2017年1月 9日 (月)

意表の角打ち

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久保九段は△9五角(64手目)と端に角を打ちました。△4四角など、攻防に利く位置に目がいきそうなところだけに意表を突きます。狙いは△6八銀で、先手は放っておくと受けがなくなるので▲5八金右と数を足すのが自然です。そこでさらに後手が△5七銀と絡んだときにどうなっているのか。先手は歩以外の持ち駒があれば簡単に角筋を遮断できるのですが、現状はないものねだり。後手玉は意外に耐久力のある形で、多少の駒なら渡して寄せに出ることができます。
Twitter解説の広瀬章人八段は「▲5八金右に後手は攻めることになりそうですが、(1)△5七銀には▲同銀△同歩成▲6二銀(A図)と踏み込む手がありそうです。以下△同銀▲同との局面は先手玉も危険ですがギリギリ詰まないと思います。ただ▲5八金右には(2)△8八飛成▲同金△9八銀(B図)という攻めがあるかもしれません。持ち駒が少ないので次の△8九銀不成が受けづらいです。後手玉は飛と銀2枚までは渡せる状態なので一気に寄せきりたいところです」と話しています。

A図の後手玉は▲7一銀不成からの詰めろ。と金を残すところがポイントです。B図はここに至るまでの△8八飛成がハッとする手段。B図の先手玉は△8九銀不成からの詰めろで、▲9八同金は△7七銀▲7九玉△9八馬で寄り形です。以下▲7七桂△同角成で先手の持ち駒は飛銀銀歩になりますが、広瀬八段の「飛と銀2枚までは渡せる」という言葉どおり、後手玉が詰みません。

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