第60期王位戦七番勝負第6局 Feed

2019年9月10日 (火)

52昼食休憩明けの△3五歩に先手が▲同銀と応じ、後手は△3六歩と攻めました。▲3五同銀に△6六角を予想していた控室の検討陣はまたも意表を突かれた形です。

Img_6996 昼食休憩明けに勝又清和六段が控室に来訪した。

Img_7001 弟弟子の佐々木勇七段と席を並べて検討中。

検討陣は図から▲6七歩△3七歩成に▲7八飛を予想し、その局面は先手持ちの見解を出しました。最後の▲7八飛が幸便な一手で、先手陣がスッキリしていると評判です。
「まあ、私も佐々木くん(勇気七段)も自己中心的なタイプなので、結論を早く出し過ぎているかもしれませんが。とはいえ▲7八飛の局面は見ればみるほど先手がよく見えますねえ」(先崎九段)

Img_6977 木村九段は再開の5分前には対局室に戻っていた。

Img_6980 豊島王位は13時27分頃に入室。

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Img_6991 再開が告げられると豊島王位がすぐに手を伸ばした。控室で予想されていた△6六角や△5七とではなく△3五歩を着手。

Img_6992 △3五歩を見た木村九段は、おしぼりで手を拭いて一息ついていた。

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昼食休憩の局面について先崎九段に読み筋を聞きました。

「現局面では△6六角が候補ですが、豊島王位は△5七とと寄る手を考えていると思うんですよ。ただ、歩を取ると▲5四歩と玉頭を攻められる恐れがあるのがどうかと。また、▲5八歩と受けられたときも難しい。そこで△6七桂▲同歩△6八角▲6九玉△8六角成が詰めろですが、それは▲5七歩(参考1図)と、と金を取られてうまくいかないんです。なので△8六角成に代えて△6七と(参考2図)でどうか。これは相当な攻めだと思いますが、それでも▲5七歩と抵抗されると難しいですね。戻って▲5八歩には△5五角もあって、以下▲5七歩△8八角成なら、△6六角▲6七歩△8八角成の変化よりも歩を得しますが、△5五角に▲7七歩(参考3図)と受けられたらどうするか難しい。△5七とと寄りたいですが、考えることがかなりたくさんあるので時間を使うわけです」(先崎九段)

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4912時30分、図の局面で豊島王位が31分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲木村4時間57分、△豊島6時間5分。昼食の注文は両者ともに「陣屋カレー」で、木村九段は「オレンジジュース」、豊島王位は「アイスレモンティー」を注文しています。対局は13時30分に再開します。

Img_6974 木村九段はオレンジジュースとセットで。

Img_6970 豊島王位はアイスティーのレモンスライス添え。

Img_6973 カレーはビーフとチキンの2種が用意されている。

Img_6972 付け合わせも盛りだくさん。

Img_6964 休憩中の対局室。

47図は11時20分頃の局面。豊島王位の強襲から盤面は終盤戦の様相を呈しています。ここまでの消費時間は▲木村4時間55分、△豊島王位4時間50分(持ち時間は各8時間)。
「▲6八歩では、▲6四歩も急所中の急所でした。ただ、後手も△5七とから△6七桂が非常にきつい手なので、この順は危ないと見たのでしょう。▲6八歩は木村九段らしい辛抱ですが、△7八歩▲8八銀△6六角のときにぴったりした受けが見えないんですよ。そこで▲6七歩△8八角成のような展開では先手が嬉しくない。後手の強襲は無理筋に見えましたが、現局面は大変ですね。大変じゃ済まないかもしれない」(先崎九段)

Img_6963 11時20分頃の控室。先崎九段と佐々木勇七段が検討している。

対局が行われている鶴巻温泉の「元湯 陣屋」は神奈川県の中西部にある秦野市の東南部に位置しています。東に5分少々歩けば伊勢原市、南に10分ほど歩けば平塚市に出ます。最寄り駅の小田急小田原線「鶴巻温泉駅」は新宿から約1時間。東京から最も近い本格的な温泉地として知られています。

Img_6954 陣屋の人気スポット、庭を望むテラス席。

Img_6794 陣屋から徒歩10分ほど、お隣の伊勢原市に入ったところにある箕輪駅跡。奈良時代に国司の送迎などのために馬を置いた場所が「駅」と呼ばれていたという。


陣屋の名は鎌倉時代に和田義盛公の陣地で、その陣屋(兵士の宿営場所)があったことに由来しています。こうした歴史にふさわしく、館内には武具・防具など様々な古美術品が展示されています。

Img_6947 ロビーに展示されている古美術品。

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Img_6945 およそ30年前の第31期王位戦、谷川浩司王位-佐藤康光五段戦(肩書は当時)の写真。このほかにも歴史的な写真が数多く展示されている。

Img_6941 今日の戦いの軍配はどちらに上がるのだろうか。