記者会見
感想戦終了後、記者会見が行われました。
―感想戦を終え、改めて今日の一局は
藤井 仕掛けのあたりで失敗してしまって、そこからは苦しい局面のほうが多かったかなと思います。終盤は互いに玉形が乱れて適切な判断ができない局面が多く、そのあたりでミスが出てしまったと思っています。
―理想は互角が続いて終盤で勝負する将棋と聞く。今日の将棋はそうした手応えや充実感があるのか
藤井 仕掛け周辺のミスは少し残念です。一方で終盤、非常に難しい局面が多く、もちろんミスもありましたが、そういう難しい局面を考えることができたという点では充実感がある将棋だったかと思っています。
―今期王座戦、挑戦者決定トーナメントの内容は
藤井 2回戦の村田顕弘六段戦は終盤はハッキリ負けの局面がありましたし、本局も途中いくつかハッキリ苦しい局面があったと思います。内容的にはこれまでと比べてそれほどよくなっているとはいいがたいのですが、全体として時間がなくなってから勝負強く指すことができたのは、これまでよりよかったかと思っています。
―村田顕六段との2回戦は角道を保留され、今日も豊島九段が少し保留した。そのような戦法についての印象は
藤井 村田六段との一局も本局も、指されてみるとこちらがどう対応するのがよいか、難しいなと感じましたし、有力な指し方なのかなと思っています。そうした定跡を外れた展開のときにどう対応するかは難しく、自分の力がまだまだ足りないのかと感じました。
―豊島九段は1回戦で三間飛車を指した。本局、振り飛車の可能性はどう見ていたか
藤井 基本的には相居飛車をメーンで想定していたのですが、振り飛車の可能性もあるのかなと思っていました。
―タイトル戦と並行してのトーナメントだった。体力面や時間的な課題はあったか
藤井 チェスクロックの5時間という持ち時間で本局もそうですが、序盤で時間を使って中終盤で残り時間が切迫してしまう展開がこれまでも多くあったので、時間配分も課題なのかと感じています。五番勝負が始まる前に、どうすればよくできるか考えたいと思います。
―普段から練習将棋を指してきた永瀬拓矢王座との五番勝負に意識することはあるか
藤井 永瀬王座には私が四段の頃から将棋を教えていただいていて、自分を引き上げていただいた方だと思っているので、今回タイトル戦の舞台で対戦できるのをとても楽しみに思っています。一方で普段から指して手の内を知られてしまっているところもあるので、五番勝負に向けてさらに工夫が必要なのかと感じています。
―永瀬王座とは2022年にヒューリック杯棋聖戦で五番勝負を指している。普段指すときとタイトル戦で指すときとで印象に違いはあるのか
藤井 昨年の棋聖戦では永瀬王座のほうから序盤からいろいろと工夫を引っ張り出される展開が多かったので、今度はこちらからも何とか工夫を出していくようなシリーズにできればと思っています。
―永瀬王座との練習将棋について。昨年の棋聖戦の前はいったん中断したが、王座戦挑戦者決定トーナメントが進行していた間も中断していたのか、続けていたのか
藤井 先月までこれまでどおり指していただいていたのですが、今回も前回の棋聖戦のときと同様にいったん休止して、シリーズ後にお願いするという形にできればなと考えています。
―練習将棋で影響を受けた、あるいは成長した部分は
藤井 永瀬王座は受けの技術がとても高く、練習将棋を指していただく中で何とかその点を少し吸収できたかと思いますし、練習将棋であっても一局ごとに公式戦と同じように作戦を考えてこられ、それを間近に感じられたことは自分にとってプラスだったと感じています。
―そうした相手と八冠制覇の懸かる大きな注目を集める舞台で戦うことになった思いは
藤井 八冠が懸かること自体はそれほど意識するわけではありません。昨年の棋聖戦はこちらが防衛戦で、今回は挑戦者として対戦できるのが楽しみですし、全力を尽くしていいシリーズにできればという気持ちが強いです。
―今日は苦しかったなか、「負けたら」や八冠について、頭にちらつくことはなかったか
藤井 本局、終盤はずっと時間がないなか、余裕のない状況でそういったことを意識することもありませんでした。終盤は局面の急所をつかめないまま指していた感じがあるので、その点はうまくやれなかったと思っているのですが、全体として集中して指すことはできたかと思っています。
(記者会見終了後のフォトセッション。ガッツポーズのリクエストに応える)
以上で本日の中継を終了します。月末から始まる五番勝負もお楽しみに。
(飛龍)