「△7三桂は強気な手です。そちらが攻めてこなければ、こちらから仕掛けますよと、相手の攻めを誘っています。先手は仕掛けるしかないでしょう」(深浦九段)
「郷田さんは△7三桂にあまり時間を使いませんでしたね。用意の作戦だったのではないでしょうか」(田村七段)
■Twitter解説■
神崎健二七段>先手からは仕掛ける一手と思います。仕掛けずに、▲8八玉と囲うのは△6五歩▲同歩△7五歩と先に攻撃を加えられて、▲4八の飛車が働かないまま、自玉だけ終盤になってしまいます。先手陣は受けに向いていません。次に仕掛け方をいくつか紹介いたします。
(a)シンプルに仕掛ける。▲4五歩△同歩▲同銀△同銀▲同桂(参考1図)。ここで銀を4四に逃げるのか飛車取りに△3七角と反撃するのか……。
(b)後手の桂頭を攻める。▲4五歩△同歩▲7五歩△同歩▲4五桂(参考2図)。▲7四歩があるので後手は銀を逃げるわけにはいきません。△4五同銀▲同飛に△5四角か△7六歩か……。銀桂交換となり後手からの反撃が予想されます。
(c)4筋をからめずに、端で歩を手に入れて桂馬の頭を狙う。▲1五歩△同歩▲7五歩△同歩▲1五香(参考3図)。これは昨年夏の▲阿部光瑠六段―△千田翔太五段戦で指された攻め方でした。
(d)端も突き捨てて攻める。▲4五歩△同歩▲1五歩△同歩▲7五歩△同歩▲4五桂(参考4図)。この手順が松尾歩八段が実戦で指された手順で、端の突き捨てが得という研究と自信を、そのときには感じました。少ない実戦例と考えつくのはこの4通り。まだまだほかの手順も考えてみます。