図は14時頃の局面。木村九段が9七にいた金で歩を取らずに8七に逃げたところです。後手からはここで△5四角と△9八角の2通りの角打ちの手段があり、一例として△5四角は以下、☗6六香☖6四歩☗同角☖6五角☗同香(参考図)のような変化が考えられました。本譜、永瀬王座は△9八角を選択。本局の命運を託したとも言えそうな角打ちですが、キズをとがめたものか、誘いの隙に呼び寄せられたものか、果たしてどちらでしょうか。
(永瀬王座のホテルオークラ神戸での成績は1勝1敗。1勝は第67期に王座奪取を決めた一局である)
(潤)