タイトル防衛から一夜が明け、改めて会見の場が設けられました。
(ピースサインの藤井王将)
□藤井王将一問一答
――王将位防衛から一夜明けての心境は。
防衛することができてホッとしています。今回のシリーズを通して貴重な経験ができたと思っているので、それを今後に生かしていきたいという気持ちが強いです。
――藤井王将にとって羽生九段とはどんな存在なのか。またタイトル戦で戦いたいか。
自分が将棋を始めるずっと前から第一線で活躍しておられて、今回タイトル戦という舞台で戦う機会を得られたことを大変うれしく思っていました。6局対局する中で、羽生九段の将棋をいままで以上に感じることができました。自分にとってよい経験になりましたし、またこういった舞台で対戦することができればと思っています。
――羽生九段の強さ、具体的に何を感じたか。
読みの深さであったり、柔軟な判断の感覚、それらを8時間という長い持ち時間だからこそより強く感じる場面が多かったです。
――対局1日目の午前おやつ「佐賀県産いちごさんムース」は昨年も祝賀会で召し上がった。佐賀の料理について。
覚えていたわけではありませんが、苺の甘みがすごくあって、対局中ですがリフレッシュできて美味しくいただきました。地元の食材を使った昼食をいろいろと用意していただいて、ボリュームがあって驚いたのですけど、そちらもとても美味しかったです。
――世界で活躍されている選手が刺激になる、と常々仰っている。
注目される試合でパフォーマンスをしっかり出せるのは素晴らしいことだなと思います。自分も刺激を受けていますし、見習っていきたいところかなと思います。
――本日からマスクの緩和。対局中のマスクについて、パフォーマンスの意味でどう感じているか。
マスク着用について、対局にまったく影響がないとはいえないです。社会的な状況に合わせて判断される部分で、日本将棋連盟でも規定が緩和されるということで、その規定に合わせて対応します。
――重要な局面ではマスクを外すことがあるかもしれないと。
現時点で具体的に何か想定しているわけではありませんが、状況によっては一時的にそういうことも考えられるかなとは思っています。
――棋王戦の抱負は。
第3局まで終えているという状況で、手応えのあった部分と課題を感じた部分がありました。第4局以降に生かしていけるように、またよい将棋が指せるように頑張りたいと思います。
――名人戦の抱負は。
4月開幕で、持ち時間が自分の経験した最長の8時間よりもさらに長い9時間となります。長い持ち時間で対局できるのが楽しみでもありますし、集中力を高めて臨みたいと思っています。
――六冠、史上最年少名人と七冠、八冠まで現実味を帯びてきた。これまで記録については意識しないと仰ってきたが、いまはどうか。
期待していただけることはうれしく思います。ただ自分としては意識するような段階にありません。いままでどおり目の前の一局に全力を尽くしたい、という意識でやっていければと思います。名人戦に挑戦することができて、記録面を意識することはないですけど大きな舞台だと思っています。相応しい将棋が指せるように精一杯頑張りたいという気持ちです。
(書き起こし=虹、撮影=武蔵)
第6局の結果、4勝2敗で藤井王将が防衛を決め、第72期七番勝負は終了しました。すでに第73期の一次予選は始まっています。次なる挑戦者は果たしてどの棋士になるのか。これからも熱戦にご期待ください。
以上で、本中継ブログの更新を終了します。ご観戦いただきまして、ありがとうございました。


















飛車取りに角を飛び出しながら、先手玉に迫ります。6三の地点が弱まっても、上図から▲6三歩成△同金▲6一銀△4二玉に▲6三飛成は、△3八角成▲同玉△3七銀打(変化図)からの詰みがあります。
実戦も▲6一銀まで進んでおり、藤井王将が王将位初防衛に近づいています。






上図は▲6四歩を放置して△5七銀と打ち込み、攻め合いに踏み込んだ局面です。自玉の急所を攻められても、先に先手玉を寄せてしまえばいいという判断なのでしょう。確かに、▲5七同銀△同桂成▲6三歩成△同角(変化図)の局面は、次に△2七銀打からの詰めろがかかって、先手は受けに回らなければいけません。
実戦は△5七銀に▲6七飛として辛抱しました。局面は後手が指しやすいとの評判です。






