2021年8月25日 (水)

場所を移して、王位防衛の記者会見が行われました。
Img_3759(花束を受け取る藤井王位)
Img_3785(色紙を手に記念撮影を行った)
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■藤井王位の会見■

――豊島竜王とタイトル戦で初対戦となり、事前にはいろんな戦型を楽しんで指したいというお話もありました。二日制をじっくり戦ってみてのご感想をお願いします。

 序中盤でリードを奪われることが多く、2日制の長い対局だと差が大きく出てしまって、こちらにとって課題が多いシリーズだったと思います。戦型的には相掛かりが3局、角換わりが2局で、それぞれ違う展開になり、豊島竜王と長い持ち時間でいろいろな将棋が指せたのは大変勉強になりました。

――盤外で印象に残ったことはありますか。

 第4局で予定されていた嬉野市の対局が、大雨の影響で変更になってしまって、コロナ禍もあって大変な状況のなかでしたが、対局の環境を整えていただいたことに感謝しています。第2局の北海道対局では初めて電車に乗ることもできて、充実した番勝負になったと思っています。

――対戦会場の渭水苑は第37期の王位戦以来の会場となる伝統的な場所です。対局場の感想などがあれば教えて下さい。

 とても落ち着いた雰囲気の対局室で、ご飯もとてもおいしくいただきました。2日目の午後に鉄火丼をいただいたのですが、対局のときは丼ものが食べやすいですし、とてもおいしかったです。

――徳島のファンに向けて。
 ご観戦いただきましてありがとうございます。徳島の地で防衛という結果を出せて、うれしく思っています。また来年もありますので、いい将棋をお見せできるように精一杯精進していきたいと思います。

――7月の棋聖戦に続いての防衛となりました。渡辺明名人、豊島竜王を相手に防衛した感想は。
 結果を出すことができてホッとした気持ち以上に、トップのお二人に番勝負で対戦する機会を得て、自分に足りない部分が新たに見つかりましたので、それを今後に生かしていければと思います。

――叡王戦に向けての決意は。
 第4局が完敗という結果だったので、最終局は悔いのない将棋を指せるようにと思っています。

――今期王位戦のなかで印象に残っている将棋は。
 今回の番勝負は、早い段階でこちらが気づいていない好手を指されて、リードされる展開が多かったです。特に第1局の△7四歩~△7三桂~△3三桂と2枚の桂が跳ねてくる構想が印象に残っています。

――着つけの練習もされていたようにうかがいました。
 着つけにかんしては、番勝負が始まる少し前から練習をしていました。今回の番勝負をとおして、ある程度覚えられればと思っていました。一応着られるぐらいにはなりましたので、いい経験になった気がします。

――豊島竜王との今年の公式戦結果は7勝3敗と大きく勝ち越しています。ご自身ではどのように思っておられますか。

 内容的には苦戦が多いので、まだまだこちらが足りない部分が多いと思っています。今年1月の朝日杯で初めて勝つことができて、それがいいきっかけになってこの番勝負に臨めたのかなと思います。
豊島竜王とは奨励会のときに将棋を教えていただいたこともあり、タイトル戦の番勝負で戦えるのはうれしいですし、今後もそういう機会を多く持てるように頑張りたいです。

――普段の研究でディープラーニング系のソフトを導入した効果は感じられましたか。
 今回の王位戦は序盤で先攻されてしまう展開が多かったので、ディープラーニング系のソフトの強みというのを自分に取り入れるというのには、なかなかまだ至っていない、難しいのかなと思っています。昨年末くらいに、ディープラーニング系のソフトがこれまでのソフトに並ぶくらい非常に強くなっているという話を聞いたので、使ってみようかなと思いました。

――全国のファンにメッセージをお願いします。
 いつもご観戦いただきまして、ありがとうございます。今回の王位戦では、自分の将棋の課題が多く見つかったかなと思うので、それを今後に生かしていければと思います。ABEMAトーナメントや他の棋戦も中継されるかと思いますので、そちらもどうぞよろしくお願いします。

