前夜祭(5)
対局者が去ったあと、関係者による戦型予想が行われました。
(立会人の深浦九段)
「第5局まで一進一退の戦いが続いている。藤井王将は連戦が続いているが、リラックスした様子も見えていいコンディションでこられているのではないか。羽生九段は第2局で相掛かりでいい形を築かれた。相掛かりか矢倉になりそう」
(副立会人の田村七段)
「第5局まではすべて先手が勝っている。先手の羽生九段は、角換わりか相掛かりを選ぶのではないか」
(現地大盤解説会の解説を務める豊川孝弘七段)
「これまでの5局、初手はすべて▲2六歩だった。そうなるのならば、角換わりや相掛かり。ただ、初手▲7六歩なら、矢倉も考えられそう。ともかく、相居飛車であることは間違いない。大盤解説会にきていただける方も、中継でお楽しみになられる方も、脳みそフル回転で楽しんでほしい」
(大盤解説会の聞き手を務める武富礼衣女流初段は、佐賀県初の女流棋士)
「5局のうち、角換わりは2局あるものの、そのほかはすべて違う戦型だった。自分は矢倉の将棋を見てみたい」
以上で本日の中継ブログの更新を終了します。対局は明日9時開始です。
お楽しみに!
前夜祭(4)
両対局者の決意表明です。
(藤井聡太王将)
「佐賀県での対局は今回が初めてになりますけれども、昨年の祝賀会(※1)や、嬉野市(※2)など、何回もこちらに呼んでいただきまして、そのたびに温かい歓迎を受けてうれしく思っております。ですので、今回の対局が初めてというのは自分でも意外に感じています。明日からは地元の方をはじめ、多くの方に注目していただける対局になりますので、2日間集中して精一杯頑張ろうと思います」
※1 第71期王将戦七番勝負が決着し、第5局ではなく祝賀会が行われた。
※2 第63期王位戦七番勝負第4局の対局中止により、トークショーで訪れた。
(挑戦者の羽生善治九段)
「ここ3年はコロナ禍の影響もあり、将棋界もなかなかこういったリアルな場面でたくさんのお客さまを集める催し、というのをやるのも難しかったです。少しずつ元の状態に戻りつつあるのかなと実感していますし、皆さまによって将棋の世界は支えられているのだなと感じております。大変な状況ではありますが、そういった中でも明日からは楽しんで、自分らしい将棋が指せるように一生懸命やれればと思っています」
両対局者は、この決意表明のあと、前夜祭会場をあとにしました。
(撮影=武蔵、書き起こし=虹)
前夜祭(3)
前夜祭(2)
引き続き、関係者のあいさつです。
(西尾明・日本将棋連盟常務理事)
「藤井王将と羽生九段は過密日程の中でも最高のパフォーマンスを出し、本局を迎えているという状況です。コロナ禍の影響でこういった盛大な前夜祭が行えずに約3年、政府から緩和の方針が示されつつあります。ファンの皆さまとの交流を持つことは、対局者並びに運営陣の励みになります。明日からの対局は緊張感が高まってくるところではありますけれども、ぜひファンの皆さまには楽しんでいただければと思います」
(武廣勇平・上峰町長)
「上峰町では2年ぶりに王将戦を開催します。源為朝の城があったとされるこの屋形原は、尚武の地といわれています。尚武とは、武勇に優れ、物事に積極的に対処していくさまのことです。その屋形原、大幸園で6年前に王将戦を誘致しようじゃないかという話になり、開催する運びとなりました。戦前から全国的に注目を浴びているこの一戦を上峰町で迎えられることを、本当に私も興奮しています。楽しみにしています」
(関係者が登壇。左から田村康介副立会人、藤井王将、深浦康市立会人、羽生九段、記録係の鈴木廉三段)
(撮影=武蔵、書き起こし=虹)
前夜祭(1)
(山本修司・毎日新聞社西部本社代表)
「藤井王将は若き帝王、羽生九段は不滅のレジェンド、まさに竜虎相搏と申し上げるのがピッタリではないでしょうか。このおふたりの対局は、勝負を超えた世界があると思っております。国内外でなかなか先の読めない不確実な時代を迎えておりますが、長い歴史を持つ将棋の『平和な戦い』、こういったものがより大事になっていくのではないかと思っております」
(山科武司・スポーツニッポン新聞社取締役)
「藤井王将は五冠でありながら、名人戦と棋王戦の挑戦者にもなられました。そして防衛戦として王将戦に臨んでいるわけであります。一方で羽生九段は、当時の七大タイトルをひとり占めされたほどのレジェンドです。王将を奪還しますとタイトル通算100期になるという、将棋史に残る名棋士です。スポーツニッポン新聞社では対局だけでなく、棋士の皆さまの人間らしさが感じられるところも紹介していこうという努力をしております。それがいささかなりとも、将棋を元気づけるものになればと思います」
(撮影=武蔵、書き起こし=虹)