2016年3月12日 (土)

前夜祭(3)

271_2

谷川浩司 日本将棋連盟会長
「こんばんは。第65期王将戦七番勝負第5局の前夜祭にお越しいただきありがとうございます。厚く御礼申し上げます。まず尼崎市制100周年、まことにおめでとうございます。尼崎で王将戦が行われるのは初めてということですが、隣のアルカイックホールで、将棋ファンでもあります指揮者の小林研一郎先生のコンサートが行われ、聴きにきたことがあります。最近では尼崎城というのがあって、それを再建しようとする動きがあるそうです。私自身は尼崎は文化の香りがする街だと思っています。
尼崎は市外局番が(大阪市と同じ)『06』なので大阪府だと思っている方も多いみたいですが、実際はれっきとした兵庫県でありまして、私も兵庫県民ですので地元で王将戦が行われることをうれしく思っております。また、個人的なことなのですがこちらの都ホテルニューアルカイックには縁があり、今日もこちらに来るときに21年前のことを思い出しておりました。当時、羽生さんと王将戦を戦っておりまして、1月17日に阪神淡路大震災があり、その2日後に妻と車で大阪に出てきました。なんとか神戸を出て、初めて温かい食事を食べたのがこのホテルでした。感慨のある場所になります。
王将戦は名人戦に続く歴史のあるタイトル戦で、これまでも陣屋事件などいろいろなドラマが生まれております。今回の七番勝負はここまで2勝2敗で、第4局のあと3週間ほど空きまして、ここから改めて三番勝負と気持ちを新たにしていると思います。ぜひ残り3局、おふたりには全力を出し切って王将戦に新たな歴史を刻んでいただければと思っています」

284

稲村和美 尼崎市長
「こんばんは。尼崎市長の稲村でございます。本日はこのように大勢の皆様に尼崎市で前夜祭を楽しんでいただけるということで、うれしく、光栄に思っております。地元を代表しまして御礼を申し上げます。告白いたしますと私、将棋は全然経験がございません。いわゆる『ひょこまわり』(まわり将棋)をこどもとやるくらいしかわからないのですが、この王将戦を尼崎でという話を聞いたとき、『どちらかが4連勝しはったら5局目というのはこども将棋大会がメインになるんですよ』というのを伺いました。さてどうなることかなと素人ながらドキドキしていました。しかしやはり、さすがですね。市制100周年を迎える尼崎の将棋ファン、王将戦を通じて新しい尼崎市のイメージや魅力を感じてくださる皆様に、最高の形で第5局を持ってきてくださったことに御礼を申し上げなければなりません。ありがとうございます。明日は皆さんの期待を裏切らない熱戦が繰り広げられると思っていますが、私としましては将棋の魅力が伝わればと思っています。尼崎は産業都市としてのイメージが強いと思いますが、産業界・経済界の皆様にも支えていただいてこどもたちの大会をずっと中小企業センターで実施してくださるなど、地道な積み重ねが今日のこの日につながっていると思います。芸術、文化、そしてスポーツも、する人、見る人、支える人、多くの力が合わさって素晴らしい力になるということを今日、肌で改めて感じております。こういった皆様の力をいただきながら、尼崎は次の100年に向けて、次の未来の世代に、しっかりと引き継げるように一歩踏み出したいと気持ちを新たにしました」

297

(関係者紹介。右手前から郷田真隆王将、羽生善治名人、立会人・淡路仁茂九段、副立会人・稲葉陽八段、記録係・冨田誠也三段)