時刻は16時を回りました。△６五歩までの消費時間は▲藤井３時間０分、△永瀬３時間０分。両者ぴったり並んでいます。
△６五歩は「これはまた激しい順に……」と佐藤康九段。▲６五同銀に△７七歩成と攻める狙いがありますが、銀を呼び込むので▲５四銀～▲４三歩成の狙いが生じます。後手にとってはリスクの高い手と言えます。先手は安全を期すなら▲７三歩と打って、△９二飛に▲６五銀と手を戻す順も選べますが、寄せ合いで自信があるなら単に▲６五同銀を選ぶところ。果たして、藤井竜王・名人はどちらを選ぶのでしょうか。

夏の陣屋の庭は緑が濃い。

16時５分過ぎ、藤井竜王名人は上図から12分の少考で▲６五同銀を選びました。「持ち時間は２時間とたっぷりあったのに少考で▲６五同銀ですか。これは自信があるように見えますね」と控室の勝又七段。検討陣からは、少しずつ先手持ちの声が出てきています。

（八雲）

15時を回り、対局者におやつが運ばれました。注文は、藤井竜王名人が「練り切り・抹茶、アイスレモンティー」、永瀬王座は飲み物のみで「抹茶、グレープフルーツジュース」。

藤井竜王・名人の注文。

練り切りはサトイモの形をあしらったもの。

永瀬王座は昼食時にケーキや大福を注文したためか、おやつは飲み物だけだった。

（八雲）

14時過ぎ、藤井竜王・名人は56分の長考で▲８三歩と打ちました。ここまでの消費時間は▲藤井２時間24分、△永瀬１時間54分。この長考で消費時間が逆転しています。
▲８三歩は自然な手ですが、控室の検討では▲４四歩や▲７六角も候補に挙がっていました。いずれの変化も非常に難解で、先手にとってはかなりの難所と見られていました。その中で▲８三歩を選択した藤井竜王・名人。この一手がどうでるのか。この先も難所が続くと見られています。

藤井竜王・名人が長考で重要な選択をした。

（八雲）

13時半頃、控室では佐藤康九段、森内九段、野月八段、来訪した勝又清和七段が検討しています。継ぎ盤は終盤の寄せ合いまで進められています。現局面がそれだけ激しい変化を秘めているということです。

午前中の羽生九段、佐藤康九段の検討に続き、こちらは十八世名人資格者の森内九段と、永世棋聖資格者の佐藤康九段の豪華ツーショット。

（八雲）

13時を回り対局が再開されました。再開後は速いペースで９手進んでいます。

永瀬王座は再開時刻の15分ほど前に着座していた。

藤井竜王・名人が戻る前に再開時刻となり、永瀬王座はすぐに△７六歩を着手。

２分ほどして藤井竜王・名人が戻って来た。

少しして▲６六銀と応じた。ここからペースアップして進んでいる。

図は13時15分頃の局面。
昼休明けから９手進んでいます。後手が８筋突破を狙い、先手が角を打って対抗しています。ここから戦いは激しさを増していきそうです。

（八雲）

使用駒は陣屋所蔵の静山作・菱湖書。

（八雲）

12時10分、図の局面で永瀬王座が58分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲藤井１時間18分、△永瀬１時間51分。昼食の注文は、両者ともに「陣屋カレー（ビーフ＆伊勢海老シーフード）」。この他に、藤井竜王・名人は「烏龍茶」、永瀬王座は「烏龍茶、抹茶、ショートケーキ、シャインマスカット大福」を併せて注文しています。対局は13時に再開します。

陣屋カレー（ビーフ＆伊勢海老シーフード）。

伊勢海老がかなりの迫力を出している。

藤井竜王・名人は烏龍茶を注文。

永瀬王座は烏龍茶、抹茶、ショートケーキ、シャインマスカット大福を注文。

（八雲）

これまで幾多の名勝負を生み出してきた陣屋。今年の春は、対局室に使用されている貴賓室「松風」の庭がリニューアルされています。年々進化を続ける名旅館です。

陣屋の入口。陣屋を象徴する陣太鼓が迎えてくれる。

森の小道を撮影していると、観戦記を担当する野月八段が通りかかったので１枚いただいた。

心地よい青空が広がっている。

夜戦に入る頃には、かがり火がともされる。

（八雲）

10時41分、永瀬王座が△３五歩と突いて開戦しました。早繰り銀からの積極的な急戦策です。藤井竜王・名人も想定通りだったようで、すぐに▲３五同歩と応じています。

早繰り銀で先攻した永瀬王座。どこで工夫を見せてくるか。

藤井竜王・名人も想定内の展開と思われる。

（八雲）

９時40分頃、控室では日本将棋連盟会長の羽生善治九段と前会長の佐藤康光九段が継ぎ盤を挟んだ。永世称号を持つ大棋士同士の豪華共演だ。

（八雲）