インタビューのあと、両対局者は大盤解説会場に移動し、ファンに向けてあいさつを行いました。
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Img_3643(一礼して会場に入室する藤井王位)
Img_3647(藤井王位に続いて豊島竜王も)
Img_3654(封じ手の局面を振り返る藤井王位)
Img_3658(「不甲斐ない将棋にしてしまった」と豊島竜王)

終局後、両対局者にインタビューが行われました。

Img_3632(終局直後の対局室)

■防衛を決めた藤井聡太王位へのインタビュー

── 本局は▲7六歩(27手目)で、ご自身の前例を離れました。
藤井 そうですね。代えて▲8七歩も読んだのですが、本譜は▲7六歩と突いてみようかなと。

── ▲7四歩(41手目)は2時間超えの長考でした。
藤井 7筋、8筋の辺りが、こちらの厚みになるかキズになるかが際どく、考えても分からない変化が多かったです。

── 1日目の形勢はどのように見ていましたか。
藤井 △4二玉(42手目)に▲5八金と上がったのですが、単に▲7七銀とかで、もっと強くいく必要があったかなと。本譜は△4四角と上がられると、次の△3三桂を防ぐのが難しくて少し損をしてしまったかなと思いました。本譜は結果的に▲8八歩と受ける形になったので、あまりうまくいっていないのかな、という印象でした。

── ▲9七桂(51手目)と跳ねた局面は。
藤井 ▲9七桂に△6六銀と取り合う変化で、こちらの玉が寄らなければ、飛車を取れるのが大きいのかなと思っていました。

── 途中で銀得になりました。
藤井 駒得なので指せるかなとは思ったのですが、▲9七桂と跳ねた形がキズなので見通しが立っているわけではなかったです。

── 後手から端攻めをされたあと、飛車角交換になった辺りは。
藤井 ▲8二飛(65手目)と先手で打つ形になったので、その辺りはこちらの主張が多いのかなと思いました。

── 全体的に振り返って。
藤井 途中、かなり長考した場面がありましたが、その辺りでどう指すか分からなくて難しい将棋だったと思います。

── 4勝1敗で王位防衛となりました。シリーズを振り返って。
藤井 勝った将棋も苦しい場面が多かったので、内容的には押されていたと思います。今回の番勝負で自分の足りない部分も見つかったので、今後に生かしたいと思います。

■敗れた豊島将之竜王へのインタビュー

── ▲7六歩(27手目)に対して△8六歩と垂らしました。
豊島 そうですね。そこまで考えていた形のひとつで、▲7六歩に△8六歩を打たない変化もあると思います。それはそれで先手が▲2四歩と合わせて動いてくる感じで難しいのかもしれませんが、通常の形に比べて変化が増えるので、本譜の△8六歩と打ってみたい局面でした。

── △4四角(44手目)は1時間53分の長考でした。
豊島 ▲5八金(43手目)で先手玉が相当堅くなっていますし、▲2九飛の味がよいので、△4四角がよくなかったかもしれません。封じ手の局面では自信がなく、△4四角がよくなかったのか、その前がよくなかったのか分かりませんが、ちょっと悪いかな思っていました。

── △8四飛(52手目)はかなりの辛抱でした。
豊島 ▲9七桂と跳ねられて、はっきり駄目にしてしまいました。△7五銀(50手目)に代えて△2二銀でも自信は持てないですが、そうやっていれば形にはなっていたかもしれません。

── シリーズを振り返って。
豊島 中盤戦で難しい局面になって、いい手が指せなかったので、これから実力をつけていかないといけないと思います。

── 叡王戦第5局も残っていて、藤井王位との戦いが続きます。
豊島 そうですね。そちらは切り替えて頑張れたらと思いますが、王位戦に関しては競ったスコアにできなかったので、楽しみにしてくださっていた方に申し訳なく思っています。

書き起こし=夏芽記者
撮影=武蔵