福田勝 尼崎市市制100周年記念王将戦実行委員会・副委員長
「こんばんは。本日はこのようにたくさんの方々にご参加いただきまして、ありがとうございます。厚く御礼申し上げます。ちょうど1年ほど前に、親しくさせていただいております棋士の方から『来年は市制100周年記念と伺っております。それを記念してタイトル戦開催を考えてみませんか』とお話をいただきました。早速仲間に話してみますと、『市のお祝いだからぜひやりましょう』ということでトントン拍子に話が進みました。将棋は伝統文化の雄であると考えております。この王将戦を歴史と伝統の町、尼崎市の地において開催させていただくことは、この上なくうれしい限りでございます。王将と名人の対局、これほどドキドキワクワクする対局はありません。本当にドキドキしております。それではただいまより第65期王将戦七番勝負第5局の前夜祭を開催いたします」
渡会文化 毎日新聞社常務取締役大阪本社代表
「こんばんは。本日は第65期王将戦第5局にこんなにたくさんお越しいただきまして、ありがとうございます。今回の王将戦は郷田真隆王将に羽生善治名人が挑戦する、全国の将棋ファンが胸を躍らせるぜいたくな対局が実現いたしました。しかも、ファンの期待に応えてくれましてこれまで4戦して2勝2敗、手に汗握る展開になっています。明日からの尼崎決戦でどちらが先に王手をかけるでしょうか。
郷田王将は17日に誕生日を迎えられます。45歳です。羽生名人も45歳で、同じ学年のライバルです。最近若手が台頭していますが、まだまだ40代も負けないぞと思っておられることと思います。郷田王将はこれまでもたくさんタイトルを持っておられたのですが、なぜか防衛にうまくいかなくて、この王将戦で初めてタイトルの防衛、あと2勝ですからがんばっていらっしゃると思います。
羽生名人と言えば永世名人、永世王将など数々のタイトルを持っておられます。王将は勝てば7期ぶり。本当に明日は楽しみです。尼崎の王将戦は初めてで、市制100周年ということで市民による実行委員会まで作っていただいた熱意に脱帽いたします。この王将戦の開催が、新しい尼崎を全国にPRとなればと思います。尼崎でまさか、冒頭にプッチーニで迎えられるとは思わなかったです。これから尼崎もイメージチェンジしようとしていると思います。それにはまず自分たちが尼崎を愛しようということで『あまらぶ大作戦』というのをやっているそうです。この王将戦の開催が、文化・芸術都市としての尼崎を全国にPRできると思っております」
石井真人 スポーツニッポン新聞社取締役大阪本社代表
「あいさつでこんなことを言おうと書いて持ってきたのですが、渡会さんとほとんどかぶるので、何か違うことをスポーツ紙らしいことを言わないとと思ったのですが、何も浮かばなくて……。
おふたりとも2勝して第5局、見るほうとしては期待する対局となりました。思い返してみますと私は第2局の島根県安来市にもお邪魔しました。そのときは鉄砲隊が並んで、客席に向かって空砲を放つという、こういう出迎えはすごいなと思っていたのですが、今回はすごく高尚に迎えていただきまして、ありがとうございます。私は生のバイオリンを聴くのが久しぶりですが、私も40年以上前にバイオリンを習っていました。バイオリンは弦が4本、E(エー)・A(アー)・D(デー)・G(ゲー)があります。続けて思い出したのが、ボクシングの試合なんです。
皆さん、何を言い出すのだろうとお思いでしょうが、バイオリンの弦は馬のしっぽの毛でできていて、摩擦がないと音が出ないので松やにを塗るんです。あの松やには、ボクシングでも使われているんですね。将棋と全然関係ない話ですが、ボクサーがリングに上がるときに階段の下の箱に足を入れて、キュッキュッキュッとやるのをご存知の方はいらっしゃいますか。あの箱には、松やにを砕いたものが入っているんですね。摩擦係数を上げて、滑らなくすると。バイオリンだとどれくらい松やにが塗れたか確認するために少し弦をはじくのですが、そのときに粉が目に入るとすごく痛いんです。ボクシングでは選手がダウンしてグローブを手につくと、レフェリーがグローブを手に取って自分の服で拭いているのをよく見ると思います。あれもリングについた松やにが相手の目に入ると痛むので、ああやって拭くんです。
全く関係のない話になりましたが、これがスポーツ紙らしいところだと思っていただければと思います。最後になりましたけれども尼崎の市制100周年の実行委員会の皆さん、関係者の皆さんに御礼を申し上げてあいさつと代えさせていただきたいと思います」