2023年8月14日 (月)

検分を終えた両対局者は、主催紙記者と「こども記者」から取材を受けました。藤井王位は趣味の鉄道の話題、佐々木七段は長崎県対馬市出身ということから地元九州での対局についての意気込みを聞かれていました。

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■藤井聡太王位

――嬉野対局が3年越しに実現しました。

藤井 こちらは2期前から対局場の準備をしていただいていたのですが、これまで開催がかなっていなかったので、今回対局が実現することになって、とてもうれしく思っています。地元の方に期待していただいている対局だと思うので、それに応えられるように頑張りたいなという気持ちでいます。

――佐々木七段の印象について。

藤井 佐々木七段とは棋聖戦五番勝負もあわせて7局指してきましたけど、序盤が洗練されていますし、中盤以降で受けの強さというか、一見気がつきづらい手でリードを奪われたり、バランスをうまく保たれたりということが多く、そのあたりが佐々木七段の強さなのかなと感じています。

――「後手番で課題を感じている」と先日、話されていました。

藤井 今回は私が後手番です。佐々木七段は先手番の勝率が高いですし、大変な戦いになるのかなと思っています。ただ、本局に向けて後手番で後れを取らないように準備してきたつもりではあるので、明日はしっかり考えて指していきたいと思います。

――この夏は対局が続いています。体力づくりはされていますか。

藤井 特に何か意識してやっていることはありません。タイトル戦に出るようになってから対局が続くことは何回かあったので、対局をする体力は一応あるのかなと思っています。本局もいい状態でこれていると思っています。

――今回は西九州新幹線に乗ってこられましたか。

藤井 はい。武雄温泉駅から1駅なので、あっという間の時間でしたけど。「かもめ」の車両はN700Sで、東海道新幹線でも使われているものですけど、座席はこちらの独自のものになっていました。博多駅から武雄温泉駅までは「リレーかもめ」にも初めて乗りまして、楽しみながらこちらまで来ました。

――(こども記者)私は人見知りをしますが、藤井さんは小学生のころに人見知りをしていましたか。また、学校が統合するのですが、どうやったら友達とすぐ仲よくなれますか。

藤井 私も人見知りをする性格でした。子どものころから将棋をやってきて、将棋を通して友達が増えたし、そのなかでいろいろ楽しいコミュニケーションもできたと思っているので、共通の好きなことを見つけられると学校でも楽しく過ごせるのかなと思います。

――(こども記者)私は5回将棋をやったことがあって、楽しかったけど難しかった。その「難しい」を乗り越えるにはどうしたらいいですか。

藤井 将棋は面白いゲームですが、駒の動かし方であったり、覚えないといけないことも多いので、少しハードルが高いと感じられることもあるのかなと思います。ただ、最近だと「どうぶつ将棋」とかもあるので、そこからスタートして、駒を動かすことを覚えて、それが身についてきたら本将棋を指してみるのもいいのかなと思います。

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■佐々木大地七段

――地元九州での対局。意気込みを聞かせてください。

佐々木 九州には今年3、4月に師匠(深浦康市九段)と一緒に帰りまして、そこで地元の方々ともお会いすることができて、力になっている部分も大きいです。今回は(0勝3敗で)ピンチですけど、応援を力にかえて自分の力を出しきれるように頑張りたいと思います。

――藤井王位の印象と対策について。

佐々木 集中力が高く、妥協のない指し手が多いと思います。番勝負が始まる前は、もう少し攻めのイメージがあったのですが、いざ盤をはさんで対局してみると受けの手が多く、形勢を左右するようなところでは、そういったところでイメージと違いました。形勢判断についても勉強になる部分が多いと思います。

――九州で対局することについて。

佐々木 九州は小学生まで過ごした場所です。知り合いの方も多く、師弟で応援していただいています。本当にありがたいと思います。いい結果を持って九州に帰ってきたいという思いはあって、モチベーションになっています。

