(主催紙インタビューが行われた)
── 横歩取りの戦いでした。1日目を振り返って。
藤井 一度戦いが始まると激しくなりやすい将棋なので、一手一手が非常に難しいかなと思っていました。── △8八角成(28手目)に▲同金と応じました。
藤井 ▲8八同銀だと△2八角と打たれる手があって、そのときに飛車を切って(▲3二飛成△同玉)▲2九金のような指し方もあると思うのですが、後手玉も結構堅いので。本譜の▲8八同金は△2八角なら▲2三歩△同歩に▲2二歩と打って△同金▲7七角△7六飛に▲2二角成みたいな図が作れれば、△7九飛成が王手にならないのでメリットがあるかなと思ったのですが、ただ、やっぱり本譜のような形でどうしても負担になってしまうので、その辺りも非常に難しかったと思います。
── 永瀬九段が大長考で△1四歩(42手目)と指されましたが。
藤井 ▲3四飛(41手目)の局面で△4四歩とか△7四歩とかを考えていたのですが、ちょっと△1四歩は予想していなくて。ただ、指されてみると▲9六香のような自然の手が思わしくない感じもしたので、手を渡されてこちらも何を指せばいいか分からなかったです。
── 封じ手は▲5六角(43手目)。
藤井 ▲5六角は、次に▲9三歩成とか▲2四歩を見せて、という手ではあったのですが、あまり急所には利いていないで、それほど感触のよい手ではなかったですけど、何を指せばいいか、考えてもなかなか、しっくりくる手が難しかった気がします。
── ほかにも封じ手は何か考えましたか。
藤井 ▲9六香とか▲9三歩成とか▲6六角とか、色々あるかなという気はしたのですが、結局何がいいのか分からなかったです。
── 中盤戦から終盤戦にかけては。
藤井 ずっと形勢は、よく分からないまま指していました。── どの辺りで好感触を得られましたか。
藤井 △8七角成▲同銀(75手目)で△同飛成だと▲3二金から追っていって、飛車を抜くような筋があるので、その辺り際どいのですが、少し余せている可能性もあるのかなと思いました。
── 第3局に向けて。
藤井 第3局は後手番になるので、まずは序盤で立ち後れることがないように、しっかり準備をしていきたいと思います。
── 横歩取りになりました。序盤の手応えは。
永瀬 難しいのかなという気がしたんですけど。
── △1四歩の局面はどのようにその局面をとらえていましたか。
永瀬 攻める手が全部余されそうな気がしたのですが、ただ、手番を渡したときに具体的に何を指されるか分からない気もしたので。
── 1日目の進行について。
永瀬 封じ手が直接手じゃないのであれば難しいのかなという感じがしたのですが、選択肢が多すぎて絞れないので、どう指されるか分からなかったですし、どれも有力なのかなと思いました。── 封じ手は▲5六角でした。
永瀬 本線ではなかったですが、有力な候補手なのかな。ただ、絞れてはいなかったので、指された手に対応するしかないのかなと思っていました。── 中盤戦の攻防は。
永瀬 難しいかと思ったのですが、直線が結構負けの変化が多いような気がしたので。▲2四歩(55手目)と打たれる手が見えていなくて。その局面が難しいのであれば、うまくバランスを取りたかったですが、局面が複雑になっていて、どれがいいか判断がつかなかったです。
── 第3局に向けて。
永瀬 先後が決まっていますので、3局目も準備をして頑張りたいと思います。