感想戦終了後、場所を移動して王将位の防衛記者会見を行いました。
(王将位初防衛を記念して、花束が贈られた)
――王将初防衛、いまの率直な思い。
内容的にも非常に難しい将棋が続いたシリーズでした。大変な将棋の中で何とか防衛という結果を出せてうれしく思います。
――タイトル通算100期が懸かる羽生九段との対戦。これまでのタイトル戦とどう違ったか。
羽生九段とタイトル戦という大舞台で対戦できることを楽しみにしていました。どの対局も違った戦型になって、その中で一手一手考えるという展開で充実感がありましたし、羽生九段の強さを感じるシリーズでもありました。
――挑戦中の棋王戦と名人戦に向けての抱負。
これまでもそうですが、棋王戦や名人戦をはじめ重要な対局が続いていきます。よい状態で迎えられるようにと思っています。また、少しずつでも実力を伸ばせるように取り組んでいければと思います。
――先手番が勝ち続けるという、いままでにないシリーズだった。羽生九段の強さをどんなところに感じたか。
第4局は長考した局面でミスをしてしまって、残念なところもありました。改めて三番勝負として気持ちを切り替えていければと思っていました。本シリーズを振り返ると羽生九段のほうによい手をたくさん指されたなと感じています。第1局の46手目△3七歩、第2局の59手目▲8二金、指されるまで気づいていませんでしたが、どちらも考えていくうちに好手なんだなと分かってきて。時間を使って考える中で、羽生九段の強さを感じるところが大いにあったと思っています。
――感想戦で羽生九段と楽しそうに検討する姿があった。
シリーズがすべて違う展開で、経験の少ない形も多かったです。感想戦も含めてそういった局面を考えることができたのは、楽しい時間だと感じています。
――いままでは特定の戦型が多かった。今回はすべて違う戦型。どちらのほうが好きか。
戦型が違うのは、羽生九段のほうに意図されたところがあると思います。ひとつの戦型を突き詰めて考えるのも面白いですが、今回は新鮮な局面が多くて面白くて、また勉強にもなりました。
――羽生九段と多くの時間を共有した。羽生九段の印象深かったところは。
第1局の終局後コメントで、8時間の持ち時間があっても結局は短い、という趣旨のことを仰ったと思います。それが印象深かったですし、自分もそれを実感したシリーズだったと思っています。感想戦でもいろいろな検討をすることができて、その点も非常に勉強になりました。
――シリーズが始まる前と終えたあと、羽生九段について新しく気づいたことは。
8時間という持ち時間で6局指すことができて、いままで以上に羽生九段の柔軟さ、そして積極性を感じました。先ほど第1局の46手目△3七歩を挙げましたが、やりずらいと思っていた手が指されてみると難しいと分かりました。そこを掘り下げて可能性を見出すところが強さだと感じました。
――番勝負の経験がご自身にどう生きていくか。
6局とも違う展開になって、その中でうまく判断できない展開や課題が見えたところもあります。そのあたりを改善できるように取り組んでいけたらと思います。
――佐賀県での初対局、実際に対局してみて。
対局は初めてでしたが、祝賀会などで何度も呼んでいただいて、自分自身ではまったく初めてという感じがしなかったです。非常に快適に対局できました。
(撮影=武蔵、書き起こし=虹)