封じ手前の上図、△1四歩は永瀬九段の自己最長となる2時間32分の長考で指されました。じっと端歩を突いて終盤の寄せ合いの際、玉の広さとなって働くことが期待されます。手を渡された先手は何か攻めたいところ。控室では▲2四歩、▲6六角、▲9三歩成、▲9六香などさまざまな候補手が挙がりましたが、藤井王将が「長考の半分返し」ともいえる1時間15分使った封じ手は▲5六角でした。
対して永瀬九段は30分の考慮で△7四角と合わせ、盤上から角を消しにいきます。藤井王将は1時間6分の長考で▲6五桂と跳ね、角交換を拒否しました。
次に▲2四歩△同歩▲同飛と進めば角が2筋をにらみ、後手の角よりも働きがよいとの主張があります。跳んだ桂も後手陣をにらむ一方、跳ねたら戻れないため狙われるリスクもあり、もう局面は収まらないでしょう。