――嬉野温泉にこられたのは初めてですか。温泉には入りましたか。

佐々木 初めてです。(先ほど温泉に入って)とてもよかったです。

――(こども記者)料理をされると聞きました。最近は何を作りましたか。また、なぜ料理をするのが好きなのですか。

佐々木 細かく調べていただいてありがとうございます。最近はなかなか時間を作れなくて、簡単なものしか作れていません。外食でカレーを食べたときに、自分で作ってみようとチャレンジしたのが料理を好きになったきっかけです。熱中すると時間をかけてしまうんですけど、それがいい気分転換になっています。

――(こども記者)対馬にいたときは何をして過ごしていましたか。また、何が楽しかったですか。

佐々木 祖父母の家に行って、よく釣りをやっていました。竹で作ったような竿で、エサも適当なものだったんですけど、それが趣味でした。いまでも帰ったら釣りをやるというのが、対馬に帰ったときのルーティンです。

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両対局者は記念撮影に応じてから検分に臨みました。盤と駒は地元の愛棋家から提供されたものが使われます。盤は2004年の第45期王位戦七番勝負第4局でも使われた名品。駒は3組が用意され、藤井王位が児玉龍兒作の錦旗書を選んでいます。外光を遮るためにカーテンと障子は閉められていましたが、それぞれ開けた状態での様子も確認しました。

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対局2日目の8月16日には、嬉野市と東京で大盤解説会が開かれます。嬉野市の大盤解説会は事前申し込み制で定員に達しました。東京の駒テラス西参道での解説会については、リンク先をご覧ください。

■嬉野市

日時:8月16日 14:00~終局

場所:嬉野市中央体育館(U-spo)

出演者:豊川孝弘七段、武富礼衣女流初段

※事前申し込み制で定員に達しました。

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■駒テラス西参道(東京都渋谷区)

日時:8月16日 16:00~22:00(終局まで)

会場:駒テラス西参道 ホール

解説:石井健太郎六段、小山怜央四段

https://www.shogi.or.jp/nishisandou/#komaterace_event

Koma

藤井聡太王位に佐々木大地七段が挑戦する伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負は、開幕から藤井王位が3連勝しました。ストレートで防衛となるか、挑戦者が巻き返すか。第4局は8月15・16日(火・水)、佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われます。
立会人は中田功八段、副立会人は豊川孝弘七段、記録係は髙野潤初段(飯塚祐紀八段門下)、現地大盤解説会の聞き手は武富礼衣女流初段が務めます。
持ち時間は各8時間。対局開始は9時、昼食休憩は12時30分から13時30分。1日目18時の時点で手番の対局者が封じ手を行い、2日目に指し継がれます。本局は佐々木七段の先手番です。
インターネット中継は棋譜・コメント入力を牛蒡、ブログを文が担当します。

【主催:新聞三社連合】

【主催:西日本新聞社】
https://www.nishinippon.co.jp/

【特別協賛:伊藤園】
https://www.itoen.jp/oiocha/

2023年7月26日 (水)

Img_2506 終局直後の様子。

Img_2510 インタビューを受ける藤井王位。

【藤井王位の談話】
――(53手目)▲4五歩と先に仕掛けました。このあたりの序盤はいかがでしたか。
「右玉に対して、こちらがどう打開するかという将棋だったのですけど。本譜は▲4五歩で仕掛けていったのですが、△同歩のときに、最初は▲同銀と取ろうかなと思っていたのですが、△4四銀とぶつけられたときに6九の飛車が働きが弱い形で。ちょっとバランスの取り方がわからなかったので。ただ、本譜▲4五同桂では、駒があまり前に、それ以上出ない形なので、(こちらから)仕掛けていったんですけど、うまくいっていないのかなと思っていました」

――その後は、後手が△1五歩(58手目)と動きました。このあたりはいかがでしたか。
「1筋から動かれて、どう対応するか難しいかなと思っていました。△1八歩(60手目)のときに、▲6五歩のような感じで動いていく手もあったかなと思うのですが、ちょっと、封じ手に入れるタイミングを少し間違えてしまって。その辺り、ちゃんと精査しないまま進めてしまったところは、ちょっとよくなかったと思っています。本譜(64手目△3六角成)馬を作られて見ると、少し苦しめの形勢なのかなと思っていました」

