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図は16時40分頃の局面。後手に激しく攻め立てられて先手玉はかなり危ない格好になっていますが、▲8九桂と受けて、すぐに寄せられてしまうわけではなさそうです。後手は持ち駒が歩しかないので、もう一押しが簡単ではありません。そうなると、まだまだ先は長いのかもしれません。
(久保九段。ここからどのような方針で進めるのか)
(睡蓮)
前記事の▲7七桂に、久保九段は26分の考慮で△9七角。相手の誘いに乗る形で攻めかかっていきました。対して渡辺二冠はすぐに指すことなく、こちらもまとまった時間を使って考えています。果たしてこの攻めは成立しているのでしょうか。時刻は15時45分を過ぎ、残り時間はともに2時間を切りました。
(踏み込む手を決断した久保九段)
(渡辺二冠。自ら▲7七桂と跳ねたからには、△9七角は大丈夫と見ていたはずだが)
図は14時55分頃の局面。▲3三角成△同桂の角交換から▲7七桂と跳ねて、桂交換を挑んだところです。一目は△9七角の打ち込みが怖いですが、以下▲8九玉△7七桂成▲同金寄△8五桂▲6七金寄の進行は耐えているという読みでしょうか。いずれにしても、このあとは局面が落ち着くことはもうなさそうです。
(渡辺二冠)
図は13時45分頃の局面。昼食休憩明けから、互いの玉側で勢力争いが繰り広げられています。△9五銀は重要な拠点である8六歩を支えて、△8五桂▲5九角△6五歩という筋を見せた手。先手はその筋を喫してはまずいので、ここは▲8三成香△同玉▲8四銀と9五銀を消しにいくことになるでしょうか。激しい展開ですが、形勢についてはまだ釣り合いが保たれていそうです。
(久保九段)
12時40分になり、対局が再開されました。
(久保九段。12時20分過ぎには盤の前に戻っていた)
(渡辺二冠は再開直前に戻る)
(記録係が再開を告げても、久保九段はあぐらで考え続ける。再開の一手が指されたのは12時45分、記者が退室したあとだった。指し手は△9六同香)
(手番の久保九段の側から見た盤面)
(渡辺二冠が▲9六同銀としたところで休憩に。代えて▲9六同香も有力そうだった)
(渡辺二冠の盆周り。いつものようにクーラーボックスを持参している)
(マスクは複数枚用意)
(久保九段の盆周り。飲み物は水とコーヒー)
▲9六同銀(図)の局面で久保九段が21分考えて正午になり、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲渡辺1時間15分、△久保1時間44分。昼食の注文は、渡辺二冠が「豚生姜焼き弁当」(鳩やぐら)、久保九段が「肉豆腐(豚キムチ)弁当」(鳩やぐら)です。対局は12時40分に再開されます。
(渡辺二冠の昼食)
(久保九段の昼食)
※対局者と別に注文したものを撮影しています。
11時34分、前記事△5四銀の局面から▲3六歩△8四歩に、渡辺二冠が36分の考慮で▲9六歩(図)と仕掛けていきました。以下△9六同歩▲同香△同香▲同銀というように香交換をしながら持ち歩を得て、▲3五歩△同歩▲3四歩△4四角▲2四歩という攻め筋を見せるのが先手の基本的な狙いといえます。
図は10時50分過ぎの局面です。先手の渡辺二冠が左美濃から銀冠に囲いを発展させていったのに対し、後手の久保九段は7二玉型で駒組みを進めています。こちらは近年になって出てきたバランス重視の指し方。本局の場合は、居飛車側の狙い筋である▲9六歩の反発を警戒している意味が強いのかもしれません。
(渡辺二冠。現局面でそれでも▲9六歩といく手も十分考えられそうだ)
図は9時35分頃の局面。後手番になった久保九段は、4手目△4四歩で角道を止め、9筋を突き越してから四間飛車に振りました。ここまでは、比較的スローペースの進行。特に久保九段のほうが、慎重に時間を使っています。
(控室に、「将棋世界」誌の最新号が届けられた。付録は石本さくら女流初段の相三間飛車解説)
(「公式棋戦の動き」の王座戦のページでは、挑戦者決定トーナメント2回戦、横山泰明七段-大橋貴洸六段戦のポイントの局面が紹介されている)