図は14時15分頃の局面。羽生王座が▲5六銀と「腰掛け銀」に構えたところだ。藤井九段も腰掛け銀の形で、なんとなく「角換わり腰掛け銀」という戦型を彷彿とさせる。
「さてここで△4一飛と出来るかどうか。▲1六歩が入っているので、△1五角と打つ筋がありません。よって△4一飛には▲2四歩と指しやすくなっています。後手としてはここから△8四歩や△6四歩として持久戦にする手もありそうです」(高崎一生五段)
△4一飛から仕掛けを見せて戦いに誘導するか、駒組みを進めるか。後手の藤井九段は作戦の岐路に立っているようだ。「これは高崎五段、当たりましたね。その三つしかないですから。△1四歩を突くとしたら、藤井流のすごい手つきだと思いますよ」と、鈴木八段。
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陣屋で大盤解説会の解説を担当する森内俊之九段、安食総子女流初段が控え室に到着。関係者から棋譜を受け取り、鈴木八段とともに検討を行っている。「先手は指したい手がいっぱいあるんですよね。後手は手損ですか。うーん、お互いに攻めが難しいですよね」と考え込む森内九段。この後は駒組みが続くのでしょうか? と尋ねたところ、鈴木八段から「後手は銀冠には組み替えづらいですね。無事に組んで五分ですが、組み上がるまでがちょっと危ないですよね。それに藤井九段は銀冠が嫌いですから」という答えが返ってきた。
(珍しい光景。二つの継ぎ盤を使っている。後手を持つのは、鈴木八段(左)、先手側に座るのは森内九段(右)。聞き手の安食女流初段(中央)の姿も)
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