2018年2月

2018年2月19日 (月)

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図の局面で12時30分となり昼食休憩に入りました。この一手に豊島八段が考えた時間は44分。ここまでの消費時間は▲豊島1時間39分。△久保1時間32分。昼食時の注文は久保王将が海の幸丼御膳。豊島八段は鯖棒寿しとおろしそば御膳。対局は13時30分に再開されます。

33 図は11時40分ごろの局面。控室では「こんにちはー」と元気のいい声がこだましました。声の主は今泉健司四段で「勉強に来ました!」と言って笑顔を浮かべました。今泉四段は「豊島さんは▲4八金上の一手も入れずに攻め込んでいくつもりかもしれないですね」と今後の展開について話しました。

Photo_59 (来訪した今泉健司四段。阿部隆立会人と話し始めた)

Photo_60 (早速、今泉スマイルが見られた)

28 図は11時ごろの局面。久保王将が△4四歩と突いたところです。ここまでの消費時間は▲豊島42分、△久保1時間1分。阿部隆立会人はここまでの進行について「通常の相向かい飛車戦だと、先手は早めに▲3六歩から▲3七銀の形を作ってから飛車を振るのが普通なんです。本譜は9筋の突き合いが入ったことで、矢倉に囲わずに金無双で戦う姿勢を見せたのが豊島八段の工夫でして、このあと7筋や9筋で歩を持てそうなのが大きいです。特に9筋を交換できるのはとてつもなく大きそうですね。これなら矢倉に囲われてもそれ以上に攻めていけることが大きく見えます。まだまだ序盤の段階で形勢云々を言うところではありませんが、豊島八段の予定や方針がはっきりしていることは確かで、そのせいか慣れない戦型でありながら指し手も早いですね」と解説しました。

Photo_58 (「指し手が早いねー」とモニターに目をやる控室。阿部隆立会人の隣は毎日放送アナウンサーの森本尚太さんで、スポーツニッポン紙上で本局の観戦記を執筆する)

対局前日の18日に、阪神尼崎駅から当てのない旅を始めました。

Photo_12 (阪神尼崎駅)

Photo_13 (南側から駅を見ていると、ハイカラな電車がやってきた)

Photo_14 

Photo_15 (尼崎駅から南へ下ると、庄下橋がありました。この近くに尼崎城跡があるはずなのですが……)

Photo_16 (発見! と思ったら、敷地内は改修工事中で、今年中の終了を目指しているとのこと)

Photo_17 (戸田左門氏鉄公顕彰碑だけが外から確認できた。元和3年(1617年)に5万石の大名として赴任してきた戸田左門氏鉄は、尼崎城を築いた。その後、明治6年(1873年)に廃城が決まった)

10時30分ごろ、対局室におやつが運ばれました。久保王将はフルーツの盛り合わせとホットコーヒー。豊島八段はフルーツの盛り合わせのみを注文しています。

Photo_57 (両対局者が注文したフルーツの盛り合わせ。リンゴ、いちご、キウイ、ルビー(ピンクグレープフルーツ)、夕張メロン、オレンジ、パイナップルの7種)

Photo_52 (若武者の前に立ちはだかるのは、さばきのアーティスト)

Photo_53 (本局に勝てば通算4期目の王将獲得まであと1勝となる)

Photo_54 (豊島八段に負けず劣らずの白い指。サウスポーから鋭手が放たれるのはいつか)

Photo_55 (盤側に置かれた青の信玄袋)

Photo_56 (この王将だけは絶対に渡せない)

Photo_47 (7年ぶりの七番勝負登場となった豊島八段。忘れ物を手にできるか)

Photo_48 (対局開始前、白い指にエネルギーを宿らせ、時のたつのを待つ)

Photo_49 (見つめるその先に描かれているものは何だろうか)

Photo_50 (盤側には2日間の戦いの時を刻む懐中時計が置かれていた)

Photo_51 (すべての期待を一身に浴びて、いま、飛び立つ)

 

13_2 豊島八段が▲8八飛と回り、戦型は相向かい飛車と決まりました。阿部隆立会人は「よくあるようで、非常に珍しい形だと思います。豊島八段は9筋の交換が入ったことで、後手が穴熊や美濃囲いに構えにくく、金無双のような薄い玉形に限定できるとにらんでいるのではないでしょうか。それ以外にこの形の相振り飛車を選んだ得というのはないように思えます」と、作戦選択について推察しました。

Photo_45 (モニターに映る盤面を見て言葉を交わす阿部隆立会人と大石副立会人)