2024年1月

2024年1月28日 (日)

Img_6507(藤井王将は手厚い指し回しで3連勝)
Img_6502(敗れた菅井八段は、あとがなくなった)
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Img_6510(戦いは続く)

第4局は2月7、8日(水、木)に東京都立川市「オーベルジュときと」で行われます。藤井王将の防衛となるのか、菅井八段の逆襲となるのか。王将戦の今後にご注目ください。

インタビュー後、対局者が解説会場に足を運びました。
Img_6497(対局者が移動する際、外は霧がかかっていた)
Img_6495(藤井王将は大勢のファンに向けて感謝を述べ、菅井八段は次局の意気込みを語った)
Img_6521(霧から雪に変わる)

終局直後、両対局者にインタビューが行われました。
20240128img_6488(終局直後)
20240128img_6487(勝った藤井聡太王将)

── 向かい飛車の戦いでした。1日目の進行はどのように見ていましたか。
藤井 序盤はあまり想定していない展開になり、角が向かい合っている形での駒組みになったので、そのあと色々な展開が考えられて一手一手難しいところかなと思っていました。本譜は動いてこられて、こちらが反撃にする展開になりました。封じ手直前で▲8三歩(43手目)と打たれたとき、本譜は△7二飛と寄ったのですが、▲5五歩と▲8二歩成の組み合わせに気づいていなかったので、△6二飛のほうがよかったかなと思っていました。

── △8四角成(48手目)と馬を作った局面は、難しいと思っていた?
藤井 そうですね。部分的な狙い筋ではあったのですが、▲7三歩が打たれている形だと6二の飛車の配置が弱い感じがします。やっぱり▲8二歩成から飛車を狙われてしまうので、それほど成算はある感じではないと思っていました。

── 2日目の昼食休憩の辺りは。
藤井 うまく指せばよくできる可能性のある局面かなと。△7五歩(56手目)では、△8六とと迷っていたのですが、本譜は△7三桂(60手目)に▲8七角と、と金を払われるのをうっかりしていて、だいぶマズい順を選んでしまったなと思っていました。△8六とと引くか、▲6六飛(57手目)に△7三桂と取るかで、違う順をやらなくてはいけなかったです。

── 優勢を意識したのは。
藤井 △5六歩(64手目)と垂らした局面は自信がなかったのですが、△6三同竜(74手目)と自陣に引きつけた形が結構安定しているかなと思ったので、その辺りは指しやすくなったかなと思いました。

── 総括して印象に残ったところは。
藤井 中盤はお互い、難しい局面だったと思います。その中で、こちらにいくつか読みの甘いところがあったので、そこは反省点だったかなと思います。

── 3連勝で王将位の3連覇、タイトル戦の20連覇に王手をかけました。
藤井 七番勝負は全体でひとつの勝負かなと思っているので、次もそのことは意識せずに、これまで通り臨みたいと思います。

20240128img_6489(敗れた菅井竜也八段)

── 向かい飛車を選択された意図を教えてください。
菅井 ずっと同じ戦型が続いていたので、違うことをやってみようかなと思いました。

── 1日目の進行はどのように見ていましたか。
菅井 封じ手の少し前が大事なところなのですが、結局、判断がつかないまま指して、あまりよくない選択だったと思います。具体的には△4四角(30手目)に▲6六角と合わせたあと、普通は先に▲5八金左と上がるのが形で、それがいちばんよかった気がします。

── 1日目の時点で少し指しにくくしたと思っていたのでしょうか。
菅井 そうですね。攻めるしかなくなっているので、しっかり受けられると負けという将棋になっています。

── 2日目で棋勢を好転させようとされたと思うのですが。
菅井 △5六歩(64手目)に▲4六角と打つ手はありましたが、ちょっと負けなので1日目で苦しくしたのがマズかったと思います。

── 次戦に向けて。
菅井 スコア的にはかなり厳しいですけど、最後まで諦めずに頑張りたいと思います。

書き起こし=夏芽
撮影=武蔵

投了図

第73期ALSOK杯王将戦七番勝負第3局は、94手で藤井王将が勝ちました。終局時刻は16時41分。消費時間は▲菅井八段6時間48分、△藤井王将7時間5分。

この結果、七番勝負は藤井王将が3連勝。次戦、第4局は2月7、8日(水、木)に東京都立川市「オーベルジュときと」で行われます。

2024012782急所にと金ができました。▲4八金左に△5七歩成▲同歩△5八歩が一例で、後手の攻めが続く形になりました。控室では「藤井王将優勢」との声が聞かれます。
Img_6468(藤井王将は、本局に勝てば3連勝で防衛に近づく)

祈祷が終わると、記念撮影が行われました。
Img_5616(大きな岩を挟んでの記念撮影。岩の正体は)
Img_5620(勝石と呼ばれ、触れるとすべての願いに通じる勝運を授かれるといわれる)
Img_5633(井上九段)
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Img_5629(藤井女流初段)
Img_5635(松下初段が祈りを込めた)

物部神社内をご紹介します。
Img_5552(拝殿に続く表参道。両脇には阿吽の口をした狛犬と獅子)
Img_5549(宇摩志麻遅命が鶴の背に乗って降臨されたという伝説から、物部神社の神さまのお使いは鶴)
Img_5548_2(富金石という砂金を含んだ石で作られた手水舎。曲玉が彫られ、触ると御神徳を授かれる)

Img_5546(拝殿の社殿は入母屋造、銅板葺の屋根。1936年から37年にかけて改築されている)

2024012770上図は△6六飛成と竜を作った局面です。次に△6四竜で、銀の逃げ場がありません。検討では▲6一角△5七歩成▲同歩△6五桂という順が示されました。取られそうな桂を活用して攻めに出る手順は、さわやかな印象を受けます。畠山鎮八段は「わたしの性格を盤上で表現してみました。誰も信じませんけどね」と笑いました。
Img_6484(継ぎ盤を動かす畠山鎮八段)

2024012767△5六歩の垂らしに対して、菅井八段は歩を成り捨てて▲5八歩と受けに回りました。攻めの拠点を失いますが、角の利きを通すと、▲3二角成の非常手段で左美濃を崩せます。控室では「歯を食いしばる受けの一着」との声が聞かれました。形勢は、後手に楽しみが多いと見られています。
Img_6480(大盤解説会は、福崎九段と畠山鎮八段が担当。畠山鎮八段はとある引退棋士のものまねで、会場を大いに沸かせた)
Img_6481_2(存在感を放っていたつららは、かなり小さくなった)