――(75手目)▲4七金と上がった中盤の辺りはいかがでしたか。
「一応、1八の香がなんとかさばける目途がついたので、少し持ち直したかなと思っていました。ただ、依然として後手陣が手厚い形で。ちょっとどう手を作っていけばいいのかわからない局面が続いていたかなと思います」

――(87手目)▲4二銀と打ちこんだ辺りは、ある程度見通しがついていたのでしょうか。
「いや、それほど急所をつけているわけではないので。攻めてはいったのですが、あまり成算の持てない指し方になっているかなと思っていました」

――(97手目)▲8一飛のあたりは、手応えはありましたか。
「後手陣はまとめづらい形かなと思っていたのですが。ただ、こちらも攻め駒が少なくて。これ以上、手を作っていくのがちょっと難しい形で。6九の飛車の働きが少し弱いのも懸念材料で。どうなっているかわからないなと思っていました」

――(106手目)△5八角と打たれて、受ける展開になった辺りはいかがでしたか。
「△7五歩(102手目)のときに、あらかじめ玉を動かして受ける手とかも考えていたんですけど。最終的に本譜を選んだのですが、かなり当たりが強い形になってしまって、ちょっとまずい順を選んでしまったかもしれないと思っていました」

――(115手目)▲4四香~▲1一角が鋭い切り返しに見えました。この辺りはいかがでしたか。
「△4三馬(114手目)を軽視しまっていて。本譜は何か負けの順があってもおかしくないなと思いながら指していました」

―― 一局を振り返っていかがでしたか。
「中盤にかけて、どういった形で攻めを見せていくかという構想が非常に難しい将棋で。その辺り、少し方針が定まらないまま指してしまったところがあったので。その辺りは課題が残ったかなと感じています」

――第4局に向けて一言お願いします。
「4局目はまた後手番になるので。これまで以上にしっかり準備をして、よいコンディションで臨みたいと思います」

Img_2511 インタビューを受ける佐々木七段。

【佐々木七段の談話】
――右玉で対抗しました。駆け引きもありましたが序盤を振り返っていただけますか。
「▲4五歩(53手目)から動かれてしまっているので対応が難しかったです」

――1筋から反撃を仕掛けました。封じ手のあたりまでどのように見ていましたか。
「こちらが攻めを呼び込むことになりましたが、1筋を刺激したのはあまりよくなかった気がします。6筋の攻めも怖かったですし、馬を作ってもポイントになっていなかったかなというところで、いろいろと誤算がありました」

――▲3三歩(65手目)に大長考をされました。この辺りは、どんなことを考えていましたか。
「局面に自信がなかったのでどう粘るかで。▲3三歩は打たれるなというのは、封じ手の前から可能性があると思っていましたが、ちょっと方針が決まらず△3一金や△4二金などをいろいろ比較して、どれも自信がなかったです」

――△5四銀(74手目)や△2四馬(76手目)は挑戦者らしいジッとした動きと思いましたが。この辺りは。

「▲4七金(75手目)に、攻める手も少しあるかなと思ったのですけど。うまく余されそうだったので我慢するしかないかなと思いました。本譜、△1三同香(80手目)で△1三同馬もあるかなというところで。▲4二銀(87手目)と打たれた形はかなりうるさくなってしまったかなと思いました」

――▲4二銀から▲5一角(93手目)と打たれたところは、手応えとして苦しいでしょうか。

「少し前の局面からちょっと苦しいなとは思っていたのですが。(93手目△5一同飛で8一の)飛車がいなくなって、先手玉への脅威がなくなってしまったかな、というところです」

――(102手目)△7五歩から反撃に出ましたが、この辺りは手応えとしてはいかがでしたか。

「本譜の▲8七玉(109手目)の対応と、▲4四香(115手目)の切り返しが、気づくのが遅れてしまって。もう少しうまく粘る順を探さないといけなかったかなと思いました」

――本局を振り返ってください。

「受けに回ろうかなというところで、ジッと対応されて、こちらが苦しい時間が長く続いてしまったかなと思います。中終盤、多少は粘って、急所が見えないようにと心がけていましたが、徐々に悪化していったかなという気がします」

――次局に向けて一言お願いします。

「課題がいろいろとあるので、しっかりとクリアして。いい状態で臨めるように切り替えたいと思います」