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2010年1月

2010年1月24日 (日)

3時のおやつ

 午後3時、対局室におやつが運ばれた。本日のおやつはケーキと紅茶で、ケーキは「マロンショコラ」という、栗が乗ったチョコレートケーキのようだ。

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 里見倉敷藤花はケーキを食べ、紅茶にレモンを落としてくつろいだ様子だった。中継カメラの映像からは、どことなく余裕が感じられる雰囲気。一方、清水女流名人は背筋を伸ばし盤面に集中している。好対照な両対局者の姿。

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里見倉敷藤花、優勢に

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 図は65手目▲8一飛成の局面。午後3時過ぎの時点での局面だ。清水女流名人は角金交換で角を手にしているが、歩切れなのが頭の痛いところ。7五のと金や持ち駒の数、玉の堅さなどから判断すると、里見倉敷藤花が優勢の局面といえる。

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レストラン「和彩 旬華」

 以前の記事(「うどんとスープと」)では確認できなかった「本日のカップスープ」。下の写真がそのスープだ。カリフラワーのスープというのはあまり聞かないうえに、それがカプチーノ仕立てになっているのだからこれはもうなんだかすごい料理だ。見ればわかるように、スープの上をほわほわの泡が覆っている。おいしそう。

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Imgp2084_2  こうした料理を作っている場所が、レストラン「和彩 旬華」。メニューには和食、洋食が揃い、朝食と夕食をバイキング形式で提供してくれる。またレストランの前には山梨県産のお酒が陳列されており、珍しい日本酒やワインを見ることができる。

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豊川七段の冴えた解説

 午後1時40分過ぎ、解説会場で本田女流二段が「あ、指しました」と声を上げた。

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 図は40手目△7五金の局面。清水女流名人はこの△7五金に約40分考えた。里見倉敷藤花はすぐに▲7八飛と応じた。豊川七段が解説する。

Imgp2168 「(△7五金に)これには▲7八飛と引きたいですね。そこで△7六歩▲8四歩△6六金▲8三歩成△7五飛▲8八飛△7七歩成▲同桂△同金▲8四飛と進むのが自然な手順ですかね」、と、途中で本田女流二段と意見を交わしつつ今後の進行を予測する。そして、その局面を「先手もち」と判断した。

「先手は次に▲7二とと入る手がでかいです。歩がたくさんあれば端を突いてあやしくできるんですけど、先手が歩をたくさん持っているのもでかいですね」、と語った。

 座って指し手を待つこと数分。本田女流二段が中継されている棋譜をノートパソコンで確認し、大盤に再現していくと、下の局面が盤上に現れた。

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 図は47手目▲8八飛の局面。対局は解説通りの手順で進行し、豊川七段の予測は見事に的中した。肝心の形勢は、里見倉敷藤花がリードしているようだ。

 大盤解説会は終局までをフォローする予定。

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大盤解説会

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 ホール「メヌエット」では午後1時から大盤解説会が行われている。会場の前に設置された看板を一瞥して通り過ぎたあと、「ん?」と思って看板の前に戻る。よく見ると、両対局者の写真、今日の服装とよく似ている。もしかして意識的に狙ったのだろうか、などと考えつつ会場へ。

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 会場にはすでにたくさんの聴衆が集まっていた。局面は昼食休憩に入ったときのまま動いていない。

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 さて、清水女流名人はどう指すのだろう?

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午後1時、対局再開

 12時50分過ぎ、清水女流名人が対局室に戻る。

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 そして午後1時、「時間になりました」の声に、周囲のカメラマンが動きを止める。「対局再開後の一手」を撮ろうと狙っているのだ。しかし数分経っても清水女流名人が指す気配はない。長考の予感。記者は10分ほどで対局室を後にした。

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まもなく対局再開

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 12時45分ごろ、里見倉敷藤花が対局室に戻った。盤面を見つめる表情が厳しい。検分時はやわらかい笑顔を見せていたが、今は勝負を意識した女流棋士の顔だ。

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 まもなく、対局再開。

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うどんとスープと

Imgp2090  清水女流名人の昼食は、「あつあつ煮込み吉田うどん(小鉢・いなり寿司・冷奴)」。小鉢はごま豆腐で、上にはカニの卵が添えられている。煮込みうどんは味噌で味付けがしてある。どれもおいしそうだが、天気のいい日なので冷奴が目を引く。喉越しを想像しただけでちょっと堪えられない気分になる。

Imgp2099  里見倉敷藤花の昼食は「本日のカップスープ」にフルーツとケーキ、紅茶。「あまり食べられないんです」と語っていた通り、軽めの食事である。「本日のカップスープ」はカリフラワーのスープ、カプチーノ仕立て。ホテルの方には「泡が消えないうちに撮ってくださいね」と言われた。どうやら泡がポイント、のようである。

 対局再開は午後1時から。

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昼食休憩

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 12時に昼食休憩となった。上の写真はその時点での盤面を写したもの。39手目▲8五歩の局面だ。

 本日使用している駒は大竹竹風作の巻菱湖。日本将棋連盟が創立80周年を迎えた際に贈られたもので、女流タイトル戦で使用されるものとのこと。

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 対局者のいない対局室は、緊張から解放され「ひとときの安らぎ」といった雰囲気。窓から入ってくる風が心地よい。座布団の上には、里見倉敷藤花がお守りとして愛用しているブルーのタオルが確認できた。

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穏やかな空

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 午前11時半過ぎ、中継カメラによる対局室の様子。画面下に穏やかな日差しが差し込んでいるのがわかる。観戦記者の蝶谷初男さんによると、「日が当たって清水女流名人の顔がいつも以上に白いです」とのこと。

 天気は快晴。空気も暖かく、早朝の凍えそうだった冷たさが嘘のよう。朝の赤富士もいいが、透き通った青い空の下で見る富士山もまた格別。青と白のコントラストが爽やかだ。

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