第60期王位戦七番勝負第6局
対局再開
先崎九段の読み筋
昼食休憩の局面について先崎九段に読み筋を聞きました。
「現局面では△6六角が候補ですが、豊島王位は△5七とと寄る手を考えていると思うんですよ。ただ、歩を取ると▲5四歩と玉頭を攻められる恐れがあるのがどうかと。また、▲5八歩と受けられたときも難しい。そこで△6七桂▲同歩△6八角▲6九玉△8六角成が詰めろですが、それは▲5七歩(参考1図)と、と金を取られてうまくいかないんです。なので△8六角成に代えて△6七と(参考2図)でどうか。これは相当な攻めだと思いますが、それでも▲5七歩と抵抗されると難しいですね。戻って▲5八歩には△5五角もあって、以下▲5七歩△8八角成なら、△6六角▲6七歩△8八角成の変化よりも歩を得しますが、△5五角に▲7七歩(参考3図)と受けられたらどうするか難しい。△5七とと寄りたいですが、考えることがかなりたくさんあるので時間を使うわけです」(先崎九段)
2日目昼食休憩
大変では済まない
図は11時20分頃の局面。豊島王位の強襲から盤面は終盤戦の様相を呈しています。ここまでの消費時間は▲木村4時間55分、△豊島王位4時間50分(持ち時間は各8時間)。
「▲6八歩では、▲6四歩も急所中の急所でした。ただ、後手も△5七とから△6七桂が非常にきつい手なので、この順は危ないと見たのでしょう。▲6八歩は木村九段らしい辛抱ですが、△7八歩▲8八銀△6六角のときにぴったりした受けが見えないんですよ。そこで▲6七歩△8八角成のような展開では先手が嬉しくない。後手の強襲は無理筋に見えましたが、現局面は大変ですね。大変じゃ済まないかもしれない」(先崎九段)
陣屋の風景(3)
対局が行われている鶴巻温泉の「元湯 陣屋」は神奈川県の中西部にある秦野市の東南部に位置しています。東に5分少々歩けば伊勢原市、南に10分ほど歩けば平塚市に出ます。最寄り駅の小田急小田原線「鶴巻温泉駅」は新宿から約1時間。東京から最も近い本格的な温泉地として知られています。
陣屋から徒歩10分ほど、お隣の伊勢原市に入ったところにある箕輪駅跡。奈良時代に国司の送迎などのために馬を置いた場所が「駅」と呼ばれていたという。
陣屋の名は鎌倉時代に和田義盛公の陣地で、その陣屋(兵士の宿営場所)があったことに由来しています。こうした歴史にふさわしく、館内には武具・防具など様々な古美術品が展示されています。
およそ30年前の第31期王位戦、谷川浩司王位-佐藤康光五段戦(肩書は当時)の写真。このほかにも歴史的な写真が数多く展示されている。