かないといけない形になってしまったので、1日目の封じ手辺りは失敗してしまったかなと思って指していました。
<中盤>
(飛車を切った辺りは)成算がない感じで千日手になれば、しょうがないと感じていました。
<終盤>
最後の最後のほうまでよく分かりませんでした。△2六歩と打って、初めてよくなったんじゃないかと思いました。
【藤井九段コメント】
<序盤>
何とも言えない将棋だと思っていました。
<中盤>
実戦的には指せる感触もあったんですが、終盤(穴熊は)遠いですからね。なかなか大変です。
<終盤>
何が正解なのか分からなかったですね。△6八銀成に何か本譜よりいい手があったかもしれないですが、分からなかったです。
本局のコメントはこれで終了いたします。ご観戦ありがとうございました。
(淡)